日曜そうでしょう
(紅蓮の炎を背景に字幕)
2008年6月8日
土曜の夜に定宿としていたサウナ&カプセルホテルでサウナと大浴場入り放題、しかも韓国垢すりエステコース付きという豪遊を果たした小泉と守護霊は、明けて日曜日のチェックアウト後、これまた定番となっているホテルの隣にあるチェーン店M屋での朝定食を堪能したのであった。
「いや~守護霊君、ポンポンが破裂しそうだよ」
「そりゃ~、ソーセージエッグW定食の揚げ句にご飯大盛り食って、更にハイボール飲んでりゃ満腹だろうさ」
「い~じゃないのぉ?月に一度の贅沢だよ、守護霊君!」
「さ、ちょっとは気を引き締めて、行きますよ!電車に乗って」
「何処に?」
「行き先は……これで決めます!」
「守護霊君……これはマズイって。ここで明治サイコロキャラメル出しちゃ~『丸パクリじゃねぇか!』って怒られちゃうよ?」
「いいの!最初からバレバレなんだから。さ、気にせず出た目で行き先を決めますよ!……1:秋葉原電気街で中古DVD&ゲームソフト買いまくり、2:秋葉原電気街で……以下同文、(中略)6:新宿歌舞伎町で○ビデオ買い漁り!」
「アキバが多いね~守護霊君。アキバへ行きたいならわざわざサイコロ使わないで素直に行けばいいんじゃないの?」
「しかしですよ。歌舞伎町○ビデオ買い漁りも魅力的じゃないですか?これから行ってもまっ昼間で比較的安全ですし」
「ま、○ビデオは男のロマンだからね~」
などと赤羽駅前で盛り上がる二人。しかしサイコロは振られる事は無かった。
小泉を猛烈な便意が襲ったのである。
「トイレ!どっかでトイレ借りないと…」
「小泉君、なんで駅から離れるの!駅前交番の裏に公衆トイレがあるし、改札潜った先のコンコースにもトイレはあるって!!」
何かに取り憑かれたように駅前エリアから離れて行く小泉。彼とて、もはやホームタウン化している赤羽駅前周辺のトイレ事情は完全に把握していた筈なのである。そして辿り着いたのはもはや駅前エリアとは呼べない外れにあるパチンコ店であった。
「いやいや、間一髪だったよ守護霊君」
「駅前交番の裏で済ませとけばもっと余裕だったじゃないか!それにしても、ここって来たことあるのかい?」
「いや、初めて。まぁ、パチンコ店ならトイレがあるだろうという“野生のカン”が疼いたね」
「野生のカンって、大抵どこのパチンコ店でもトイレは完備されてるよ」
「しかし守護霊君、この本業でも無い貴重なトイレをお借りしておいて『用は済みましたんで御免なすって!』ッちゅッて出て行くのは人の道に反すると思わないかい?」
「用済みとばかりにそそくさと出て行くのは宜しくない、と?」
「宜しくないね~」
という口実の下、『1000円だけ』のつもりでパチンコを打つことにする。座った台はCR冬ソナ2!
ところが運命のイタズラか、僅か1000円で大当たりを引いてしまう。ただし通常絵柄での当たりであったため出玉としては中途半端と小泉が言い張りパチンコを続行。せっかくの出玉を1箱飲み込まれる寸前で又しても大当たりを引くがこれまた通常絵柄。以後の5時間、この無限ループに翻弄される事になる。
「いや~、勝ったから良いんだけどさ。換金出来たのは1箱分だわ右手首は痛いわ」
「そして時刻は午後3時を廻りましたよ、小泉さん」
「もうさ、アキバはいいんじゃないの?シンドイから」
「じゃあ~、近場の池袋駅近くの中古DVD屋さんだけ寄って帰りましょうか?」
池袋駅近くのDVDショップでは、レジカウンターでアルバイト達が背後のテレビモニターに釘付けとなっていた。
「しゅ、守護霊君。あれって…」
テレビモニターに映し出されていたのは秋葉原の歩行者天国。本来立ち入る筈のないパトカーや制服警官が場を占拠していた。
そこは、小泉が便意に襲われなければおそらくその時刻、そのタイミングで立っていたであろう交差点付近。
世に言う『秋葉原無差別殺傷事件』である。