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夏は過ぎて 夢は覚めて


誰かに何かを伝えたいわけでもないし、言いたい何かがあるわけでもないけれど、この夏にわたしが経験した今までに感じたことの無い焦燥感や心の痛みをどうにか整理したくて 今までと今とこれから自分のためにここにわたしのこの夏を残しておこうと思う
いつか こんなこともあった と思えるように

7月10日、DISH//のホールツアー“GARDEN”が東京ガーデンシアターで行われ、10日がちょうどお仕事がお休みだったので 初めて東京ガーデンシアターへ足を運んだ。
GARDENの日程が発表されたときはまだ休みの予定が定かではなかったため 今年は行けないのかな…と考えていたので 東京公演と休みが重なっていることに気づいた瞬間にまだチケットがあるのかを調べ 奇跡的に最後の一般先着でチケットをとることができた。
昨年 はじめてDISH//の単独ホールツアーに行き、すごくかたく心を抱きしめられた感覚…うまく言葉にできない安心感があり 年に1回でもわたしには必要な場であると思った  だからチケットを取れただけで安心したし、その日を心待ちにした。

当日 東京駅から都営バスに乗って胸を弾ませながらガーデンシアターへ向かった。
開場時間と同じくらいにガーデンシアターの前で下車し 入場した。最後の先着だったので席は上の方で 顔が見えなくてもわくわくしているのが伝わってくる人の影を上から見ていた。このくらいから胸の高鳴りにすこしだけ異変を感じたのだが 数ヶ月たのしみにしたことを目前にしているのだからどきどきするに決まってると胸騒ぎを落ち着かせた。

そして会場が暗転し、各々が手元のライトバングルやリングを光らせ会場が星空のようになった。純粋に 綺麗、と思い反射的に立ち上がり ここまでたのしみにしていたコンサートが開演した。
今年度からめざましテレビのテーマソングが DISH//の「朝、月面も笑っている」という曲になり “がんばれ!” ではなく “大丈夫だから” と伝えてくれるこの曲に毎朝救われてきていたし、DISH//には不安な気持ちを穏やかにしてくれるような楽曲がたくさんある。そんな曲たちが空間に響くなかで 鼓動と呼吸が自分の中に響いた。少し息苦しいくらいで体調がすこぶる悪くなってしまった訳ではなかったのだが、今この状態でここに居続けたらと考えると恐怖が襲ってきた。聴きたい曲もまだ聴けていながったので後ろ髪が引かれたがその場を後にした。楽器の重低音と私の足音だけが響く会場を抜けて外の椅子に座った。深呼吸をしながら心を落ち着かせると涙が溢れて止まらなくなってしまった。母親に電話をして話してもらいながら駅まで歩いた。いつもは見惚れるレインボーブリッジのきらきらとした輝きもすごくくすんで見えた。

私は4月から社会人になり、技術職ということもあり 技術は自分のものでしかないので朝技術を磨くために6時半頃に家を出て仕事場へ向かい 早くて20時すぎに家に着く日々を繰り返していた。
私はこの職業につき このような道でこうなりたい、と中学3年生のときに決めていた。だからこそ頑張らなきゃいけない 逃げてはいけない と目の前にあるものを全て100%、120%でやってきた。中学3年生のときにこう決めたのも 私はこうしなきゃ楽な道を選んでしまう と思ったからだった。学生時代学校を休みたいと思ったら休んできてしまったし、勉強も資格をとるためにはがんばったがその他はなんとなくでやってきてしまった。だからこそ そうならないようにと自分なりに色々考えたのがこの道だった。
しかし、職場で2月から週3で練習やテストをやり4月から就職し日々を送っていく中で 自分の中の声や 疲れ に目を向けずに、頑張っていても もっと頑張れる 頑張らなくてはいけない と自分に嘘を重ねて 無理強いをしてきた。職場に向かう車内で涙が止まらない日も 眉間や背中に力が入って車から降りられない日も 口角を上げて機嫌をとったり そりゃあ新しい生活なんだから 社会人になったんだから、とどうにかやってきた。
明日は大丈夫だろうか。と思いながら就寝して 昇り始めた朝日に絶望しながら起きた。  
そんな日々の不安や明日というそのときの絶望が 非現実的なコンサートという、夢じゃないよ という夢を魅せてくれるその空間で蘇ってしまったのだろう。
心身が1度壊れかけてしまってから考えればなんて不器用な生き方なんだろうか とまた自分で自分が嫌になった。

電車を乗ったり降りたりして なんとか終電で自分の家の最寄りに着いた。
その次の日の朝 インフルエンザや今までの風邪でも経験したことの無いような高熱が出た。検査を受けたが インフルエンザでも流行病でも無かった。

そこからしばらく仕事を休んだ。その場の苦しみから逃れられたとしても 体調は良くならないしこれからのこのの不安でどうにかなってしまいそうだった。

身体の体調が回復してきたときに 歩き出さなければ本当におかしくなってしまいそうで出勤を試みた。しかし 車の座席に乗った瞬間に体が膠着してしまいエンジンをかけることすらできなかったのだ。がんばりたい気持ちはたるのに身体が動かなく 自分で自分の状態を把握することも難しくなってしまっていたが、家族やお医者さんと何日かにわたって話をして たくさんたくさん考えを巡らせ 最終的には自分でこの仕事から離れることを決断した。

長年考えてきた自分の道が崩れてしまった。しかし、その道の上に立ち続けることも出来なかった。退職したからと言って苦しみや悩みが消えるわけではないが ここから遠ざかることが今一番自分のためにできることである気がした。

ひとのせいにするのは嫌だから、この選択もいつかの自分のためになるように とりあえず今は無理をしないを目標に どうにか日々を過ごしたいと思う。


知らなきゃいいこと 飲み込むたび
大人になるってわけじゃないから
夏の夜 咲いた夢花火
きみといる もうそれだけでいい
夢見ること決して忘れないで
今だって大丈夫 希望は心にある

夏が過ぎて
夢は覚めて
思い通りじゃなくても
遠回りして
口笛吹いて
僕らはまた歩いていける

またまた心をすこし元気にしてくれたNEWSの曲
カノンの歌詞を添えて

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