さまざまな”試○”

ここからは別のチャプターにしてみる。世にある色々な“お試し”のことに触れてみたい。

"試○"というのも怪しげに思われるかもしれない。要は試食とか試着とか“お試し”の話だけれど、必ずしもイコール“お試し”とは言えないので、まずはとりあえず「試○」としてみた。

“試○”は、対象になる商材によって異なる。いくつかピックアップしてみる。

図1

消費者向けのものに絞ってみた。動作に「試」の字が付くのが凡そだけれど、その分、ジャンルごとに「試〇」という言葉があって、裾野も広い。試食や試着などはよく知れているところで、今更かもしれない。

今度は、ビジネス寄りのものを挙げてみる。

試作品、試用版、試験販売、試用販売、試用期間、試験導入、試運転、試掘、試錐、試刷、試料、試薬 ..etc.

まずは消費者向けのものを先にと思うので、キーワードだけにしてみた(詳細はビジネス編で取り上げる)。あまり馴染みのないものも多いと思う。試作品と試用版はどちらも試作品だけれど、使われ方とプロセスが違う。試験販売と試用販売は似ているけれど違う。試用販売なんて、ほとんど馴染みがないと思う(コンシューマー向けにも実は存在する)。試運転、試掘、試刷、試薬あたりになると業種に特化している。「お試し」よりも、「試験」という畏まった言葉を使うほうがフィットするようだ。ビジネスゆえの硬さもあるのかもしれないが、企業活動なので評価やPDCAを重視するからかもしれない。

もちろん、買い物やビジネスばかりではない。

試練、試金石、試験、試合、試行錯誤 ..etc.

買い物や取引の試○と比べると、重みのある言葉が多い。今の私にピッタリの言葉ばかりだ。最後の試行錯誤なんかはまさにそうだ。

消費者寄りの“試〇”に話を戻す。

さきほどの表のように“試○”が付いたものばかりではない。オリジナルの試○が存在して認識している人も多いものは、当たり前のことだけれど、それだけ世間一般的に浸透している“お試し”ということだ。ルールとは言わな

逆に、していないものは”無名のお試し”と言えるかもしれない。中には、誰かが“お試し〇〇”とか“試し〇〇”と造語を作っていることもあるし、もちろん、お試しでも十分通じる(はず)。ないということは、話が先走るが、その分これからの”お試し”マーケティングやビジネスの可能性がある分野ともいえる。

「試住」という言葉はひと昔前には無かったに等しくて、今でもそれほど浸透しているとは言えないかもしれないけれど、徐々に増えてきて、今では試住(宿泊体験)に積極的に取り組む住宅メーカーや、移住を促進する自治体も目立ってきた。試住をテーマにした新サービスも登場している。

また、「試」という字がつかないけれど、実はお試しの機能を持った隠れ“試〇”も存在する。これも追々書きたい。

それぞれの"試○"が浸透した世界では、進化したそれぞれ独自のお試しの世界やメカニズム、不文律のルールがある。試○間同士では相容れない習慣も存在する。ITを活用した新しい試みも増えている。多くの購入客は、買い物経験を通じて各々の試○の世界を理解し、新しい手法を受け入れている。

呼び名は色々だけれど、“試〇”が対象とする商品やサービスの性質によって、“試〇”もある程度、分類される。その分類によって“試〇”のベースとなっている仕組みが共通して存在することにも気づく。その進化の可能性についてもだ。

この後、それぞれの”試○”の世界について垣間見てみる。

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