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最高の教育とは人と人とのふれあい

堤未果さんのデジタル・ファシズム 

読み切れていないのですが、教育の部分だけ読みました。

終始、行政の、教育現場の、企業の「今だけ金だけ自分だけ」姿勢が書かれていて、この世の中で子育てしていくことに不安を感じます。

考える機会が奪われる現実

「タブレットがないと全部自分の頭で考えないといけない」

実際にタブレットを持った子どもの言葉らしいです。

正直、ゾッとしてしまいました。

タブレットがあれば間違えた時すぐ説明されて前に進んでいける。

では、ないときには?

先日、docomoの通信障害でパニックが起きたばかり。

たくさんの人がスマホに依存している事実が明らかになりました。

そんなときこそ、自分で考えどう動けるかが大事なのに。

子どもたちが自分で考える機会がどんどん奪われています。

タブレットところか教科書自体がなかった著者の母校

 考えるための教材を先生が探してきて、それをプリントしたものが配られるそうです。

毎回授業のたびに配られる紙を自分で二つに折って、授業の最後にファイルに挟んでおくことで、二学期が終わる頃に教科書が出来上がる。

授業中に思いついた走り書き、計算式、その時はやっていたアニメのイラストが書いてあり、世界にひとつしかない自分だけの教科書。

当日にならないと内容がわからない授業。

その日のページだけで先が読めないから、物語はみんなで登場人物の気持ちを一生懸命考えながら、進めていく。

結末を知らない分、想像力は無限大。

子どもの想像は大人の想像を軽々と越えていきます。

どんな意見が飛び出すか、議論がどこに向かうのか予測できない楽しさを実感できるなんて幸せだなと思います。

想像するだけでワクワク。

すぐに答えを教えてくれない学校

今は大人でさえ、物事の対応にはやさを求めてしまいます。

でも、著者の学校では答えもすぐには出てこなかったそう。

答えた後、正解ではなくそう答えた理由をもう一度問い掛けられることで「どうしてそう思ったか」と小さな頭をフル回転させる。

自分の意見を口に出すこと
それぞれの理由を説明する力
人の意見に耳を傾け、自分の意見にも耳を傾けてもらうこと
話し合うこと

生きる力をつけるのは本来こういう授業なのではと思います。

一番重宝されるのが、途中でついていけなくなってしまった子というのも、誰一人置いてけぼりにせず、クラス全員での成長につながるのでしょう。

どこでわからなくなったのか、クラスのみんなで一緒に考え、疑問を口に出しながらゆっくりと一緒に答えを見つけていく。

息子の通う保育園もそうですが、どんな意見を口にしてもそのまま受け入れてくれるその環境こそ、いま大事にできたらと思います。

同じなんていう意見なんてない。

あなたは、私はどう思うのか、を大事にしたい。

セラリーニ教授の言葉です。

非常に重要な教師の役割とは、単に「パソコン上で最適な問題を解くこと」よりも「人としてのつながりや生徒を褒め励まし上達を共に喜ぶこと」なのです。 

 

今だけ金だけ自分だけ

スティーブ・ジョブズもビルゲイツも自分の子どもにiPhoneもiPadもスマホを持たせていません。

Google 幹部をはじめ西海岸の企業幹部の子ども達が通うシリコンバレーで一番人気のある学校ペニンシュラ校では、13歳より前の子ども達をテクノロジーに触れさせることを以下の理由から許可していないそうです。

デジタル機器の利用によって子どもの健康な体、創造性と芸術な柔らかい頭と機敏な精神を十分に発達させる能力が妨げられるため

この事実がどんな情報よりも明確に教育が「今だけ金だけ自分だけ」の状態であるかを示しているように感じてなりません。 

他者の行動やその意図を理解するミラーニューロンという脳内神経細胞を機能させるには、実際に人と対面で会う必要があるというものがあるそうです。

スクリーンやモニター画面を通して人と会っても、それは画面で見ているだけなので生物学的メカニズムが作動しない。

子どもたちをペニンシュラ校に通わせるの保護者たちは知っているのです。

最高の教育とは人と人、仲間とのふれあいが中心にある環境がもたらすこと。

そしてそこに無くてはならない存在は、生身の優れた教師であること。

教育は急いではいけない

北欧の国フィンランドが70年代教育水準が低かったこと、知りませんでした。

だいぶ前に出版されたフィンランドの教育を紹介する本は素敵だったので、このことには結構、衝撃を覚えました。

フィンランドがここまで学力をあげた理由。

それは、教育に関してだけ与野党関係なく全政党が「教育は、この国の政治の最重要課題である」という共通認識を持つ。

詰め込みやゆとりのような目先の成果に飛びつくことなく、

教育の質を上げるための方法を話し合い、時間をかけてすすめていったことにあるそうです。

教育改革は絶対に焦ってはいけないことをフィンランドは知っていたのです。

だからこそ、今があるのです。

大きな力に奪われるもの

そして、ビックテック企業は大きな力を持っていて、私達は自分で選んでいるつもりでも、実はそうではない。

だからこそ、今、立ち止まりテクノロジーと教育の関係をじっくり考え直すことが大人に必要だと著者は述べています。

なぜなら、今やGAFAが奪うのは単なる個人情報やプライバシーではない。

私たちが自分で自分の行動を決める未来を選択する権利」だからだ。と。

戦っている大人たちがいる。

たくさんのお父さん、お母さんに読んでほしい本です。

教育の部分以外も読み進めたい。


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