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中国スタートアップ 資金調達Weekly Report_2021/05/14-2021/05/20_20w

こんにちは!
中国大好きな竹内雄登です。
ソフトバンク投資部門でのベンチャー投資業務を経て、先の4月末までSPEEDAというデータベース向けに中国産業調査をしていました。

今年の2021年から、ITjuziというデータベースの情報をもとに、Weeklyで中国スタートアップの資金調達状況について発信することにしました。
このWeekly Reportでは、主に以下3点についてまとめていきますので、お時間がない方は気になる箇所だけでも、ぜひご覧ください。

・各週の資金調達案件まとめ
 - 資金調達件数(日別、業界別、都市別、ラウンド別)
 - 投資金額(日別、業界別、都市別、ラウンド別)
 - 資金調達実施企業リスト
・上記資金調達により、新たにユニコーンになった企業
・投資案件数上位10の投資家

では、早速本題に入りたいと思います。

1. 日別 資金調達件数・金額

2021年の第20週目である5月14日〜5月20日における、日別の資金調達状況を見ていきます。

[資金調達件数]
5月14日〜5月20日の週は、合計97件となりました。
また、1月1日からの資金調達件数の累計は2,031件となり、ついに2,000件を超えました。2020年は年間で4,404件だったことを考えると、昨年とほとんど同じペースで投資が行われています。

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[調達金額]
非公開や曖昧な情報を除き、公開されている情報のみを集計したため、あくまで参考としてのデータですが、5月14日〜5月20日の週では、公開金額合計で72.7億元の資金調達が行われました。
また、1月1日からの調達金額の累計は2,785.4億元となりました。なお、今週の97件のうち64件が金額非公開のため、単純計算すると、今週の調達金額は集計できた金額の約3倍の規模になると考えられます。

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2. 業界別 資金調達件数・金額

では、業界別に見ると、どうなっているのでしょうか。

[業界別 資金調達件数]
今週の97件の内訳を見ていきます。
業界別に見ると、法人向けサービスの資金調達件数が最も多く、合計17件となりました。次いで、先進製造、医療・健康、ローカルライフサービスが上位に入り、上位4業界だけで今週の件数全体のうち54.6%を占める結果になりました。

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1月1日からの資金調達件数累計の内訳を見てみると、上位4業界の医療・健康、法人向けサービス、先進製造、ローカルライフサービスだけで、全体の58.7%を占めています。

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[業界別 調達金額]
公開されているものだけのため、あくまで参考程度のデータですが、今週は医療・健康、自動車・交通、教育、先進製造の順に多く、上位4業界で全体の64.7%を占めています。

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自動車・交通では、伊藤忠商事が出資している「地上鉄(DST)」がシリーズC+で数千万米ドルを調達したと報道されています。

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同社は物流で利用される新エネルギー車向けのプラットフォームを提供しており、新エネルギー車のレンタルや充電スタンド事業などを行っています。現在、170以上の都市をカバーしており、取り扱う車両は3.5万台以上、充電スタンドは15万以上とのことです。

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話を戻して、1月1日からの調達金額累計を業界別に見ると、医療・健康、Eコマース、物流、自動車・交通の順に多く、上位4業界だけで全体の59.5%を占めています。

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3. 都市別 資金調達件数・金額

続いて、都市別の内訳を見ていきましょう。

[都市別 資金調達件数]
今週の97件を都市別に見ると、上海、北京、杭州、深圳の順にランクインし、上位4都市だけで全体の69.1%を占める結果となりました。

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1月1日からの資金調達件数累計の内訳を見てみると、上位4都市の北上深杭(北京、上海、深圳、杭州)だけで67.3%を占めています。
また、先週に引き続き、上位10都市のみで累計投資件数の約84%を占めていることから、投資は一部の都市に集中していることがわかります。

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[都市別 調達金額]
公開されているものだけのため、あくまで参考程度にご覧いただきたいのですが、今週は上海、北京、南京、深圳の順にランクインしました。

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また、1月1日からの調達金額累計の内訳を見ると、北京、上海、深圳、長沙に集中していることがわかります。次いで、先週に引き続き5位以降は蘇州、杭州、広州が競り合っています。

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4. ラウンド別 資金調達件数・金額

ラウンド別に見るとどうなっているのでしょうか。

[ラウンド別 資金調達件数]
今週の97件では、シリーズAが44件で1位、シリーズBが16件で2位になりました。これら上位2つのラウンドだけで全体の61.9%を占めています。

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1月1日からの資金調達件数累計の内訳を見てみると、先週に引き続き、シリーズA、戦略投資、シリーズBの順に多いです。シード/エンジェルラウンドの件数も日に日に上昇しており、総じてアーリーステージの企業による資金調達が活発であることがわかります。

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[ラウンド別 調達金額]
公開情報のみをもとに集計した調達金額をラウンド別に見ると、シリーズAが最も多い26.8億元となり、全体の36.9%を占めています。
次いで、シリーズBが21.9億元で2位となり、全体の30.1%を占め、上位2つのラウンドで全体の66.9%を占める結果となりました。

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1月1日からの調達金額累計の内訳を見ると、戦略投資、シリーズA、シリーズDの順に多く、上位3ラウンドでの合計は全体の58.6%を占めています。

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5. 今週、新たにユニコーンになった企業

今週、新たにユニコーン企業になった企業はなく、中国のユニコーン企業数は2021年5月20日時点で291社*になりました。
*ITjuziが公開しているデータのため、その他データベース等がまとめている数値と異なる可能性があります


6. 今週、資金調達を行った企業リスト

2021年5月14日〜5月20日に資金調達を行った企業は以下の通りです。

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今週気になった案件は、アリババによる及时格子(JISHI GEZI)への投資案件です。

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及时格子(JISHI GEZI)はホテルに設置する自動販売機を提供しています。宿泊客はわざわざコンビニなどに行く必要がなく、部屋の中で欲しい物をAlipayかWeChat Payで簡単に購入できます。ホテルにとっては、ホテル内にコンビニなどを設置する必要がなくなり、賃料や人件費の削減につながるというメリットや、部屋の単価が上がるというメリットがあるようです。

自動販売機とのことですが、ミニバーではなさそうなので、何を売っているのか気になり、調べてみました。

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同社によると、販売している商品は様々とのことで、名言されていませんでした。そのため、ネットに載っている情報をかき集めたところ、現状アダルトグッズを販売しているケースが多いことがわかりました。当該製品はビジネスホテルに設置されているのですが、ビジネスホテルの部屋の雰囲気を壊さないよう、中身が見えにくい+洗練されたデザインになっている理由に合点がいきました。日本でよくある自動販売機と同社製品の画像を比較してみると、確かにビジネスホテルに設置されていても違和感がないことがわかります。

及时格子(JISHI GEZI)の自動販売機

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↓日本のラブホテルによくある自動販売機
画像出所:http://gargantua.asablo.jp/blog/cat/05/

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現在、锦江酒店集团、华住酒店集团、东呈酒店集团、维也纳、如家等といった中国で有数のホテルチェーンと提携しており、10万部屋以上に設置されているようです。

アリババにとっては、Alipayや各種ECなどとのシナジーはあると思いますが、なぜ投資したのか気になりますので、引き続き注目していきたいと思います。


7. 今週末時点での投資件数TOP10の投資家

2021年の投資件数TOP10の投資家は以下の通りとなりました。
※順位の矢印は先週との比較を表しています

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テンセントは今週3件の投資を行い、先週に引き続き1位にランクインしました。今週は、スマートハードウェア、ローカルライフサービス、先進製造にそれぞれ1件の投資がありました。

また、セコイアチャイナも先週同様2位にランクインしました。
今週の投資案件は6件となっており、スマートハードウェアに3件、ブロックチェーン、金融、先進製造にそれぞれ1件の投資をしています。


以上、今週の中国スタートアップ資金調達レポートでした。

今後も毎週レポートしていきたいと思いますので、よかったらスキとフォローをお願いします。

お問い合わせは以下にて受け付けております。
竹内 雄登(Yuto Takeuchi)
Twitter:https://twitter.com/yuto_takeuchi01

注:
・本noteは速報の位置付けとしています
・事実を整理し、定期的に投稿することを目的としていますので、特定企業の分析や各社の投資傾向に関する情報が薄くなることはご了承ください
・本noteにおける中国スタートアップは、中国を拠点とする非上場企業を指します
・投資件数・金額およびその他データは本note投稿時点にITjuzi上で集計できたものを反映していますので、後日ITjuziのデータが修正・削除された場合、Weekly Reportの前後で数値のずれが発生する可能性があります。ずれが発生した場合、遡及して過去分を修正しませんので、ご了承ください

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