希望の共鳴板
ガソリン切れの自動車が ハイウエーで立ち止まってしまったみたいに
希望切れの自分が ベッドからなかなか這い上がれない朝
知ってるよ
分ってるよ
抱きたいのは希望
持ってたいのも希望
でも・・・
「持て」と言われて そう簡単に持てるもんじゃないってことも
だって
戦争の音が聞こえるし
病気の暗雲が雨を降らせているし
環境破壊が引き金になって地球は怒っているみたいだし
冷めた心と痩せた言葉で紡がれた流行歌はどれも似ていて
ちっともこちらに迫ってこない
でもある日
小さいけど なつかしさの匂いがするドアが ボクのとなりで 突然に開く
その日
冬の最中に吹く風に 春の匂いを感じ
雨雲の切れ間に 澄んだ青空が見える
その日
薄暗い地下鉄のホームに どこからともなくトランペットが響き
その日
自分を後回しにしてボクの最善を願ってくれる友の自己犠牲に触れる
その日
茜の空に 透明な新月を見つけて はっとする。
すると
実は捨てたもんじゃなかった日常が
汚されていない真の清らかさが
人間の傲慢を鮮やかに振り払う 森羅万象を包む神秘のベールが
世界を満たしていたことに気付かされる。
素朴だけど優しく力強い驚き。
「求め続ければ与えらる。」
「探し続ければ見つかる。」
「たたき続ければ開かれる。」
新約聖書のマタイ伝7章7節のイエス・キリストの言葉のとおりに。
だから
今日の自分がどれほど分厚い雲に覆われていても
心のガラス窓まで曇らせたくないね。
瓦礫の下 顔をのぞかせた 世界の美しいものごとに心を重ね
丁寧に探し 磨いていけば 必ず現れる景色というもの。
それは
だれかがプログラムしたとしか思えない
DNAの「A」「T」「G」「C」4つの文字が
片時も休まず織りなし繋ぐ「命の歌」と
ほんとうは どんな人にも
価値があり
出来ることがあり
可能性があり
居場所があるよと語りかけてくれる「希望の歌」。
それを燃料にしてがんばろうとする今日という日は
だれもが胸の奥に持っている「希望の共鳴板」が振動した結果なのだろう。
ボクには そう思えてならないんだ