教師になったきっかけと、今と。
「なぜ教師になりたいのですか?」という質問に
「子どもが好きだからです!」と堂々と言える友人が羨ましかった。
そのころの私は「子どもが好きか?」と聞かれたら「よくわからない」と答えるしかない大学生だった。
私が教師になりたいなと思ったきっかけは、単純で、中学校のバドミントン部の顧問の先生が大好きだったからだ。私たちと一緒にいるのが心底楽しそうで、自分の仕事にも誇りと情熱を持っていたのが中学生の私にも伝わってきた。
「大人になってもこんな風に楽しく働けたらいいな」そう思って、教師の道へと進むようになった。大学では一応教育学部に入ってみたものの、「教師になるぞ」という気持ちはまだ固まっていなかった。
「教育実習に行けば、教師になりたいかなりたくないかがわかるらしい」
なんとなく周りの先輩からそう聞いていた私は、教育実習で決めようと思っていた。
そして迎えた教育実習は、おそらくそれまでの人生で一番感動的な体験だった。
仲間とともにほぼ徹夜で準備して臨んだ授業も
それに応えてくれた子ども達の姿も
そこにいた担任の先生の素晴らしさも今でも鮮明に覚えている。
授業作りの奥深さも面白さにも感動した。
「こんなに素晴らしい職業はない」
そう強く思い、教師を目指すことを決意した。
それから数年間、教育学を学びながら「学びってなんて楽しいんだ!!」という喜びに溢れた大学生活を送った。そして、育児休暇も挟みながらも働いた教師生活。めちゃくちゃ楽しかった。大変だったけど恥ずかしながら「天職だ」と思っていた。
今でも、身体が二つあるなら、公立の学校で先生を続けていたい。やりがいがあって、夢もある、今でも大好きな職業だ。
だけど私は今「ここのね自由な学校」のスタッフとして生きている。6年間の教師生活に終止符を打ち、スタッフとして日々子どもたちと関わっている。
その中で最近気づいたことがあった。それは私は子どもが大好きなんだということ。それは、我が子と関わっているときに気づいたことだった。
あたりまえだけど、我が子はめちゃくちゃかわいい。存在が尊い。そして何よりも、おもしろい。笑 何気なく言うことも、することも。大人では考えつかない突拍子もないことをやっては、毎日私たちを笑わせてくれる。
「いつか大きくなっちゃうんよな。もっともっと子どもと関わっていたいな。あと二人くらい産みたかったな…」
心底そう思ったとき、ハッと気づいた。
「あれ、もしかしたら私、子どもたちと一生関わり続けられるじゃない?」
親として我が子と。そして、自分の子育てが終わってからも、ここのねスタッフとして子どもたちと。ずっと子どもたちの成長を間近でみることができるんだ。こうやって楽しくて感動的な毎日がこれからもずっと続くんだ。
そう気づいたとき、胸いっぱいに幸せが広がった。
「ななっぺ!これ教えて!」
目をキラキラさせて縄跳びを持ってくる子
真剣な顔で算数の問題を持ってくる子
「わかった!」と喜ぶ顔
友達と喧嘩してしょんぼりな顔
黙々と好きなことに熱中しているときの表情
ずっとずっとそばで見ていたいな。子どもたちと共に私も学び続けたいな。
今では、「先生」でも「教師」でもなく、
「ななっぺ」という一人の人間として
子どもたちの学びに携われる幸せを毎日噛み締めている。