ゲス子
昔勤めていた会社にスゴい女性が居りまして、彼女を仮に『ゲス子』としますが。
その会社、規模としては小さい会社なんですけど社屋の敷地だけは無駄にデカくて社用車の駐車スペースを引いても50人規模のバーベキューが出来るくらいの空きがありましてね。
社長が宴会好き…というよりは単なる酒好きだと思うんですが、毎年花見の時期と10月くらいにバーベキューパーティーを開催しまして。
とある仕出し屋さんと契約しておりまして1人3500円の予算で飲み放題、事前打ち合わせでこちらの好みに合わせて肉も海鮮も揃えて食べ放題!しかも2人の“焼肉娘”が付いてくる、というね。
ゲス子は事務員ですけど社長より大酒食らってガハガハ笑い、誰よりもバーベキューをエンジョイしておりまして。
バーベキューパーティーには取引先からお招きしたゲストさんも居られますのにお酒をついでまわるでもなく、パイプ椅子にどっかと座ってガハガハ。
ところがある時のバーベキューパーティーで仕出し屋がしくじりまして、瓶ビールはあるのに栓抜きが無い紙コップも無い、紙皿はあるのに割り箸が無い、恒例の事前打ち合わせに至っては「100人規模のでないと打ち合わせしません」と電話で拒否られる始末。
楽しみにしてた分だけ社長のお怒りは凄まじく「こんなんで金、払えるか!」と。
何せその時は社長が半額、後の半分を参加者からの会費で賄いましょう、という予算組みだったもんですからこれは困った事になった、と。
それでとにかく仕出し屋の店長を呼び付けて値段の再交渉をしろ!という事になったんですわ。
私が幹事でしたんで、所謂ネゴシエーターやる羽目になりましてね。
で、色々話した揚げ句に後日、「とりあえずはお詫びとしまして」いう事で会社にデカいグレープフルーツの入った段ボール箱が6箱、ドーンと送り付けられて来まして。
ソフトボールよりややデカいのがギッシリ詰まって6箱ですよ。
社員の9割が男という中で、誰がこんなん喜んで食うねん?!と。殆どが大酒飲みな連中ですから、そんな“酸っぱいにもほどがある”果物なんて喜ばんのですよ。
そうしましたらゲス子が急に、
「嬉しい!私、最近無性に酸っぱい物が食べたいのよね🖤」
彼女、私と同い年ですから当時33歳です。
……なんのミエやねん!?と。そんなアテどころか彼氏も居らんやないか!
しかし彼女のゲスさはこれだけじゃありませんで。
私が途中入社する前に彼女は“ホンの一時”結婚してたそうですが、とある金曜日に役所へ入籍しに行って、その次の金曜日には「離婚したんで苗字、戻します!」
人類初、違いますかね?
結婚生活に『クーリングオフ』が適用されたのって。
……噂ですけど、下ネタとゲスな噂話が好きすぎて旦那さんから愛想尽かされたんじゃないか、と。
「ゲスいにも程がある!!」言うて。