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Blueskyってそもそも何よ? という話(マジのTwitterキラーかもしれない)

Bluesky始めました。待ち行列に並んで1ヶ月放置され、もう諦めていたところで先に始めていた友人から招待していただけたのが昨日のこと。
まだ1日しか使っていないものの、なるほど「引越し先」として激アツになる理由がなんとなく感じられたもので、この感動が新鮮なうちに文章に残しておきます。


Twitter(現X)からの引越し先候補にされてる理由

Twitterを作った人が作ったから

Blueskyの開発者はTwitterの始祖「ジャック・ドーシー」です。
Wikiにざっくり載っているので経歴は割愛しますが、2021年までTwitter社のCEOを務めていました。
最初にTwitterを作ったすっごくすごい人。彼が世界で最初に発信したツイートはNFTオークションで3億円の値段が付きました。
(なおその後の競売では「最高額が100万円未満だった」という貧乏人好みのオチも着いています)

ごめん閑話休題。

とまあ、そんな人が作ったものなので、パッと見の雰囲気がマジでそっくりです。フォントとか、アイコンの感じとか、バランスとか。すごく落ち着きます。
現在、世の代替候補SNSはほぼ全て「だいたいTwitterと同じ感じの画面構成」で作られていますが、使い勝手や見た目の「っぽさ」の精度はBlueskyが飛び抜けています(当たり前だよね、同じ人が作ってるんだから)。

「Twitterではできなくなっちゃったこと」ができる

イーロン・マスクがCEOになった時点で、Twitterの体制にはすでに限界が来ていました。イーロンの改革でTwitterは崩壊の速度を速め(私はイーロン貧乏くじ引かされて可哀想だなあくらいの気持ちでいる)、「あの頃できていたこと」ができなくなりました。具体的には

・フォローしている人の呟きはいつも見える
・フォローしていない人の呟きは普段は出てこない
・みんなの呟きが時系列で見える
・興味のない話題、見たくない話題は隠せる

など……いやサービスとして当たり前であってほしいものですけど……大人なら「当たり前」の難しさも分かるからさ……
これらの「当たり前」が、Blueskyでは叶います。

「Twitterではできなかったこと」ができる

Twitterは「人をフォローする」ことから始まるサービスです。情報の起点は「人」にあり、興味深い相手をフォローして、その人の発言を見る……いわゆる個人開設のラジオ局みたいなものでした(過去形)。

Blueskyの場合、Twitter同様の「フォロー」や「リスト」に加えて、「フィード」という特定の条件に合致する呟きを抽出する機能があります。
フォローやリストが「人の登録」だとすると、フィードは「ある話題に関してのガヤガヤした感じを眺める」ものです。Twitteハッシュタグに似ていますが、表示の仕様をかなり高度に設定できるため、話題性に便乗した悪質な呟きやスパムの排除が可能です。

このフィード機能が情報との距離感を保つ上でかなりうまく作られていたのが、Blueskyは「Twitterの代替」ではなく「Twitterの」のサービスなんじゃないか?と思った決定打でした。(詳細は後述します)

Twitterとの共通点・違う点

同じ:フォロー、リポスト、リプライ

いわゆる「交流における最低限の機能」は備えているため、基本的には同じようにできます。
検索機能もありますが、呟きの検索機能が少し弱いので、現状での用途は主に「名前がわかっている人を探す」、つまりユーザ検索に絞られます。

違う:情報の検索やいわゆる「身内感」の醸成方法

呟きの検索機能が弱いのは、おそらく日本語の特性によるものです。例えば「千空」で検索すると、Twitterではおおむね狙いの呟きを発見できますが、Blueskyの場合は

"中衝突の事故が葉県柏市のドローン飛行場で発生しました"

みたいなポストもヒットします。
ここで代用されるのがフィード機能です。フィードの設定では検索結果の表示と除外を正規表現という表記方法でするため、かなり狙い通りのポストを抽出できます。例えば……

・ゴジラについての感想でイイネが50以上のものだけ表示する
・文章に「満月」が含まれる写真付きのポストだけ表示する
・人気絵師のバズった画像だけ表示する

などが可能です。
Twitterは「人」をフォローすることでコミュニティが育ちました。Blueskyは、ユーザから発信情報が切り離され、「情報のフォロー」が可能になります。
これはファンダムの文化にとってかなり大きな変化じゃないでしょうか?

その他の代替サービスとの比較

※私が触ったことのある一部のサービスのみです、網羅性はありません

個人開発中心の「Twitterのこういうところを改善しました」系

国内には、個人開発者が愛と善意で立ち上げたサービスがいくつかあります。
多くは「かつてのTwitter」を愛する有志が作ったもので、Twitterの良いところを引き継ぎ、もっと欲しい仕組み(主に交流や棲み分け)に、細やかな調整が効く仕組みになっています。

それらはTwitterが壊れ始めたときの最初の避難先として愛されてはいるものの、下位互換として扱われがちです。つまり
Twitterが不具合を起こしたときに緊急避難して、不具合が直れば来なくなる場所
になりやすく、負荷分散ができないためWebサービス運営者としては非常にキツい立場です。

なので(負荷をかけたくなくて)Twitter級のヘビーユースは控えています。ただ同好の士とのつながりが感じられることが多いので、正直あったかくて好き。

コラボレーションツールからのプロジェクトコミュニティ系

この呼び方が正しいとは思っていないのですが……コラボレーションツールの中には交流に特化したものがあります。Discordなんかが代表格でしょうか。
プロジェクトメンバーが集まってチャンネルを細分化させ、棲み分けしながらゆるくつながる仕組みは確かに居心地が良いです。

ただ、どうしても「そこそこ閉じた交流」の指向があるため、新しいコミュニティに出会うのも、コミュニティ外の情報に出会うのも難しく、Twitterならではのジャンクな情報がダラダラ流れては去るガンジス川みたいな環境の再現はできませんでした。
ジャンクな情報をダラダラ見ながら時々セレンディピティを得るような楽しみ方がしたかったので、結局Twitterに戻ってしまいました。

「Twitterくんコレになりたかったんだろうなあ」みたいなキラキラ系

Instagramになりたいのにガンジス川に棲息する私みたいなのが足引っ張って可哀想だったけど……インスタになってもツイッタラーはインスタグラマーにはならないし、インスタが合わないからツイッタラーやってるわけで、まあTwitterからの代わりにInstagramってのは……無いですね……

特にInstagramは発信者としての一貫性が高く評価される文化です。雑多な情報の受発信には不向きで、私は水が合いませんでした。

Blueskyで「つまり何ができるのか」っていう概念の話

イェーイ着いてきてる?目次からここに来た人もいるよね!
ここまで「Twitterと他の代替サービスとの違い」を話して来ましたが、ここからは概念の話。以下は、BlueskyがTwitterの「代わり」じゃなくて「次」なのかもしれないな、と思った理由です

ソーシャルグラフの明確な「価値」化

現状、Blueskyの始め方は
すっごい長い行列に並んで招待メールが届くのを待つ
・すでに利用を始めている他のユーザからの招待コードをもらう
の2種類です。
すっごい長い行列、本当にすっごく長いです。今って何ヶ月待ちなんでしょう……
なので、早く始めたい人は後者の「すでに利用を始めている他のユーザから招待してもらう」必要があります。

つまり、サービスにどのくらいのタイミングで参入できるかは、おおむねソーシャルグラフ(ネット上での影響力・存在感)に依存します。ちょっとビジネス用語的な表現になりますが、
【マジもんのアーリーアダプター】>ソーシャルグラフが強い人】>【コミュニティへのエンゲージメントが高い人】>【コミュニティのフォロワー】の順に既存のコミュニティがまるごと移設されるわけです。
SNSの帰属意識の源泉はサービスではなく、コミュニティですからね。

SNSで発信して近い価値観の人から認めてもらいたい、という欲求は「社会で生きる種」としての原初の本能に直結しています。
それを実現する世界における存在感を明確に価値化することで、コミュニティの成長と健全化(後述)を目指しているんじゃないか、と思っています。

ファンダムやコミュニティの健全化

これまでも、ソーシャルグラフは(たとえばTwitterでは「フォロー数よりもフォロワー数がどのくらい多いか、みたいな評価軸で)可視化されていました。そのため「人を集める・人が集まる」ことが目的化されがちです。これ不健康になりやすいんですよね。

人が起点になるコミュニティでは、エコーチェンバーと排他的な「因習村化」が起きやすくなります。さらに、息苦しくなっても外の情報に触れる機会が制限されがち。
この「知らない人には出会えない」問題は、DiscordやMastodonなどのプロジェクト系コミュニティで顕著でした。サーバ見つからないのよ。

Blueskyはコミュニティの中心が「あの人の声」ではなく「あのあたりの情報」になります。発言者と情報を切り分け、「知らない人の発言」に気軽に出会えるようになりました。

「発言者と切り分けられた”外”の情報に出会える」というのは、ファンダムやコミュニティの因習村化をかなり抑えられるんじゃないでしょうか。少なくとも「正直息苦しいけれど、ここから離れるデメリットのほうが大きいし」で身動きが取りにくいコミュニティの周縁・ヒエラルキーの下層(あえてそう表現します、あるじゃん実際)の人を救うと思います。

自分自身の多面性を守れる

Instagramに顕著ですが、Twitterでも発信者が最も効率よく報酬(承認)を得るには「特化性・一貫性」が必要です。
だから多くの発信者は、Instagramの場合は唯一の、Twitterの場合は複数のアカウントを持って自己表現の選択と集中をしています。

本当の自分の多面性とソーシャルで見せる一面性は一部重複しながら乖離し、その距離は承認の数(フォロワー数)が増すほど広がりやすくなる……それがSNS疲れの一因になると思っています。これはもうTwitterやInstagramの仕組みの問題です。

Blueskyの「発信者じゃなくて、情報だけフォローする」というフィード機能は、人間と表現を切り離します。人と密接に関わらなくても色々な情報を得られる環境は、発信する側と閲覧する側の距離を適切に保ち、それぞれの多面的な嗜好を構造の中でやわらかく受容する空気につながるんじゃないかなあ……と期待しています。

始め方、遊び方

ここまでベタベタに褒めてきましたが、Bluesky最大の問題は「始めにくい」ことです。これはBluesky公式がコミュニティの拡大と治安維持を両立させるために取っている施策なので現状ではどうしようもありません。

招待コードの入手法

招待コードの入手方法は先述した通り、
すっごい長い行列に並んで招待メールが届くのを待つ
・すでに利用を始めている他のユーザからの招待コードをもらう
の2種類。
すでに利用を始めている人のところには、定期的に数枚の招待チケットが届くそうです(私は使い始めたばかりなので、まだ受け取ったことがありません)。

というわけなので、早く参加したい人は使ってそうな人に聞くか、Twitterなんかで「招待コードほしい~!」って発信してみるのがいいかもしれません。私はたまたま「コードあるよ」と言ってくれた友人に甘えました。

なお、闇市メルカリで出品している人もいるようなのですが、詐欺である可能性と、それ以上に後述の理由から売り買いはおすすめしません。

人から招待されるとき/人を招待するときの注意点

最速で始める方法は「知人からの招待コード入手」と言いました。
実は、この招待コードには連帯責任の紐付けがされています。

・招待相手がアカウントを作ったとき、招待した人間に「あの人こういうアカウント作ったで」という通知が来る
・招待相手が規約違反などでBANされた時には、招待した人間にもペナルティが課される(一緒にBANされる?)

現時点で分かっているのが上記2点。
信用スコアリングのアルゴリズムは(もちろん)明確にされていませんが、いわゆる「迷惑な人」は、招待した人ごとサービスを追い出される仕組みになっています。

なので「好き嫌いはともかく、近しくて、でもちょっと非常識な人」には招待コードを渡したくないのですよね。
色々試されている感じがして怖い気もしますが、少なくともBluesky内のコミュニティにおける治安の急激な悪化は確かに防止できます。

招待コードの売買によってスパム業者や詐欺団体に加担してしまった場合、自分のアカウントも「同類」とみなされますから、闇市に手を出すのはやめておきましょう、マジで。

私は使い始めてまだ日が浅いので実際に見ていないのですが、「一瞬湧いたスパム垢もすぐに消える」らしいので、現状ではかなり健全に仕組みが動いているようです。

ネット記事にありがちな締めのあいさつ

いかがでしたでしょうk……バカバカしいなこれ。
概念の話だけでここまで長くなるとは思いませんでした。粗いところもありますがパッション優先で公開します。
「ああ、これいいわ、なんか、この感じイイ」って思った私が、その感情を言語化したくて書いたものです。ぶっちゃけ「触ってみればすぐ感じられること」だと思います。

始め方や「まず何をすれば楽しいか」などは、また別の機会に書くかもしれません。……が、優良な記事がほかにもいっぱいあるから別にいいかな。

とはいえTwitterにも「既存のコミュニティ」と「数年かけて作り上げた、自分のためだけのタイムライン」という強烈な愛着が残っていますので、私はイーロンの骨までしゃぶる勢いで使い倒すつもりです。


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