30代でアトピーと向き合った話
それはそれは、ひどいアトピーだった。
物心ついたときから、体のどこかしらがかゆい。
よくある、膝裏はもちろん年中黒いし、耳たぶは冬になると切れ、背中、手、あらゆるところがかゆい。
アトピーの人あるあるだと思うんだけど、朝起きたら肌着と枕カバーが血まみれだし、顔も当然湿疹だらけ。
特に、おでこはいつでもかゆくて、体調が優れなかったり寝不足だとおでこからかゆくなるし、いつでも皮がむけてるから、ずっと前髪はぱっつんで、おでこを出すことなんかできなかった。
アトピーが爆発してるときの顔なんか嫌いだから、全然写真が残ってないのだけど、体調不良になると目が開かなくなるまでじんましんが出るので、次の日は一重になり、人に会うのが本当に無理になった。
運動音痴で、唯一できるスポーツは水泳なのに、海水がしみて辛いので、ずっと海が嫌いだった。
家族の誰もアトピーの人はいなくて、なんで私だけと思ってたし、皮がむけてばかりいる自分の見た目が好きになれず。
見た目のコンプレックスは大なり小なり誰にでもあると思うけれど、それに加えて人生のほとんどがずっとかゆい(血が出ると痛い)のは今思うとなかなかのストレスである。かゆいのは仕方ないのかな、治らないのものだと思ってた。
それなのに、今ではおでこを出せるようになった。
ちなみにアトピーはけっして完治していなくて、寝不足とか疲れで顔中にじんましんが爆発してパンパンに腫れることは今もあるし、唇の周りとおでこは相変わらず激弱。
だけど、背中の黒ずみは克服したし、朝起きても枕カバーの血はついていない。
アトピーが明らかに落ち着いたのは、2023年の夏頃。
当時通っていた皮膚科医(ジブリに出てくる魔女みたいなビジュ)が、「菓子パンや悪い油を食べない、お菓子を食べないで」と何度も言うので、控えるようにしていた。かと言ってガッツリ変化があったわけでもなく。
このとき、今の事業を始めたばかりで時間もお金もなくて、買い物に行く余裕がなかった。
だけど、私は八百屋さん。とにかく野菜はたくさんあった。
それまでの私は、筋トレをまあまあがんばってたので、鶏胸肉などのタンパク質量を確保するのを一番に考えていた。
忙しくて肉を買いに行けない、でも野菜だけだと味気ない、そんな理由から、絶えずやってくる野菜と、冷凍できる油揚げと、日持ちする卵をひたすらに食べていた。あとは興味本位で、この生活をすると体がどう変わるのか知りたかった。
ここで注意したいのは、私はベジタリアンでも無添加にこだわってるわけでもないということ。
がんばったときは朝マックでハッシュドポテトを2枚注文したいし、今このnoteも途中松屋で牛めしを待ちながら書いている。
シンプルに、時間とお金がなかったのと、食事を変えたらなにか変わるのかが気になって、この食生活をしていた。
気づくと痒みは減っていて、起業したてで寝不足のはずなのに、なんだか肌ツヤが良くなっていた。
あれ?今日ビジュいい!と思う日が増えたし、そう言われるようになった。私、意外とかわいかったんだ。
かゆくなくなったから、勇気をだして海に入ってみた。こんなに海はいいものだったのか。知らなかった。
せっかくならと思い、人生初のビキニにも挑戦した。やっすい中国通販のビキニだったけど、「肌を出す」という、普通の人がなにも気にせずすることをできるのが、たまらなく嬉しかった。
それから私は海が大好きになった。
かゆみが落ち着いてから、念願のパックもできるようになった。肌神ことMEGUMI先生が、美肌のためにパックを勧めてたんだけど、ヒリヒリしてかぶれてしまい、パックなんか夢のまた夢だったので、初めてできた日は超感動した。パックすると肌ツヤがますます良くなり、月並みだけど自己肯定感が爆上がりした。
さらに念押ししたいのだけど、野菜の定期便サービスをしている八百屋さんだから、アトピー治すのには野菜がいいですよ!肉をやめて野菜を食べましょう!と言いたいわけでは全くない。腐っても院卒なので、再現性のない自分の一事例で、アトピーというたくさんの人の悩み語ることはしたくない。
ただ、この実験を通じて、自分の体については分かったことがあった。
私の場合は、動物性の脂質(特にカルビとかホルモン)をとり過ぎると時限爆弾のように帰宅後じんましんが出る。焼肉屋さんではよく選ばないと肉を食べられないこと。背脂や唐揚げは少しならOK。
でも、アトピーにあまり良くないと言われる小麦とかチョコは全然平気。牛乳も大丈夫。
そして基本的なことかもだけど、人間は動物だから、運動は大事。何だかんだジム通いは続けていたのが良かった。
血流をよくすること、汗をかいて保湿すること、これらはお肌を健康に保つことにつながる。アトピーの人は夏の方が調子いいのは、汗をかいていて保湿されてるからだと皮膚科医の魔女から聞いたことがある。
口、胃、腸、肛門などの消化器とお肌は一枚の皮でつながっている。野菜を食べるとすぐにお腹が減ってしまうけれど、消化の負担が少ないからお肌への負担も少ないのは、よく考えると、理にかなっている。
逆に言えば、お肌が荒れているときは体の内側も荒れているかもと思うようになった。お肌は消化器の延長線上にあるから。化粧を落とさずに寝るのは、雑巾乗っけて寝てるのと同じとよく言うけど、便秘でいることは、お肌にうんこを乗っけてるってことだ(飛躍)。
ちなみに後日、皮膚科の魔女のところに行ったら、「だいぶ綺麗になったね。何したの?」と言われたので、「へへ…自分に合わない食べ物が分かったので減らしました」と言ったら、「それが分かる人は少ないからラッキーだよ」と言われた。ラッキーらしい。やった。
今の私はというと、野菜の摂取量は実験時よりも減った気がする。それでも私は八百屋さん。普通の人よりはたぶん野菜を食べている。
肉も食べるしポテチも大好き。ウィンナーとマヨネーズは神。でも、焼肉に行くときはよく考えて食べるようになった。背脂や揚げ物も気持ち控えめに。
自分に合わない食べ物を減らして、合う食べ物の割合を増やす。だけど、毎日続けられる、できる範囲でやる。
ちなみに余談だけど、アトピーがマシになった理由のもうひとつは、たぶん「自分に合わない会社を辞めたこと」だと思う。先に言え。ストレスは敵だ。
肝臓のような沈黙の臓器は何も言わないけれど、お肌は体の中で今起きていることを語ってくれているのかもしれない。
お肌と体の内側は一枚の皮で地続き。たかが肌荒れ、されど肌荒れ。お肌の声を、侮るなかれ。
もうこんな時間。夜ふかしは美肌の大敵。
お肌「夜ふかしやめなー?」
\やめ・ない!/