ルールを無視する企業に就職したら ―フライング採用―
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今回は、企業の「フライング採用」について、不倫の話をからめながら書きたいと思います。
「妻と別れるからいつか結婚しよう」、こう言うK君の言葉を信じて不倫を続けるU子さんが、妻との離婚を渋るK君に対して言いました。
「奥さんと離婚してくれないじゃないの!約束が違う!ルール違反よ!どういうつもり!」
さて、みなさんはそんなU子さんにどんなツッコミを入れますか?
簡単に言えば、
「アホか・・・」
ですよね。
そもそも「不倫」というルール違反を許したのはU子さんですから、U子さんはK君に「ルールを無視してもいい」と言ったことになります。
ですからK君がU子さんとの約束を守らなくても仕方ありません。
U子さんは、ルールを無視するK君だと知っていて付き合ったわけですから、世間はU子さんの主張に耳を傾けるはずはありませんよね。
主張すればするほど「おまえも悪い」と言われるのがオチです。
ルールを無視するK君と、それを承知でK君と付き合うU子さん。
K君もU子さんも、目先の利益を追いかける人ですから、そんな二人の末路はわかりきっています。
では、ルールを無視する企業と、それを承知で、その企業に入社する社員についてはどうでしょうか。
数年前までの話なんですが、経団連関連の企業の間では、新卒の採用にあたり採用活動を始める「解禁日」という約束事がありました。
解禁日を過ぎると、企業は新卒の採用活動を始められるわけです。
しかし、どの企業も優秀な人材を欲しがりますから、結局のところ、解禁日の前に採用活動を始める企業が6割になったようです。
「採用活動の解禁日」というのは、経団連などが決めたものであり、全ての企業に有効ではありませんし、法的拘束力もありません。
しかし解禁日というルールの影響を受けている企業の6割が、それを無視し、「フライング」して採用活動を始めたんだそうです。
本来企業は、「社会貢献」のために設立され、企業自身も「企業理念」としてそれを公言しています。
にもかかわらず、「フライング採用」をするということは、「自分の利益のためならルールを無視していい」と言っていることになります。
では、「目先の利益のためにルールを無視する企業」に出向き、「採用の内定」をもらった人はどんな人だと思いますか?
・・・そうです、その企業と同じように、目先の利益を追求する人なんです。
結果的に、「目先の利益のためにルールを無視する会社」と「目先の利益のためにそれを認める社員」、この二者で構成される組織ができあがります。
表現を変えると、「社員を利用して儲けようとする会社」と「会社を利用して儲けようとする社員」という構図になり、やがて会社は社員から内部告発され、社員は重圧で自殺をするようなストレス状態が生まれるわけです。
・・・
さて、話は戻ります。
サービス業のK社の「フライング採用」に応募して入社したU子さんが、当初の採用条件を守らないK社に対して言いました。
「今の仕事は採用条件と違うじゃないの!約束が違う!ルール違反よ!どういうつもり!」
さて、みなさんはU子さんにどんなツッコミを入れますか?
簡単に言えば、
「アホか・・・」
ですよね。
そもそもK社の「フライング採用」というルール違反を許したのはU子さんですから、U子さんはK社に「ルールを無視してもいい」と言ったことになります。
ですからK社がU子さんとの約束を守らなくても仕方ありません。
U子さんは、ルールを無視するK社だと知っていて入社したわけですから、世間はU子さんの主張に耳を傾けるはずはありませんよね。
主張すればするほど「おまえも悪い」と言われるのがオチです。
ルールを無視するK社と、それを承知で入社したU子さん。
K社もU子さんも、目先の利益を追いかける人たちですから、そんな二者の末路はわかりきっています。
さらに、U子さんが、お酒の席で会社の愚痴を言ったら、お酒を飲むことでまずアウト、そして愚痴を言うことでアウトと、二重の意味でアウトになります。
ですから、ある程度世の中の仕組みを知っている大人たちは、一斉にU子さんから離れていくか、U子さんの外見が少し美しければ、セックスだけの対象と見られます。
◎フライング採用は愛ではない
たとえば、自分の利益のために不倫に誘う既婚男性がいても、女性側がそんな男性をボイコットすれば、男性は不倫などできません。
既婚男性が不倫をやめないのは、不倫を認める女性がいるからです。
不倫を黙認し、不倫をした女性がその後どうなるかは、歴史が示している通り、9割かそれ以上の女性が嘆くことになり、1割の女性も、煮え切らない気持ちで人生を過ごします。
同じように、自分の利益のためにフライング採用をする企業があっても、学生側がそんな企業をボイコットすれば、企業はフライング採用などできません。
企業がフライング採用をやめないのは、フライング採用を認める学生がいるからです。
フライング採用に応募し、採用された学生がその後どうなるかは明らかです。
目先の利益のためにルールを無視する会社に就職するのは、目先の利益のために既婚男性と不倫をするのと同じことです。
人生の目的は、「不倫」ではないはずです。
解禁日を守らない会社に就職したら、それがいくら「一流企業・高給」と言われていても、大切なものを失います。
おそらくストレスを溜め、そのストレスを発散するために、稼いだ分より多くお金を使ってしまいます。
言ってみれば、ストレスを溜めながら毎月50万円稼ぎ、ストレス発散のためにそれ以上のお金を使う「悪循環」の生活です。
であれば、ルールを守る誠実な会社に就職し、ストレスを溜めず30万円稼ぎ、ストレスを発散する必要がない生活の方が幸せです。
とは言え、不倫をする人が後を絶たないのは、「体験」してみなければわからないからです。
フライング採用する会社に就職したらどうなるかということも同じで、「就職」が人生の目的になっている若者たちの中では、「就職内定」という目先の快楽を追うのは当然です。
若いうちは、様々な体験を教訓として活かせますから、やはり「体験」してみるのもいいかもしれません。
◎フライング採用の影で
フライング採用は、「自分さえよければいい」という考えの企業と、その企業と同じ考えの人間が、共同して行うルール違反です。
そして、その影で、ルールを守っている人たちは、ルールを守っているがために、不利益をこうむるわけです。
目先の利益を追う人たちは、ルールを守る人たちの不利益の上に目先の利益を得ているわけですが、それが愛ではないことは誰でもわかりますよね。
フライング採用は、当人同士が納得していればいいというわけではなく、極論すれば、「真面目な人たちの犠牲の上に成り立っている」ということも忘れないでください。
真面目な人たちを犠牲にして自分の利益を追求することは、もちろん「愛」ではありませんから、その企業に就職したとしても「愛」に近づくことはできません。
愛を知らない組織の中で、やがてストレスを溜めることになります。
◎まとめ
ルールを無視する企業に就職したら、「ルールを無視していい」と認めたことになりますから、なにかトラブルが起こっても、全て受け入れる必要があります。
結婚式で、妻に「あなたを一生愛します」と誓いつつ、目先の利益を追って他の女性と不倫をする男性がいますが、そんな男性より、誠実な男性と関わった方が幸せですよね。
会社選びも同じことです。
「みなさんの幸せのために」と企業理念をかかげつつ、目先の利益を追ってフライング採用をする企業がありますが、そんな企業より、誠実な企業と関わった方が幸せです。
会社選びも人間選びも、愛をベースに判断できれば、あなたは長く愛される人になります。
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