症状に対する治療と原因に対する治療
膝関節痛を例として
加齢に伴い悩まされる方が増えてくる膝の痛みですが、その多くは加齢が直接的な原因ではありません。
加齢が原因であるのなら、ある一定の年齢に達した方全てに痛みが出なくてはなりません。
しかし、年配の方でも膝に全く痛みがないという方もいらっしゃいます。
一般的に長期間にわたって膝に体重などの負荷がかかることで膝の状態が悪くなると考えられていますが、これは誤りです。体重をかけることで骨は成長しますし、関節は安定性と可動性が高まります。
膝痛の原因の多くは、膝にしっかりと体重をかけられていない非荷重状態によるものです。
非荷重状態が慢性化すると関節がグラグラと不安定になりスムーズに動かなくなります。
その状態で使い続けると関節面が摩耗したり周辺の組織に傷みが出てきます。そしてさらに進行すると、痛みや腫れ、熱感といった炎症症状が現れます。
痛みは局所に問題意識を持たせるためのものです。また関節面の滑りを良くしたり、摩擦熱を吸収するために関節液が増加します。それが外見上は腫れというかたちで現れます。熱感は関節の摩擦熱の亢進によるものです。
そこで西洋医学等の一般的対処ですと、痛みに対しては温熱療法や湿布等の薬効で除痛を図ります。関節の不適合状態で摩擦熱が亢進しているところにさらに熱を加えることになります。
骨というのはだいたい70%がカルシウム、20%がコラーゲンで出来ており、カルシウムというコンクリートをコラーゲンが鉄筋のように補強しているような作りになっています。この鉄筋にあたるコラーゲンは熱に非常に弱く、熱が溜まってくると溶け出し、骨の変形に繋がります。
そのため動くことによって熱が発生する関節の周りには排熱のための毛細血管が網の目のように張り巡らされています。
ですから痛みのある関節は冷やすことが理にかなっています。
温めることで痛みが和らぐのは神経の働きが鈍って痛みを感じにくくなっているだけです。痛みが軽減する、一時的に治まるだけで本質的な改善ではありません。
しかし、方法はさておき痛みが治まった状態でしっかりと関節に荷重がかけられ、それが持続されれば快方に向かっていくのですが、医療者からは安静の指示が出されます。それにより関節は非荷重状態のままですので、根本的な改善には繋がりません。
また整形外科を受診すると、関節液が溜まり
腫れている状態だと関節穿刺といって関節液を抜くこともあります。一時的に腫れは引き痛みも和らぎますが、関節液の減少により関節の摩耗と熱による変性が進行します。
上記のような対応が症状に対する治療ということです。
古今整体室では、腫れや熱感、痛みの強い時は氷水でアイシングをします。これにより局所の排熱が促進され、関節面の摩耗や変形、周辺の組織の変性が防止できます。また過剰な関節液が自然に吸収されます。
こういった症状に対する治療に加え、
膝関節の不安定性に対しては関節整復処置を施し、関節の安定性と可動性を高めます。また全身のバランス状態を確認し、膝関節に荷重がかかりにくい状態であると判断した際は骨盤や背骨の調整を行い、全身のバランス改善を図ります。そしてその状態を維持できるよう姿勢や動作、体操などの指導をします。
これが原因に対する治療になります。
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