見出し画像

VOICE for FUTABA vol.04 《商工会編》 前編 「ダルマ市を開催する理由/復興に期待すること」

心の復興プロジェクトVOICE for FUTABAのトークセッション第4回目。今回は双葉町の商工会のメンバーであり、かつて双葉町で開催されていたダルマ市を移住先のいわき市で継続している福田さんと中谷さんにお話をうかがいました。

【参加メンバー】
・福田 一治
いわき市で人材派遣業を営む福田工業の代表であり、双葉町商工会のメンバー。震災後もダルマ市をいわき市で開催している「夢ふたば人」の発起人。
・中谷 祥久
「夢ふたば人」の現会長。KIBITAKI代表の高崎丈が双葉町の復興に関わるきっかけをつくった人物でもある。
・高崎 丈 KIBITAKI代表
双葉町出身。元「JOE’S MAN 2号・キッチンたかさき」のオーナーで、2022年に「高崎のおかん」をオープン。日本酒のお燗を広める活動を展開中。株式会社タカサキ喜画を双葉町に設立。

ダルマ市を開催し続ける理由

高崎 今日はありがとうございます。VOICE for FUTABAは、町民の素直な声を聞き、それを双葉町のより良い復興につなげていきたいと思って立ち上げました。そこで、熱い想いを持って活動してきた福田さんと中谷さんに話をお聞きしたいと思って、こうしていわき市にやってきました。

福田 私たちは、自分たちがやりたいことをやってきただけですよ。双葉町の伝統を20年後、30年後に伝えていきたいという想いはもちろんありますが、ダルマ市も自分たちが開催したいから始めたというのが正直なところです。

中谷 ダルマ市は江戸時代から続いているものだから、もちろんその伝統は守りたい。でも、自分たちがダルマ市をやりたかったというのが、今も活動を続けている一番の理由ですよね。ダルマ市は約20人の「夢ふたば人」のメンバーで運営しているのですが、この「夢ふたば人」も最初は3人で立ち上げたものですから。福田さんと私と、もうひとりで小さく始めました。

福田 「ここに双葉町あり」というのをアピールしたかったんですよね。なにか目立つことをやらないと、双葉町のことを忘れられてしまうんじゃないかと思って。

中谷 そうそう。震災のあった2011年に仮設住宅で秋祭りを開催して、それで少し収益を得られたから「この収益を活用してダルマ市をやろう」となったんですよね。

福田 ダルマ市は2日間開催しているのですが、2012年は一日だけ仮設住宅で開催したんですよね。それで予想以上に双葉町の町民の方が集まってきてくれて。町民が再会する場にもなったので良かったですよ。

中谷 我々が勝手に始めて、思ったよりもお客さんや元町民の方が集まってくれて、それで後から役場も協力してくれるようになりました。だから、ダルマ市も町から言われてやっているわけではありません。

高崎 私は、民間が動いていることをサポートするのが行政の本来の仕事だと思っています。まちづくり関連のプロジェクトで、行政主体で進めて上手くいっている事例は少ないと思います。民間が先に動き、それを行政が上手くサポートする形のほうが成功しやすいはずです。ダルマ市は、民間を行政がサポートする良い事例になっていると私は感じています。

画像1

双葉町の復興に期待すること

高崎 今後の双葉町の復興については、どのようなことを期待されていますか?

福田 我々はダルマ市をやっているわけだけど、それを見て「自分たちはこれやってみたい」という人がたくさん出てきてほしいと思っています。

中谷 以前はいたんですよね。若い人たちで「自分たちもなにかやりたい」とか「こういうことをやりたい」と言って、うちらに話を聞きに来る人が。でも、行政からのサポートが得られないなどの理由で、なかなか実現するのが難しいみたいで……。そうした状況はなんとかしたいですよね。そうでないと、若い人たちが行動を起こさなくなってしまいますから。

福田 若い人が思いっきりやってくれたら、うちらも支援するんですけどね。ただ、今20代の人は東日本大震災のときはまだ10代だったわけです。そう考えると、若い世代になるほど、双葉町への想いが小さくても仕方がないですよね。

中谷 震災時に10歳だったら、まだ双葉町の伝統とかなにもわかっていない年齢ですもんね。

福田 ダルマ市にも若い人にどんどん出店してほしいのですが。

高崎 ダルマ市の若い世代への継承とかも考えているのですか?

福田 もちろん、それは考えていますよ。商工会としても考えているし。私は40歳で仮設住宅でダルマ市を始めて10年間やってきたし、これしかないからダルマ市をがんばっているわけだから、我々がやってきたことを若い人にも伝えたいと思います。それに行政にも良い方向に変わっていってもらえて、50年後、100年後にでも、また住みやすい双葉町が復活してくれたらと思いますよ。


後編に続く

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?