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白い部屋

ココロテン
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もうなにもしたくない。毎日そう呟いて目を閉じる。

ある日、目を開けると僕は白い部屋にいた。
なんの音も聞こえない、
目に見えるのはただ真っ白な景色で、
なるほどたしかにこれは何もできないなと察した。

しばらくは悠々それを楽しんだが、
どのくらい時間が経っただろう。
ふと、いつかの雨の日、
ずぶ濡れのままにゃあにゃあと鳴く
子猫を無視した夜を思い出した。

きっと君や僕がいなくなっても
何事もないみたいに世界は回る。
生きているだけで偉いだなんて
無責任なこと言えないよ。

僕は急に悲しくなっておいおいと泣いた。

生きる意味を知るために生きてみたい。
そう声を上げたのは他の誰のためでもない、
ただの自分だった。

Photographed by nbutterfly
Narrated by 竹内 心
Story written by 竹内 心
Music composed by 山本朝陽

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