ちょっとだけ前向きな五十音 「お」

「おとうと」

19年前のある日
弟として産まれた

なに不自由なく
弟として成長した

それが 悔しかった

僕は 弟だった
家族の中で
僕は おとうと だった
みんなの中で

本当は色んな人を支えたいのに
いつも 支えられてばかり

背も小さいし 小心者だし
臆病者だし 暗いし

いつも
誰かに甘えてばかり

ひとりじゃ
何もできなかった

本当は
兄に産まれたかった

きっとそれは
産まれてからずっと
色んな人に優しくしてもらえたから

幸せな人生だったから

僕も そんな優しさを
みんなに返したい

返したいのに
できない

僕の人生は
おとうと の 人生だから

これからも ずっと ずっと
おとうと だから

優しい 温かい
兄にはなれない

でも なりたい
誰かを支えられるような
そんな優しさをもった 兄に

なれるかな
なりたいな

まだ
この気持ちに正直になれないけど
前向きになれないけど

いつの日か
なりたいな

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