【朝晴れエッセー 産経新聞 2019.10.24】KoKoPePe No,13

「ウルグアイの元大統領が友人からもらったボロボロの車をアラブの富豪が100万ドル（約1億円）で買うって話があったのに友達を傷つけるからって断ったらしいよ」

　メキシコに留学中、級友からそう聞いた。「世界一貧乏な大統領」と呼ばれたホセ・ムヒカのことだった。以来、過去の演説や著書に触れて惹きつけられ、会いたくなった。だが簡単に会えるわけがない。諦めていた私の背中を、父の言葉が押した。

　「会いたいなら、会いに行きなさい。あえても、握手だけで満足したらいけんよ。インタビューもさせてもらいなさい。」

　この夏、右も左もわからないウルグアイの首都モンテビデオのバス停で、勇気をふりしぼり、40歳ぐらいの女性に「ムヒカ氏の家を知りませんか」と聞いた。

　彼女は「ペペ（ホセの愛称）の家に行くにはこのバスに乗るんだよ。あとは中に乗っている人に聞いたら教えてくれるから」と、強引に私をバスに乗せた。さまざまな人に助けられながら、彼の家にたどり着いた。
　心臓が喉から飛び出る思いで来意を告げると、倉庫のような質素な建物に招きいれられた。そこにいたムヒカ氏はマテ茶を飲みながら、私を隣の席に座らせた。

　彼は「国内総生産の計算ばかりして、幸せの計算をしないのは間違いだ。それは非常に貧しい」と話し、日本の若者へ「学校は就職のために行く場所ではない。幸せになる方法をトレーニングする場所だ。素晴らしい人生とは『生きる理由』を持ち続ける人生のことだ」と伝言を託してくれた。

　これを伝えるために、書いている。

　岩本 心 京都市

産経新聞さんに寄稿をした時の文章です。
一面の下段，朝晴れエッセーの枠に掲載していただきました🙌🏻

#産経新聞 #朝晴れエッセー #ホセムヒカ #ウルグアイ #Josemujica #🇺🇾#くさばよしみ #絵本 #世界一まずしい大統領 #世界でいちばん貧しい大統領から日本の人へ #映画 #ムヒカ #中川学 #瑞泉寺 #イラスト #平和 #本当の幸せとは #本当の豊かとは #岩本心 #夢を叶える