人生初の海外一人旅は、ネパールでした。【出発〜到着編】
26歳のとき、ネパールに一人旅に行った。
人生初の一人旅だった。
しかも、結婚したばかりの新婚ホヤホヤの時で、新婚旅行にもまだ行ってないのに、海外へ一人旅に行った。
この話をするたびに
「なんでネパール?」「なんで一人旅?」
と聞かれる。その答えは、こう。
「ずっと海外一人旅に行きたかったから。これからの人生であまり行けそうにない場所に行きたかったから。」
最初は、アフリカや南米も考えていたけれど、人生初だから安全そうな?アジアにした。期間は、二週間。ホームステイ先のネパール人の家族は日本語が話せるかたたちだった。
せっかく行くなら、何か人の役に立ちたい。そう思って、ボランティアも体験できるものを選んだ。
勢いに任せて手続きや準備を済ませていく。その頃、小学校で教師をしていたので、冬休みの短い2週間をまるっと旅行に使うことにしていた。
相方と結婚してすぐのお正月なのに、嫁はネパールで一人過ごす…。この時初めて、「結婚した後に一人旅はしにくい(特にお正月)」ということを学んだ。笑
快く「いってらっしゃい」と言ってくれた相方と相方家族に感謝しつつ、日本を旅立つ日を迎えた。
その頃私たちが住んでいたのは、大分県南の海の町。
決して多くはない電車の便の数。
静かな人気のない駅で、電車の中で出発を待っていると、仕事中であるはずの相方がホームに駆け込んできた。
遠くからこちらに手を振っている。
表情はいつも通りだったけど、「無事に帰ってきてね」という気持ちがダイレクトに私の胸の奥まで伝わってきて、なぜか涙が溢れた。
(破天荒な嫁でごめんね。いつもありがとう。無事に帰ってくるからね。)
そう心の中で言って、海の町を出発した。
そこからは、あまり正直覚えていない。
とにかく必死で間違えないように色んなゲートを潜り、香港やバングラデシュで乗り換え、また乗り換え、確か9時間以上かけてネパールに到着した。
着いたときには22時をまわっていた。
外は真っ暗。なんとかホームステイ先の旦那さんと出会ったものの、カタコトの日本語でよくわからない。そして、真っ暗な中、あっという間に「荷物持ちますよ」というジェスチャーをしまくる男の人たち数人に囲まれ、あれよあれよと荷物を車まで運んでもらってしまった。
車に乗った瞬間に「チップ!!」と執拗に手を出され、少し恐怖を感じた私は思わずお財布からいくらかお金を渡してしまった。車が出発してすぐに、旦那さんが言った。
「ああいうことにはお金は払ってはいけません」
「はい…すみません。」
よくわからないまま謝って、怖くて泣きそうになった。
暗闇の中で車は、ぐんぐんスピードをあげて走っていく。
真っ直ぐな道ではない。くねくねである上に、離合もできないくらい細い道だった。車の前に何かの影が現れた。野良犬がたくさんいた。野良犬たちは、車に慣れたように、ギリギリで身体をかわしていた。
「これは、もしかして…とんでもないところに来てしまったのかもしれない…。」
真っ暗な道をゴトンゴトンと音を立てて猛スピードで走る車に乗りながら、
(どうか、無事に生きて帰れますように…)
私は、心からそう祈っていた。
第二話につづく…