沖縄の蛇
初期の頃に『後ろの女』というお話をしましたけれど、その後日談であります。
簡単に振り返りますと、初めての沖縄の夜に大群衆に巻き込まれて身動きが取れなくなった時に真後ろから見知らぬ女性に物凄い形相で睨まれました、と。
あまりの圧に耐えかねて先に行かそうと無理矢理隙間を作ってみるとそんな女性は居なかった。
そしてその夜、私は原因不明の高熱にうなさました、というお話。
お天道様が登る頃には嘘のように熱が下がりまして、熱発後特有の気だるさもなく自分でも訳の分からない心持ちだったんですがね。
でまぁ、朝食までには時間もありますしというのでホテル周辺を散歩しようと思い立ちます。
言っても今から40年前の事ですのでまだまだこの地も都市整備が追いついていなかったと見えて、表通りは近代的なビルが建ち並んで如何にも“市街地”を形成しておりますものの、一歩路地裏に入りますと草ボウボウの空き地がアチコチに点在しております。
で、歩いておりますととある空き地の草ン中から一匹の蛇がひょっこりと鎌首をもたげて顔を出した。
内心「ウワッ」と思いましたけれどそれを気取られたんじゃ~“ウチナンチュ”の名が廃れます。
ましてや私、巳年生まれのAB型で天秤座……誰や?執念深くて二重人格などっちつかず。面倒臭!言うたん(怒)……ですから「ここは一歩も退いちゃイカン!」と。
それでその蛇にちょっと強めの口調で訊いたんです。
「お前、毒持ってるか!?」
相手も蛇とは言え“シマンチュ”のスピリットを持ってますから微動だにせず、しかも英語で返してきましてね。
「Yes,I have!」