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『名探偵コナン』との出会った時の話

世界的推理小説家の父を持つ高校生探偵・工藤新一。数々の難事件を解決してきた彼は、ある日、幼なじみの毛利蘭とデートの途中、謎の黒ずくめの男達の取引を目撃してしまった!! 証人を消すべく毒薬を飲まされた新一は、何とか命をとりとめたものの、子供の姿になってしまう…! 工藤新一が生きていると組織に知られると、周りの人間まで危ない!!

 彼は「江戸川コナン」と名乗り、難解な事件を解き続ける。全ては謎の組織の正体を突き止め、工藤新一としての自分を取り戻すため… この世に解けない謎なんてあるはずが無い! 迷宮なしの名探偵、真実はいつもひとつ!!

『少年サンデー』ウェブサイトより『名探偵コナン』青山剛昌

 先日公開された『劇場版名探偵コナン 黒鉄の魚影』がめちゃくちゃ面白かった。コナンなら一回見れば満足だった人間が今年に関してはもう3回も劇場に足を運んでいるので、それどころか原作コミックを買い集め、SDB(スーパーダイジェストブック)を買い集め、ステッカーやクリアカードといったグッズにも手を出しているのでそのすごさがわかるだろう。そう、現在の私は人生何度目かのコナクラと化しているのである。

 もともと『名探偵コナン』との出会いはご近所さんのおうちにあった大量のコミックブックだ。それまで小学館の雑誌『小学一年生』や、図書館に置いてある学習漫画などで存在は知っていたし、登場人物のバックグラウンドもある程度把握していた。確か私の買った『小学一年生 5月号』には『天空の難破船』のビジュアルが挟まっていた記憶がある。それが今のとこ一番古いコナンの記憶。それからその次の年に、友達の家でアニメを観た記憶。たしか怖そうな男と怖そうな女と変な人間が「新ちゃん久しぶり~」とかなんとか言いながら変装を解くとお父さんとお母さんと博士でした、みたいな回。時期的にデジタルリマスター版を放送していたのだろうか。その後『沈黙の15分』の予告が流れ、派手な爆発に「怖っ! コナン怖っ!!」と怯えたのは覚えている。
 それからはコンビニで『サンデー』や最新刊を立ち読みするなどして、自分なりに江戸川コナンの情報を集めた。なにぶん親が厳しかったので、漫画も買い与えられたことがなかったし、勝手にテレビを付けることもかなわなかったので、小学生のサーチ力でなんとかするしかなかったのである。たしかその時読んだのは、少年探偵団のみんなとコナンが関西弁を喋るお兄ちゃんと電話している回(これだけで何巻かわかる方はいるだろうか?)。「あれ? この人コナンの正体知ってる!?」とびっくりした。
 そこからさらに時が流れ、小学5年生の冬休みになった。自治会の新年会とやらでご近所さんのおうちに招かれ、子どもたちは二階で遊んでなさい、と向かった部屋には天井まで届くほどの本棚と、そこにぎっしり詰まった大量の漫画があった。御多分にもれず『名探偵コナン』も一から置いてあったので、そうだ、これ最初から読んでみるかと1巻を手に取った。 

 衝撃だった。こんなにも面白かったのか。こんなにも鮮やかなトリックがあったのか。こんなにも甘酸っぱいラブコメが展開されていたのか。あと、こんなにも工藤新一ってかっこいいのか。
 打ちのめされたまま、吸い寄せられるように2、3、4、5と読み進め、江戸川コナンの葛藤、工藤新一の焦燥、毛利蘭の強さ、阿笠博士の安心感を一気にインプットした。ついでに劇場版のコミカライズも置いてあったので読んだ。『時計じかけの摩天楼』、『天国へのカウントダウン』、『ベイカー街の亡霊』、『迷宮の十字路』、『探偵たちの鎮魂歌』、『紺碧の棺』、『戦慄の楽譜』、『漆黒の追跡者』。どれもこれも派手な爆発とハラハラドキドキの展開、そしてとびっきり切ない両片思い。「これはもう、新一と蘭の結婚式見るまで死ねないな……」と本気で思った。
 それが始まり。
 この後、小学校卒業前に赤井秀一にノックアウトされ、家族に黙って鳥取県北栄町の『青山剛晶ふるさと館』に遊びに行き、中二の頃に初めてコミックを買い、新一と蘭が両想いになり、あの方の正体が判明し、コナンファンのクラスメートに『まじっく快斗』の5巻を借り、『エピソードONE』を見て新一って可愛いかもと新たに発見し、初期と現在の作画の違いに戸惑い、初めて行った映画で日本人で良かったと思い、共通テスト受験直前にシャーロキアンに片足突っこんでしまったり、大学受験直前にたまたま読んでしまい「奥田誠人お前ェ…! 工藤新一お前ェ…!」とキレたり、とにかくここまで色々あったわけだが、それはまた別の機会に。私の多感な時期の根底には『名探偵コナン』と言う名のバイブルが根を張っているのである。

作業BGM『名探偵コナン メイン・テーマ(天空組曲ヴァージョン)


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