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アルコール依存症と訪問看護

看護師 山田祥和

アルコール依存症の患者数は100万人いるとも言われています。予備軍を含めると400万人以上いるとも言われています。そのうち治療につながっている人は5万人程度です。

つまり治療につながりにくい病気で、治療につながっても最初は否認する病気です。

私たち訪問看護にも、生活に支障をきたしているため、医師からアルコール依存症を抱えた方の依頼があります。

しかし、最初は自分には必要ないと拒否をされる方もいます。

その中でどのようなかかわりをしているかと言いますと

①身体的な観察
アルコール依存症による身体的な影響(肝臓、心臓、神経系など)の確認。
栄養状態の改善に向けたサポート(食事指導、体重管理など)。

アルコール依存症は、若くても死に至る病気です。身体的な視点は必要です。

②精神的サポート
アルコール依存症に伴う不安、うつ、イライラなどの精神的な問題に対するサポートをしていきます。

欲求があったらその欲求を言語化できるように、「飲みたくなった」「飲みたい」と言える関係性を築いていきます。

ストレスやトリガーとなる要因を共に考え、対処方法も一緒に考えます。

③連携
医療機関や自助グループ(断酒回やAAなど)への参加や、カウンセリングの提案・連携をしていきます。

自助グループは合う人合わない人がいるかもしれませんが、一人でやめるのは困難です。

仲間作りのためにも人とつながっていることは大切です。

医師や訪問看護師も社会との繋がりとしての役割を果たしています。

④家族のサポート
家族がイネイブリングしないようにサポートします。

イネイブリングとは具体的に、本人の機嫌が悪くなるからと酒代を渡す。
尿失禁や吐物など、アルコールによる失敗を処理する。
本人に代わり、会社に休みの電話を入れる
飲み代のツケを返してあげる

また、家族の精神的負担の軽減を目的とした相談も行います。

ほとんどの家族は疲弊しています。家族が元気でいることが依存症からの回復につながります。

⑤生きにくさへのアプローチ
快楽的にアルコールを摂取する人もいますが、生きにくさから逃れるためにアルコールを摂取する人もいます。

何が生きにくいのか一緒に考え、アルコールに代わる対処法を考えます。

依存症の方は孤独になりがちですので、定期的に訪問する看護師は孤独感の解消にもなります。なにをするわけでもなく、雑談も有効になってきます。

何はともあれつながっていることが大切です。そこを意識しながら日々関わっています。

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