「ふぁん」全曲レビューその③ 6~7曲目
皆さん、おはこんばんちは。
絶賛更新中(笑)の「ばってん少女隊(ばっしょー)」オリジナル3rdアルバム「ふぁん」全曲レビュー。
その3回目となり、全13曲中の6~7曲目ですので、今回が折り返し地点であります。
「ふぁん全曲レビュー その③」
マガジン「ふぁん」全曲レビュー
前回までのレビューは、↓こちらのマガジンで
4分で分かる「ふぁん」全曲視聴ティザー映像
それでは。
音楽の真髄を極めた訳でもなく、専門家でもない私が、ただ単に曲の感想を述べるだけのブログですが、どうか最後までお付き合い頂ければ幸いです。
6. OiSa
(作詞・作曲・編曲:渡邊 忍)
さて。さてさて!
6曲目は「OiSa(オイサ)」という曲ですが、これはばっしょー結成5周年記念として発売されたこのアルバムの中でも、ひときわ「異彩」を放つ一曲です。
これを初めて聴いた時の衝撃は筆舌に尽くしがたいですし、またレビューのために聴き込んでいくと、その奥深さにますます心酔してしまいました。
公式MVの世界観
それを説明する前に、まずはとにかく聴いてほしいので、公式MVをぜひ、ご覧になってみてください。
いかがでしたでしょうか。
独創的な歌詞とメロディライン、そして「和」を感じる摩訶不思議な映像。
私はこの映像を観て真っ先に、巨匠・黒澤明監督の映画「夢」の中にあった“狐の嫁入り”というエピソードを思い出しました。
※追記:公式MVのYouTubeコメント欄で1:34の部分が、赤い障子の向こうにメンバー(多分、理子ちゃん)のシルエットが見えるんですけど、それが今のばっしょーのロゴと同じ!という指摘がありました。
確かにそうでした。気が付かなかった!
ジャンルレス・アイドル
私の知る限り、アイドルというジャンルの楽曲として、こんな曲は聴いたことありません。
ですが、反対にアイドル以外の他のジャンルでも、こんな曲を歌えるアーティストは他にいないでしょう。
だとすれば、これはもう大風呂敷を広げて言えば、博多というテーマ性からして「ばってん少女隊」という独自ジャンル、と言っていいかもしれません。
曲の成り立ち
まずは、この曲の成り立ちからお話しましょう。曲の解説をばっしょーの公式サイトから引用します。
「おっしょい!」は、ばっしょーちゃんたちのメジャーデビュー曲で、鯛員(ばっしょーファンの総称 ※注:この呼称は2021年12月より「隊員」に変更されました)の間では、もう既にレジェンド的楽曲として認知されています。
2017年8月の「SIF(しがこうげんアイドルフェスティバル)」では、なんと持ち時間いっぱい「おっしょい!」1曲だけを繰り返し8連発で歌った、という伝説まで作っている曲です。
「おっしょい」と「オイサ」
「おっしょい!」は疾走感溢れるメロディと歌詞、彼女たちの代名詞となったヘッドバンキングの振り付けなど、ライブでこの曲が始まると「待ってました!」とばかりに会場の雰囲気が一変し、サイコーに盛り上がります。
そして、↓このライブ動画を観ていただくと分かるんですが、2番が終わって大サビに行く前の間奏で「オイサ!オイサ!」というかけ声を入れながら、綱引きのようなアクションで踊る体力勝負の振り付け(笑)があるんです。
(1分50秒過ぎ)
他所から来た人は“わっしょい”と勘違いしますが、「おっしょい!」は博多の祭り独特のかけ声です。
※ペイペイドームでのホークス戦で、「おっしょい!おっしょい!」という掛け声を「わっしょい」と言ってるのは、たいてい転勤族か同じ九州人でも博多っ子以外の方たちですね(笑)
つまり「おっしょい!」と「オイサ!」は、博多人にとっては一対のかけ声なんです。
ですから、「おっしょい!」を作った渡邊忍さんが、「OiSa」という曲を作りたかったというのは当然の流れですし、それを実現することでばってん少女隊の歴史に一つの大きなエポックを作ってくれたことは、大変意義のあることだと思います。
楽曲構成
ここまででも充分長くなっていますが(笑)、ここからは「OiSa」の楽曲について語っていきましょう。
まず、イントロに続くAメロから度肝を抜かれます。
♪君が思ってた想定の遥かナナメ上
♪やたらめっためたテンションブチ上げ
「♪君が…」から「ナナメ上」の「う」までが同じ音階で、最後の「え」だけポンと音が上がるという独特のメロディライン!
この2つの音は、ピアノなどキーボードの鍵盤を、3本の指で間を一つずつ空けて押さえると「ドミソ」等の和音になりますが、その一番低い音と一番高い音がこのメロディラインの2音の関係です。
↓この動画でお分かり頂けると思います。
ピッチコレクト
そしてアレンジ面でもこの部分にはある仕掛けがしてあって、♪ナナメ上の「上」の部分に「ピッチコレクト」というエフェクトがかかっています。
これはPerfumeなどの楽曲でよく使われている、いわゆる“ケロケロ声”と言われるエフェクトですけど、これがばっしょーちゃんの楽曲で使われるのは初めてじゃないかな~。
続くBメロは、ただひたすら♪OiSa OiSa OiSa OiSa OiSa
のリフレインという、これもまた驚きの展開。歌詞カードを見て初めて分かるんですが、最後の行だけOiSa の数が一つ多いんです。
次にもう一度、Aメロで
♪いつも待ったなしの暮らしばかり気を取られ
♪不満ばかりが溜まる我々
と、冒頭と同様に韻を踏む歌詞で展開します。
そしてまた、Bメロの「OiSa」の繰り返しで、それも2ブロックをリフレインするという、これも驚きの展開。
その後、ようやく違うCメロに移行します。
♪はしゃぎたい
♪味気ない日々では物足りない
♪はじけたい
♪やるせない日々とはお別れしたい
と、これもなんと!
Aメロをなぞるように、1音だけで音階の上下が全くないメロディラインです。
追記:この、音の上下のない1音メロディの謎については、アルバム「九祭」収録の「御祭sawagi」のレビューで解明しています。
↓
そして、このCメロのリフレインに重ねて、Dメロが展開されます。
♪ほらね真っ当に生きてしまうから
♪満身創痍だ 満身創痍だ
♪ほらね雑踏に消えてしまうから
♪半信半疑だ 半信半疑だ
ここの「ほらね」にもケロケロ声のエフェクトがかけてありますね。
このDメロを2ブロックリフレインした後、再びAメロの
♪君が思ってた想定の遥かナナメ上
から、Bメロ
♪OiSa OiSa OiSa OiSa OiSa
へと移ります。
この曲最大の特徴
そして、ここからがこの曲最大の特徴を示すブロックへと展開していきます。
Bメロ
♪OiSa OiSa …
に重ねて、Cメロ
♪はしゃぎたい…
が入ってきます。
さらにここへDメロ
♪ほらね真っ当に生きてしまうから
と、B・C・Dの3つのパートが見事に重なって、一気にラストへと突っ走って行くのです!
曲のラストは、Dメロ
♪ほらね真っ当に生きてしまうから
が、リズムセクションの楽器を省いた伴奏で展開して、ピタリと終わります。
ここまで書いて気付いたんですが、なんとこの曲には1番、2番という普通の楽曲のセオリーが存在しないのです。
大サビのところでBメロ、Cメロ、Dメロが見事に重なる展開は、オペラや劇団四季のミュージカル(「オペラ座の怪人」)などではよくある編曲手法ですが、アイドルの楽曲では極めて珍しいと思います。
この3つのブロックが重なる楽曲では、ポール・マッカートニー&ウイングスの「心のラブソング」を思い出しました。
(4分10秒過ぎから)
改めて聴くと、なんか終わりかたの雰囲気も「OiSa」っぽいなぁ😆
振り付けのフォーメーション
この曲については、さらに、もう少し語りたいので続けます😆
こちら↓を観てください。これは「バズリズム」という番組にばっしょーちゃんが出演しまして、メディアで「OiSa」を初披露した時の動画です。
この動画では、公式MVでは分からなかったダンスの振り付けを詳細にチェック出来ます。
冒頭の
♪遥かナナメ上
のところで、理子ちゃんときーながゆらーりと左右に分かれてぴょんと飛ぶ動作は、公式MVのお面を被った踊り子が同じ振り付けを踊っています。
♪たまにはどう無鉄砲
の時にピストルのように手を振るところは、そのお面の踊り子は両手を組み合わせて踊っています。ばっしょーちゃんたちはマイクを持っているため片手でしか出来ないんですが、本来はあの踊り子の振り付けなんだと思います。
「OiSa OiSa」の時、両足で横に動いて最後にぴょこんと片足を上げるとこが可愛い!
♪はしゃぎたい
♪味気ない日々では物足りない
の一連の動きは、愛ちゃんが真ん中で踊るところから、フォーメーションの動きになるとこもイイですね!
次のDパートのために、さりげなくちゃんちゃんがセンターに移行してきています。
ちゃんちゃん人気上昇の予感
冒頭の公式MVがアップされているYouTubeのコメント欄を見ると、「バズリズム新規」(笑)の人もかなりいるみたいです。
今、っていうか結成当初から、ばっしょーでは5人の中でちゃんちゃん(瀬田さくらちゃん)が人気ナンバー1なんですが、
♪ほらね真っ当に生きてしまうから
♪満身創痍だ 満身創痍だ
このキーフレーズもちゃんちゃんがキメテくれていますし、公式MVもちゃんちゃんメインだし、このバズリズム新規の人たちからまたもや、ちゃんちゃんファンが増えそうな予感ですね😆
7. Dancer in the night
(作詞・作曲:KAKUWA、編曲:久下真音 / 5週連続リリースシングル)
という訳で、長編となってしまいました「OiSa」(笑)に続きまして、7曲目は「Dancer in the night」であります。
大人カッコ良さへのチャレンジ
ばっしょーちゃんたちの音楽は「スカ」をメインコンセプトに据え、元気いっぱいに歌って踊る!というスタイルを基本としてきました。
しかし、今回のアルバム「ふぁん」では、これまでの彼女たちとはちょっと違う「大人カッコいい」楽曲にチャレンジしてくれています。
「Dancer in the night」というタイトルからして、それまでピーカンの青空の下で歌っているイメージのばっしょーちゃんでは考えられないコンセプトです(笑)
エモい歌詞
歌詞で好きなところは、
♪ダンス and ダンス
♪まだ踊り続けてよ
♪ブレーキン?ジャイブ?
♪見たことのないステップで
♪ダンスする君に
♪誰もが瞳奪われて
この「ブレーキン?ジャイブ?」って歌詞、素敵ですね。夜のダンスフロアで、「見たことのないステップで踊る君」を表現する歌詞に「?」を付けるなんて、エモいなぁ!
それから2番のアタマ、
♪汗をかくジン・フィズを片手に
なんてお酒の歌詞が、メンバーで唯一20歳を過ぎてる愛ちゃんのボーカルに割り振られているところ、バッチシです。
(注:これはアルバム発売時点の年齢で、先日11月26日には晴れて上田理子ちゃんも二十歳を迎えました)
あえて言わない
そして、サビの一番最後、
♪笑って歌っている君の
♪視線の先を追うたびに
♪僕は…
と、「君の視線の先」に有るものを見て、何を感じているのか。
「僕は…」の「…」の先を、あえて言わないこの歌詞。
素敵じゃないですか!?
私はちょっと前、小田和正さんの歌詞に見られる「省略の美学」について書いたことがあります。
そのブログタイトルが、なんと「あえて言わない」だったんです!(笑)
その後すぐに、ばっしょーちゃんたちの楽曲で「あえて言わない」歌詞が出てくるとは!
僕はもう…
(…と、その先はあえて言わない…(笑))
ふくみみんさんの歌詞考察
この曲の歌詞の解釈については、あるブロガーさんがとても的確な指摘をされてますので、そのブログを引用させていただきますね。
「ふくみみん」さんという、アイドルレポや鯛員さん(ばっしょーファン)のインタビュー・シリーズなど、奥深いブログを書いてあるお方です。
歌詞についての下手な考察は全て、このブログの二番煎じになってしまいかねないな!と感じましたので、あえてしません😉
歌詞に出てくる「僕」と「君」について、とても深い考察をされてますので、ぜひ読んでみてください。
楽曲提供者
作詞・作曲は「KAKUWA」という人物なのですが、ググってみても抗菌フィルムの会社とか建築アドバイザーの会社しか出て来ませんで(笑)、どんな人物かは全く不明です😅
で、このアルバムでは13曲目のボーナストラック「Happy」も提供してくれています。この2曲を聴く限り、私はKAKUWAさん、好きです。
男性なのか女性なのかも分かりませんが、歌詞の繊細さからすると女性なのかな~。
そこは「Happy」のところでも触れてみたいと思います。
久下さんグッジョブ
そして!
編曲は、このアルバムでフル稼働の久下真音さん!
この「Dancer in the night」でもグッジョブしてくれてますよ~。
まずイントロから、ギターのリフがカッコ良すぎるっ!
そこから歌詞のパートが始まっても、なんとそのギターリフが鳴り止まないんだなぁ、これが!
ステレオのヘッドフォンで聴いてみてください。右耳と左耳から、違う音色のギターリフが奏でられてましてね。その両方ともカッコいいことと言ったら!
特に右耳のリフがですね、テクニックが凄くて好きなんです。一番好きなのは2番のアタマ、さっきも出てきた愛ちゃんのパート、
♪汗をかくジン・フィズを片手に
のところで、他の伴奏が止んでギターとキーボードだけになり、そのギターリフが愛ちゃんの声と一体になって、もう泣けるくらいカッコよか~!
そして、アルバムクレジットには
「Guitars:白鳥義一」
とあり、この曲以外にも
「OTOMEdeshite」
「でぃすたんす」
「Just mean it! 」
に名前があります。
その全てが久下さんのプロデュース曲なので、久下さんファミリーなんでしょうね。
イヤほんと久下さんのアレンジ、白鳥さんのギターテク、サイコーばい!
ということで。
またもや語りたいことマグマの如しで(笑)、長文になってしまい申し訳ありませんでした。
次回、「ふぁん」全曲レビューその④を、お楽しみに。
では、また逢えるから、この言葉が言えるんですよね。
ごきげんよう、さよならDestiny!