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雨あがり美術館 作品番号#5  42nd STREET 路上の銀の摩天楼

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クライスラー・ビルディングは、1930年に完成して以来ずっと、孤高の輝きを放ち続けてきた摩天楼だ。

当初282メートルで設計されたが、建設中だったウォール街のウォールタワー(283メートル)と高さを競い合い、38メートルの尖塔を秘密裏に設計し、付け足すことで、世界一の座(320メートル)に就いたというエピソードがある。だがそれも束の間、1年後にはエンパイア・ステート・ビルディングにやすやすと王座を明け渡すことになった。

高さ競争では勝者になれなかったクライスラーだが、その優美さはいまだに、他のビルの追従を許さない。

42nd ストリートの、雑踏に取り囲まれた水たまり。タバコの吸い殻がいくつも浮いた、濁った水面にさえ、銀のクライスラーは映えて輝く。その尖塔は、雲を突き抜け、時代を見つめて、空と同化してゆく。青く、限りなく青く。

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