04 心が動くということ
ある頃から
有名だから 有名な人が描いた(作った)から
感動したり 美しいと思ったり
しているんじゃないか と思いながら
絵をみたりするようになりました。
我ながら ややこしいなと思います。
きっかけは
海外の有名な美術館へ行った時のことでした。
何を見ても
どうも 何も心が動かなかったのでした。
どれを見ても 何を見ても
ピンとこない。
さらさら さらさら 流してしまう。
そのことを
つまらないんだな で落ち着けることが
できませんでした。
なんでしょう
感動しないといけないと思っていたのかも
しれません。
心が動かないことにあせりを感じていました。
あせったところで
動かないものは動かない。
茫然として ひどくがっかりして
美術館をあとにしました。
それ以来
絵等を見る時は
自分の心が動くのだろうかと
びくびくする部分を持って
のぞむことが多くなりました。
タイトルの上につけた桜の写真は
大阪の忠岡町にある正木美術館に
併設された正木邸に活けられた桜です。
「花のかたち」 という案内をいただいて
見に行ってきました。
部屋に入った時は
あれ、こじんまりしているな
と少しがっかりしました。
和室なので
自分の座りたい場所に座って
しばらく眺めることにしました。
この美術館は住宅街にあって
平日は人がほとんどいません。
この日も 職員の方と二人きりでした。
しばらくして
少し年配の女性が2人 入ってこられました。
お花の先生に勧められてお見えになったようでした。
どのように活けたのか がとても気になるようでした。
しきりに きれいね すごいね と
おっしゃっていました。
足元にあるのは あしび
馬に食べさせてはいけない木といわれているらしいこと
馬が酔う木 と書きますよね と職員の方
ちょうちん桜という種類の桜 であるということ
そうなのか、そうだったのか と
インプットしながらも 少し邪魔な情報でした。
知らないことを知ることはわくわくすることです。
でも、この日の私には少し邪魔な情報でした。
お二人が帰った後も
じーっと眺めてみました。
何か動くだろうか。
動かないなあ 止まっている。
止まっているなあ、枝も花も。
外の桜は風に揺れているのに。
そう思った時
この花は本当にここで咲きたかったんだろうか
と思いました。
それは、私の中の別の対象に対する想いと
重なったようでした。
急に涙があふれてきました。
止めてみようとしましたが
無理でした。
少しだけ泣くことにしました。
ここで咲かせるのは嫌だなって
ことなんだな と 受け止めて
帰ることにしました。
最初はこじんまりしていると感じた桜は
大きく広がっていきました。
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