オンライン研修(リモート研修)で、参加者主体を発揮する学習設計とは
今まで日本人の学習スタイルは、一方的に教えるティーチング(先生型)スタイルの学習がほとんどでした。学校や講演会もこの種類に該当すると思います。
ティーチングスタイルの学習の特徴は、多くの人数に受講してもらうことが可能な点です。個別対応できないため、テストを実施して個々の習熟度を確認してきました。
オンラインで、長い時間ティーチング方式を続けると、集中できず、学習者の習得度が高まりにくいと感じます。
そのため、教え方を変えていく必要があると思いました。
それが、参加者に主体的に参加してもらう学習設計、アクティブラーニングです。
アクティブラーニングとは、生徒が自ら学習すると言う学習方式で、講師はあくまでも学習を促進する(ファシリテーター)立場になります。
●wikipediaアクティブ・ラーニングリンク ●文部科学省のHP資料リンク
既に多くの企業研修ではこの方式が取り入れられていますし、学校教育でも文部科学省が推進しているようです。
このアクティブラーニングの手法を活用することも、オンライン化のポイントになるでしょう。
そして、これらの手法を活用できた人が活躍するようになってくると
講師の役割は「コンテンツを提供する人」から「学びの場を作れる人」という役割に変わってくると思います。
この「学びの場をつくれる講師」について、もう少し詳しく説明をしていきます。
■学習の習得度が高い学び方とは何か?
学習習得の効果的な方法として、エドガーディール博士の学習法則というものがあります。
5% 講義を聞く
10% 読書をする
20% 視聴覚体験
30% 実演を見る。(展示会など)
50% グループ討議に参加する
75% 自ら体験、実践する
90% 人に教える /すぐに使用する
実際に手を動かしたり、自分で実行したことの方が忘れないですよね。
学んだことを、自分の言葉で仲間に発表することで、高い学習効果が得られるのです。これらをプランに落とし込むと、例えばですが、こういう設計図になったりします。
「いやいや、もう普通の企業研修はほとんど、上の図のようにやっているよ」「大学のゼミみたい」と思われたかもしれません。
そう、リアルも、オンラインも「型」は同じだということです。原則は一緒なのです。
きちんと一旦、機能分解し、理解し、構造化して、再構築することが再現性を作り出す上で、大切です。
■13:リアルも分解し、学習を再定義し、オンライン対応させる
そのためには、今あるリアルの研修の要素をもっと分解して、「講師がいるオンラインセミナーの中で何をやって、何をやらないのか」を切りわけていく必要があります。
リアル研修の要素
①:講義
②:グループ討議
③:プレゼン/実技/演習
④:フィードバック
⑤:研修時間以外の時間(始まる前・後・休憩中)
⑥:宿題や定例報告・実行報告(連続開催の研修の場合)
リアル研修には、上記のおおむね6つの要素があるのではないでしょうか。
さらに、リアルで得られる価値についても分解して考えていきます。
リアル研修で得られている価値
1: 知識の習得
2:技術の習得
3:概念の応用化(実行への落とし込み)
4:抱えている問題や疑問の解決
5:振り返りによる気づき
6:受講者同士の人脈形成
このように要素と価値を分解していくと、研修をオンラインに切り替えていく上で重要なポイントが見てくるのではないでしょうか。アイデアをまとめてみました。
オンライン化へのアイデア
①「講義」
事前にyoutubeにアップロードして、事前学習で見てもらうことで、講義時間を短縮できる
② 「グループ討議」
「ブレイクアウトセッション」という数人でのシェア機能で実施する
「チャット機能」を効果的に活用する
③ 「プレゼン/実技/演習」
プレゼンも人数によって、様々な形が可能
ゲームを使ったり、体を動かすような体験ワークなどは、制限される
④ フィードバック
全体フィードバックと個別フィードバックがありますので、これは研修内で設計する以外にも、研修後に個別セッションの機会を設けるという方法もあり
⑤ 研修以外の時間
関係性を作ることは、その後の実生活での成果を作る上で大切です。懇親会で人脈ができてビジネスに発展したということがあります。そのため、「オンライン懇親会(飲み会)」や「コロナが収束したらリアルで懇親会を催す」というのもひとつのアイデアだと思います
⑥宿題や定例報告・実施報告
多くの場合、研修はやりっぱなしになっています。成果を出すためには、この宿題や定例報告(実施報告)など、研修で立てたPLANをどのように取り組み、振り返っていくかが、とても重要なポイントになります
オンラインで実施する場合、参加者の参加意欲と集中力を高めるために、「講義」をなるべく短くしていく必要があります。
そのために、事前課題の「動画」などを多用することも必要です。
講義だけでは一方向のコミュニケーションですが、双方向のコミュニケーションを設計することで、参加者が主体的になりやすくなります。
今までの学習効果と同等の効果を生むためには、事前の学習ツールを設計したり、課題やアンケートを実施したりなどして、事前・事後の学習設計を相当練り込む必要があるのです。
また、移動を伴わない学習のため、学習を細切れにして設計することも可能になります。
私は、様々なプログラム作りのために、4ヶ月この学習設計をしてきましたが、目的次第で設計の細部は大きく変わってきます。
きちんとタイムラインを設計して、講義を組み立てることをお勧めします。
詳細に関しては、ご自身の事業に照らし合わせて考えてみてください。