2020年夏(臭い編)

「うわ、臭!!!」

ワンルームの部屋に立ち込める酸っぱい刺激臭にぼくは一瞬何が起こっているのかわからず戸惑ってしまいました。

とりあえず臭いの原因を突き止めるべく辺りを嗅ぎ回ってみます。

「お前か。」

原因は2日前の夜に作ったカレーでした。ぼくは料理をするのが億劫になることが多々あるので、4日は生き延びていけるだけのカレーを作りだめしていたのです。

そのカレーの表面には白い膜が張り、糸を引いているようにも見え、明らかにカビが生えています。しかし、ぼくは初めての経験だったのと、何よりももったいないので「ほぼ確定でカビやけど、もしかしたら油なんじゃね?まだ食べられたらいいなあ。」と夢みたいなことを考えていました。とりあえず検索してみます。

『カレー 白い膜』

カビですね。

残念ですが処分するしかありません。泣く泣くカレーを鍋からゴミ袋に移して、お別れの挨拶をしました。

夏はカレーを作ったらちゃんと余熱を取って冷蔵庫にいれるか、すぐに食べない場合は小分けにして冷凍庫に入れるなんてことは分かっていたはずなのに、ぼくはすっかりそんなことは失念しておたまを鍋に入れたままコンロの上に放置していたのです。カビ、カモン!!!と言っているようなものですね。完全に油断。ああ、もったいない。

このことはカレーを作るたびに思い出すでしょう。

2020年夏、ぼくは少しだけ成長した。