なぜ田園都市線には特急がないのか

結論、速達性に対する需要がないから。
じゃあつまんないのでもうちょっと考察してみます。

まず現状の田園都市線の各種別停車駅は下の通り。

田園都市線路線図

現時点で優等種別である急行の停車駅は比較的少なめである。
特急は更にそれより停車駅を絞るとなると、停車駅は以下の通りだろう。

渋谷
三軒茶屋
二子玉川
溝の口
あざみ野
長津田
中央林間

もしかしたらここから三軒茶屋、二子玉川、あざみ野の中から1つが削減されることも有り得るだろう。
この停車駅は主に他路線への乗り換えに重きを置いて選定した。渋谷や半蔵門あたりからこれらの駅への所要時間が少なくなれば、乗り換え先路線の近郊に住む人にとっては有難い。
しかしそれをしないということは、これらの速達性を上げるよりは鷺沼や青葉台のような駅に停車する方が利があるからだろう。
結局は、渋谷から長津田及び中央林間あたりへの所要時間が短くなったとこで大した増収が見込めないのだ。

じゃあ仮に田園都市線に特急が導入されるとしたら、それはどんな場合か考えてみる。
まず既に特急種別を導入している東横線は以下の通りだ。

東横線路線図

東横線の特急の最大の特徴は、近隣の通学需要を狙えてなおかつ新横浜線との乗り換え起点駅にもなる日吉を通過していることだろう。
逆に言えば日吉を通過してまでも速達性を維持する。その理由は、渋谷横浜間の速達需要の高さである。
元々東横線には特急が走ってなかった。しかし2000年代に湘南新宿ラインが走るようになったことで渋谷横浜の人員輸送における強力なライバルが出現。これに対抗するため、東横線は湘南新宿ラインよりも早く安く渋谷まで行ける東横特急を導入したのだ。
逆に言えばそれ程までの競走要素が無ければ、田園都市線には特急が導入されないだろう。そして将来的に渋谷と長津田・中央林間間に強力な競走ライバルが出来るとは考え難い。

ならば他に田園都市線の速達性を高める要素はなんだろうか。ここで私は、リニア新幹線の相模原駅に着目したい。
将来開業を予定されているリニア新幹線は神奈川県の相模原駅を通る。これは現状、横浜線のみが通っている駅であるため、長津田で横浜線と乗り換えられる田園都市線はかなり魅力的であるだろう。
しかし横浜線に乗り換えられる路線は、都市圏からなら小田急で町田乗換という選択もある。小田急は速達性に優れた特急が走っているため、相模原への旅客需要を争って田園都市線が特急を導入する可能性は有り得る。

さてここで田園都市線が特急を導入するとしてら有り得る選択は3つだ。

  • 田園都市線の相模原駅までの延伸

  • 長津田駅での横浜線乗り入れ

  • 長津田までほぼノンストップで特急運行

まず1つ目について、こちらが中央林間・相模原周辺の地図だ。

中央林間周辺地図

中央林間を超えて小田急相模原駅で小田急本線と交差し、そのまま北上して相模原駅に到達するというルートだ。
このルートだと鉄道空白地帯を通るため多少の交通需要は見込めるだろうが、果たして鉄道敷設費に対して利益が出るのかは怪しい。

そこで2つ目の策だ。長津田駅で横浜線に乗り入れることで相模原駅までの直通を図る。
下の写真を見たらわかる通り、長津田駅では田園都市線と横浜線の線路が平行になっている。もし二路線が乗り入れするとなったら、スムーズな工事が狙えるのではないだろうか。
横浜線側からしても、横浜線沿線から渋谷へ行きやすくなるので相応のメリットはある。だがこの場合横浜線は行っても押上までだろう。しかし多少の工事費は必要になる。

長津田駅で平行する田園都市線とJR横浜線

3つ目の策については低コスト低リターンってところだ。種別を増やすだけならダイアの改変で済む。しかし長津田乗り換えの発生による利便性の低下は、多少需要に響くかもしれない。

総合すると、もしリニア新幹線が開通して田園都市線に特急が追加されるとしたら、ありうるのは長津田駅での横浜線相互乗り入れの場合だろう。
この際の停車駅は、渋谷、二子玉川、溝の口、長津田と予想される。
以上で雑考察を終わりとする。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?