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ATD2024を振り返って:AIとの共存世界

AIを「使う」のか「使われる」人間になるのか


すでに夏休みも終わり、台風に翻弄される9月が始まってしまいましたが、10月末に開催されるATD Asia Pacific Conference (台北)を前に、2024年のATDカンファレンスに見た今の人材開発やラーニングに関わる世界の変化と、今改めて、人材開発における「人」の役割を考えてみました。

Recharge Your SoulというテーマのATD2024は、いよいよFace-to-Faceのカンファレンスが本格化してきたこと、そして、Face-to-Faceの“Connect”の大切さを感じさせるカンファレンスでした。一緒に何等かのプロジェクトをしたことのあるグローバルの同僚たちとの再会は、その場の空気感を伴って、「情報をゲットする」以上のつながりを実感し、Net上での継続的なつながりを強固なものにすることを改めて確認しました。キーノート会場の「熱量」もその一つだったと思います。
AIの急速な進化やテクノロジーによって変わる人々とのつながりや仕事に日々を生きている私たちに対する問いかけが、“Recharge You SOUL”だったのだろうと思います。

キーノートスピーカーのダニエル・ピンクのメッセージがカンファレンステーマを物語っていました。

  •  一人でやるべき仕事は何か、そしてどのような仕事を他者と一緒に(Together)で行うべきか?

  • どこで、いつ何を学び、いつ学び、どのように学ぶのか。

  •  家庭生活等個人としてのlifeを壊さずに仕事を成功させるにはどうすればいいのか。

  • オフィスとは何のためにあるのか?

  • 様々な、相反する環境の中で、私たちはどのように前進すればいいのか。

  • 次が何なのか誰にもわからない状況で、どう準備すればいいのか?

一方で、カンファレンスのトピックテーマには“AI”という文字が入っていないものの方が少ないと思えるくらい、“AI”が以下にLearning &Developmentの世界を急速に変えているのかを感じさせるものでもありました。
300セッション、Expoホールのセッションも含めると400セッションちかいセッションの中で、私は、以下にフォーカスを絞ってみました。

Expo Hall 風景とグローバルビレッジの仲間
ATD24セッションタイトルから:”AI”のワードが入ったセッションが多い

「AIがそこら中にあふれているけど、自分にとって役立つものは何?」「Human+AI:AIを活用して人材をパワーアップさせる」「AIを超えて:人間的知性の新たな波を促せ!」
「集団的知性の強化: 人間とAIのコラボレーション文化の共創する」「台頭するリーダーシップ:AI時代におけるコネクション・スキルの向上」「人間中心のリーダーシップ:AIの世界におけるあなたの強み」等々、「AIを使って~をする」といったものだけではなく、AI時代のコンテクストで私たちやリーダーシップに求められる役割や強化すべきスキルやマインドセットに関連したものも多くみられました。L&Dまたは、人材開発、タレントマネジメントに携わる私たちに対して、「今」やらなければならないことは何?を問いかけられたセッションもありました。
 
i4cp (L&DやTalent Management関連のリサーチ会社)の “L&D Technology : Key Findings from the Latest i4cp Research”の中で、
「AI Laggards (AI 後進者)」
「AI Enquirers(AI 照会者)」
「AI Innovators(AI イノベーター)」
という区分で組織の状況をデータで説明したセッションがありました。
以下がイノベーター組織の取り組み状況のデータです。

i4cpのL&DのTechnologyに対する取り組みの調査データより

これらの数字に対して、AI照会者は、全ての項目において10%以下、そして、AI後進者は、0-1%だったというのです。
生成AIの進化スピードがものすごく早い今において、この差は、将来の大きな差になりそうだと感じました。日本の組織においてもやっていることもありそうですが、テクノロジー部門にお任せ状態にするのではなく、人事や人材開発部門としてイニシアチブをとれることも沢山ありそうです。

もう一つ結構衝撃的だったのは、リーダーシップのリサーチと開発においての第一人者であるDDIからのレポート“Demystify AI for Development: What’s Hype, What’s Real, and What to Do (人材開発のためのAIを解明する:何が誇大広告か、何が現実か、そして何をすべきか) がセッションテーマでした。その中で、2023年からの組織の変化として、去年が「まだ誰もAIを使うことについて本気では話していない 13%」、「不安と警戒を感じる。わからないことが多すぎる 21%」だったのが、「この新しい現実から逃れることはできないので、とにかく次々と学んで、第一歩を踏み出している 42%」、「とても高揚している。AIで強化されたソリューションを使って仕事することが待ちきれない 42%」と人事・人材開発部門が回答しているとのこと。一方で、経営層(Senior Leaders)の2024年における彼らの人事・組織における関心事に対する回答のTop3は、

•        トップタレントを引き付けることとその保持 59%
•        次世代リーダーの育成 50%
•        従業員のエンゲージメントの維持 45%

 「新興テクノロジーを活用して成功する 24%」で、10位。シニアリーダーたちは、来るAIのインパクトに配慮していないという結果が出たというものです。彼らのレコメンデーションは、以下でした。

DDIのリサーチ結果からの提言

今、リーダーシップもAI抜きで考えることはできません。AI時代のコンテクストでのリーダーシップ開発が必要になっている中で、一つ一つの事象に囚われて、新しい時代への準備に貢献する人材開発になっていないのでは?という疑問も示されたのかもしれません。

まとめ
いずれにしても、AIとの共存が避けられなくなってきている今、他の職業と同様に、私たちの役割や仕事の内容にも大きな変化が訪れています。しかし、今現在、AIが仕事をするには、「人間」のインプットが必要です。それに従ってAIが生成したものを、再度人間が検証して、最適にし直したものをアプトプットとして出す必要があります。そのためには、

さて、2024年10月29日から31日は、台北においてアジア・パシフィックのATDカンファレンスが開催されます。 F2Fで、アジアの同僚たちの今と今後を語り、来年そして、未来に向けたエネルギーを得ませんか?
「ATD 2024 APC」グループ参加申込み開始! (atdj.jp)
そして、ぜひ、今度は、ワシントンDCでお目にかかりましょう!


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