誤判断
愛知県知多郡の救急隊員が、自宅マンションで倒れていた70代男性を「死亡している」と判断して救急搬送しませんで、現場を引き継いだ警察官が男性の指先が微かに動いたのを見つけたのですが……男性は搬送先の病院で死亡された、という話で。
勿論、これは救急隊員のミス、これは疑いようがありません。
ただ、そこの判断には難しい部分があるのも確かなんですわ。
7~8年前に「心肺停止状態なので死亡確認をお願いしたい」という趣旨の救急隊からの要請を受けた事があります。
救急隊から聞き取ったデータを含めて当直医に「どうします?」と相談しました所、
「死亡確認?……多分他の病院から断られたんだろうし、それだけで良いなら受けるよ」
と言って貰えましてね。
ところが、いざ救急車から患者さんを運び入れました所、
「呼吸してるじゃないか!話が違うよ!!」
という騒ぎになりまして、勿論それは弱々しく微かなものではありましたけれど。
それに対する救急隊員の言い訳は、
「いや、こちらへ向かっている途中で急に呼吸し始めたんです(半泣)」
という苦しいというより呆れ果てるもの。
まぁ、それは線香花火が燃え尽きる寸前に一瞬だけ激しく燃えるようなもので、数分後には医師によって死亡が確認されたんですがね。
しかし、短時間にせよ“息があった”となりますと「病院で死亡した」という事になりますから、一度入院手続きをとった上で死亡に関する処理を行わなくてはなりませんでね。
場合によっては“事件”になりかねない訳です。書類の上では「入院後1時間未満で死亡した」って事になりますから、それを不自然と捉えられたら……
まぁ、今回の救急隊員を擁護するつもりはありません。
でも、あくまても人間のする事ですから“絶対”は無い訳ですよね。
勿論、そこに甘える事なく“絶対”を目指さないといけない、それがプロとしての自覚であり覚悟ですので。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?