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SDGsの原点がここに。世界各国代表が集った、初めての地球環境保護「国連人間環境会議」

1972年6月5日から16日まで、ストックホルムでの会議

1960年代から大規模な社会構造を変革する産業革命は始まりました。紡績工業や蒸気機関の発明・急速な発展は相まって地球環境の大気や水を汚染し始め、それがやがて人の尊厳を失い、また自然破壊へと導かれていくのでした。

この会議では26項目にも及ぶ「人間環境宣言」が締約されたのです。人類は社会経済の発展と引き換えに大いなる罪を犯し、ここに地球再生・新たな発展への誓約をすることとなりました。

人は環境の創造物であると同時に、環境の形成者である

最初の「宣言」は6項目書かれていますが、主要点だけ抜粋します。

人は環境の創造物であると同時に、環境の形成者である。環境は人間の生存を支えるとともに、知的、道徳的、社会的、精神的な成長の機会を与えている。

人間環境を保護し、改善させることは、世界中の人々の福祉と経済発展に影響を及ぼす主要な課題である。これは、全世界の人々が緊急に望むところであり、すべての政府の義務である。

我々は地球上の多くの地域において、人工の害が増大しつつあることを知っている。その害とは、水、大気、地球、及び生物の危険なレベルに達した汚染、生物圏の生態学的均衡に対する大きな、かつ望ましくないかく乱、かけがえのない資源の破壊と枯渇及び人工の環境、特に生活環境、労働環境における人間の肉体的、精神的、社会的健康に害を与える甚だしい欠陥である。

我々は歴史の転回点に到達した。いまや我々は世界中で、環境への影響に一層の思慮深い注意を払いながら、行動をしなければならない。無知、無関心であるならば、我々は、我々の生命と福祉が依存する地球上の環境に対し、重大かつ取り返しのつかない害を与えることになる。逆に十分な知識と賢明な行動をもってするならば、我々は、我々自身と子孫のため、人類の必要と希望にそった環境で、より良い生活を達成することができる。

この環境上の目標を達成するためには、市民及び社会、企業及び団体が、すべてのレベルで責任を引き受け、共通な努力を公平に分担することが必要である。

国連人間環境会議は、各国政府と国民に対し、人類とその子孫のため、人間環境の保全と改善を目指して、共通の努力をすることを要請する。

、と。

「国連人間環境会議」の意義を考える

わたくしは、人類が46億年の地球の歴史の内、オゾン層の発生により諸説ありますが、誕生したのはおよそ500万年~600万年前と推察します。これは様々な文献を見ても解釈に統一感がみられなかった(私の力では)のですが、実直にこの「宣言」で人類は過ちを再認識したのでした。

元々ヨーロッパでは古代・中世の争いと、そして1950年代からヨーロッパ諸国の争いが全世界、アジア、アフリカ、インド、中国、アメリカ大陸の植民地化へと進んでいきました。

そして世界中が争いごとで人権迫害、環境汚染はとどまるところを知らなかったのです。1972年の会議は、それらの歴史を変えるには至りませんでしたが、人類の意識が「地球の元に」という存在であることの認識は地球という中で人権の尊重と環境保護へ立ち向かう歴史の1歩となった筈です。

日本での公害問題のあらまし

しかし、会議があった1972年と言えば、日本は1970年に万国博覧会を開いたものの、それまで様々な環境公害を引き起こしていました。
・1932(昭和7年)大阪で煤煙防止規則が制定(日本初の発令)
・1949(昭和24年)東京都が工場公害防止条例を制定
・1955(昭和30年)イタイイタイ病(富山県)が社会問題化
・1956(昭和31年)水俣病の発生を公式に発表
・1961(昭和36年)四日市市にぜんそく患者が多発
・1964(昭和39年)新潟県に水銀中毒患者を発見・東京オリンピック開催
・1970(昭和45年)東京で初の光化学スモッグ警報発令・大阪万国博覧会

そして1971年環境庁が設立され、1972年に自然環境保全法が公布されました。国連では国連環境計画(UNEP)が設立されたのです。

「国連人間環境会議」の本質(原則)へ

共通の信念を次のとおり表明する。に始まり、
〔環境に関する権利と義務〕で、アパルトヘイト(人種隔離政策)、人種差別、差別的取扱い、植民地主義その他の圧制及び外国支配を促進し、又は恒久化する政策は非難され、排除されなければならない。としている。

最初にこの項目を持ってきたところにこの会議の本質があったのではないか。しかし2020年の現在、人種差別は無くなっていない。

国連の環境保護に関する考え

この頃にはSDGsにある「持続可能な開発目標」の理念が伺える。20年後の1992年にはそれは大いなる人類の決断への道しるべとなったのです。

自然環境保護に対するは、〔天然資源の保護〕〔再生可能な資源〕〔野生生物の保護〕〔非再生可能な資源〕〔有害物質の排出規制〕〔海洋汚染の防止〕という項目で、

「祖先から受け継いできた野生生物とその生息地は、今日種々の有害な要因により重大な危機にさらされており、人はこれを保護し、賢明に管理する特別な責任を負う。」

という文言と、

「地球上の再生できない資源は将来の枯渇の危険に備え、かつ、その使用から生ずる成果がすべての人間に分かち与えられるような方法で、利用されなければならない。」

において既に達成されていなければならない項目であると思うが、愚かな人類はそれが未だ出来ていないのです。

環境保護と社会経済の発展の両立を夢見て

幾つか項目を抜粋しますが、〔経済社会開発〕〔開発の促進と援助〕〔環境保護のための援助〕〔居住及び都市化の計画〕〔人口政策〕〔環境に対する国の権利と責任〕〔補償に関する国際法の発展〕〔国際協力〕〔国際機関の役割〕〔核兵器その他の大量破壊兵器〕、

例えば以上について2020年の現在はどうであろうか?
「経済社会開発」のために人類は犠牲を厭わなかった。
「居住及び都市化の計画」でアフリカ、中東・南アジア、南アメリカ。これらに「安心して飲める水」はそれだけ与えられるのか?

「環境保護のための援助」という名の政府開発援助

原則では、「開発途上国の状態とその特別の必要性を考慮し、開発計画に環境保護を組み入れることから生ずる費用を考慮に入れ、さらに要求があったときは、この目的のための追加的な技術援助及び資金援助が必要であることを考慮し、環境の保護向上のため援助が供与されなければならない。」

となっている。これは多くの開発途上国からの「発展している先進国の優位な立場」に対しての強い申し入れからできた原則なのです。

「国際連合広報センター」の人口政策に対する考え

「国際連合広報センター」において、現在人口について、世界の人口は2019年の77億人から2030年の85億人(10%増)へ、さらに2050年には97億人(同26%)、2100年には109億人(42%)へと増えることが予測されています。サハラ以南アフリカの人口は、2050年までに倍増(99%)するとみられています。

サハラ以南アフリカのほとんどの国と、アジアやラテンアメリカ・カリブ地域の一部の国では、最近になって出生率が低下したことで、生産年齢人口(25~64歳)が他の年齢層よりも早いスピードで増加しています。

これは、「人口ボーナス」と呼ばれる著しい経済成長が期待できる機会が訪れていることを示唆しています。この「人口ボーナス」から利益を得るためには、政府が特に若者向けの教育と保健に投資し、持続可能な経済成長を促進する条件を整備すべきです。

(日本は先進国なのに、人口減少により少子高齢化問題が大きなハードルである。)

少なくとも1972年からの20年間は日本も自国の発展に邁進していた。
ところが20年後の1992年から日本の立場が困難になっていくのである。これは「国連人間環境会議」での立場は?

大石首席代表の一般演説の抜粋

「戦後わが国は戦争の永久放棄を宣言し、民主主義と平和主義を国の基本方針と定めました。そして荒廃した国土と壊滅した経済社会から立ち直り国民の福祉の向上を図るため、エネルギー産業、重化学工業を主軸として、経済の高度成長を進めることになったのであります。」

「国民は20年にわたって懸命の努力をつづけ、ようやくその目標に近づいたかに見えたとき、高度経済成長の反面である深刻な環境破壊に直面することになったのであります。」

「大気は汚れ河川は汚濁にまみれました。都市は過密化し、貴重な自然は破壊され始めました。ついには公害による多数の患者と死者をさえ発生するに至ったのであります。日本国民はより多くの生産、より大きいGNPが人間幸福への努力の指標であると考え、これに最大の情熱を傾けて参つたのでありますが、その考えが誤りであることに気がつきました。」

日本の本当の復活は今後にかかっている

最後に、1972年から世界はどう変化したのか?日本は次々と先進国の中から取り残されていく時代を「先進国自殺大国」から想像できます。日本の経済成長には大きな犠牲を払ってきたのです。社会経済活動が停滞している今、日本は本気でSDGsを実践できる国にならなければならないのではないか?

島国日本には大地震も大災害も待ち受けています。このような中、我々は菅総理だけを頼りにするのではなく、一緒になって行動するべき時なのかもしれません。確かに大阪・関西万国博覧会やSociety5.0(スマート社会)も絶対的に大事です。但し皆様もDX(デジタルトランスフォーメーション)とSTEAM教育が将来への切り札であることを感じていただければと思います。

(瑚心すくい)


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