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VOICE for FUTABA vol.02 《30代女性編》 後編 「双葉町へ抱く想い/今後の町との関わり方」

30代女性に集まっていただき、双葉町について語り合っていただくトークセッションの後編。避難指示解除も迫ってきている中、生まれ育った町に対してどのような想いを抱いているのかを語り合っていただきました。

【参加者プロフィール】
・広瀬さん(仮名) 女性
福島県いわき市在住。2児の母。2013年から双葉町のまちづくりに携わる。
・松下さん(仮名) 女性
関東在住。医療関係の仕事をしながら、3人の子育て中。
・森田さん(仮名) 女性
千葉県在住。2児の母。仕事は映像ディレクター。
・高崎 丈 KIBITAKI代表
双葉町出身。元JOE’S MAN 2号・キッチンたかさき オーナー(新規店舗開店準備中)。日本酒のお燗を広める活動を展開中。株式会社タカサキ喜画を双葉町に設立。

今、双葉町に抱く想いとは

高崎 今、双葉町の復興が進んでいて、2022年の6月には避難指示の解除が予定されています。そんな中で、みなさんは双葉町に対して現在どのような想いを持っていらっしゃいますか?

森田 私は千葉に住んでいても気持ちは双葉町にあるので、自分もなにか復興の力になりたいと思っています。実際にプロジェクトを立ち上げて動き始めています。

高崎 いいですね。

森田 私はずっと双葉町のためになにかしたいって気持ちはあっても、双葉町からは離れて暮らしているし、自分にはなにもできないだろうと思っていました。「私になにかできることはないですか」と訪ねて行くのもおこがましいのではないかと。だから広瀬さんのSNSを見て、双葉町のために頑張っている姿を応援していることしかできなくて。

高崎 それは僕とまったく一緒ですね。僕も震災直後に双葉町を離れてしまっていたので、自分が双葉町の復興に関わりたいと言ったら、地元で一生懸命がんばっている人に失礼なのではないかと思っていましたね。

広瀬 全然そんなことないですよ。例えば今日参加してくれている松下さんも、普段は双葉町と関わりのない生活を送っていると思いますが、そうした方にもどうやって双葉町のことを思い出してもらい、まちづくりに巻き込んでいけるかを考えています。だから、森田さんや高崎さんのように双葉町と離れて暮らしていながら復興に関わってくれる方がいると、本当に心強いです。

松下 私はこのトークセッションに誘ってもらったことで、改めて双葉町について考えることになりましたが、普段から双葉町の復興のことは気にかけています。広瀬さんのSNSを見て「双葉町のためにがんばっていてすごいなー」と思ったり、聖火ランナーを務めた同級生の想いをインターネットで見て感動したりしていました。今はみんな離れ離れになっているけど、幼いころを双葉町で暮らしたから今があるわけだし、青春時代の良い思い出がたくさんある場所なので、なにかしたいけどなにをしていいかわからない。そういう私のような気持ちを抱えている人は多いと思います。みんなで双葉町に戻ることだけが復興じゃないと思うので、これからなにができるか考えていきたいですね。

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今後の双葉町との関わり合い方について

高崎 松下さんから「みんなで戻ることだけが復興だけじゃない」という話がありましたが、みなさんやみなさんのご家族は、避難指示が解除になったら双葉町に戻る予定はありますか? 

松下 私は震災前から県外で生活していましたし、仕事や学校のこともあるため、双葉町に移住するのは難しそうです。ただ、例えば学校が防災施設として残るのであれば、子どもたちを連れていって遊ばせたりできたらいいな、とは思います。

広瀬 双葉町に仕事で関わっている私としては、戻れるようになったらすぐにでも戻りたいですね。ただ、実際に戻れるかどうかは子どもたちの教育環境によるかと思います。学校や習い事などの環境が整えば、私は家族で戻ります。双葉町に学校ができなくても、近隣の学校までの通学環境を整えてもらえれば嬉しいです。

森田 私は近い将来、戻りたいと思っています。私の仕事は在宅でもできますし、私にできることで双葉町や福島県、東北地方を盛り上げられたらと思っています。去年くらいから「双葉町に移住したい」という想いを家族にも話していますし、実は上の子はふたば未来学園に通いたいとも言ってくれています。

松下 家族の話で言うと、私の母は双葉町から宮城県に避難して、今もひとりでそのまま暮らしています。高齢での移住は大変で、周りの環境に馴染むのは大変でしたが、それでもなんとか生活を安定させることができました。そんな状況なので、双葉町が避難指示解除になってもまた移住をするのは難しいと思います。母も双葉町に戻りたいという気持ちがあるかもしれませんが、年齢が年齢なのでそれを実行に移すのは現実的ではなさそうですね。

高崎 うちの両親も新しい生活は難しいと思います。そのように双葉町への想いがあっても戻れない人が多いですよね。だから、町民が町に戻るか戻らないかが、双葉町の復興のポイントではないと私は思っています。戻れなくても関わり合いを持ち続けたい人もいるし、復興のためにできることもあります。だから、戻れない人も町民として想いを声にすべきだと思ったのも、このプロジェクトを立ち上げたきっかけになっています。

森田 私は双葉町に戻ったら、もうひとつやりたいことがあって。実家があった場所でみんなが集える場所をつくりたいです。双葉町という特殊な場所で、ミュージシャンのコンサートを開催したり、いろんな発信をしていろんな人が行き交う場所にしたいと思っています。

松下 双葉町にいろんな人が集える場所ができたら、すごく素敵ですね。みんなの話を聞いていて改めて思ったのが、かつての町民が町に戻ることが理想かもしれませんが、高崎さんが言ったようにそれだけが復興ではないと思います。新しい町民を増やしたり、たくさんの人が来たり、いろんな人が集える場所になるといいですよね。双葉町は派手な場所ではありませんが、自然を活かして都会に疲れた人が集まる場所にできると思いますし。

高崎 復興ではなく再生ですよ、と私はよく言っているのですが、どれだけ双葉町の町民の方の想いを取り入れて再生できるかが重要だと考えています。今回のように気軽に意見を言える場をつくり、みんなの意見が交錯していけば、きっと双葉町の再生を良い形で進めていけるはずだと思っています。みんなで想いをひとつにして、双葉がすばらしい町に再生されていき、そして次の世代にまちづくりを託すところまでをがんばっていきたいですね。

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