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声劇フリー台本「上から見えたのは、」(女性同士用)


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上から見えたのは、

1「先生、私がこの桜見るのってもう最後?」

2 いつもはるか先を見つめるような目をして窓を見ている君。

1「ねぇ今私、上手く笑えてるかな」

2 そう私に問いかける君の目にはもう希望が見えなかった。

1「相変わらず答えてくれないんだね。ふーん、そんなに先短いんだ、私」

2「あ、えっと天気いいし花見行こうか、気晴らしに」

1「うん、車椅子持ってきて」

2 透き通るような白い肌。黒くて艶めいた髪。ほんのり赤い頬。

1「ありがとう。何日ぶりかな、外に出るの」

2 ふっくらとした桜色の唇。黒く澄んだ瞳。細くて長いまつ毛。

1「もう、ちょっとくらい喋ったらどうなの?」

2 本当に君は死んでしまうのだろうか。こんなに美しい子が。

1「先生と私が初めて会ったのも春だったね」

2「そうだった」

1「ねぇ先生、上から何が見えた?」

2「満開の桜と傷だらけなのに美しい君」

1「死にかけで逃げてきた私と命を捨てようとしてた先生。神様が巡り合わせてくれたのかな」

2「どうだろうね、私は運命とか信じてないから」

1「でもさ、私もう疲れちゃった。生きることに」

2 私はまた口を閉じてしまう。なんて返すのが正解なのか、分からない。

1「あのね、肝心なところで黙る先生のこと、私好きだよ。考えてくれてるんでしょ?何を言えば正解なのか。気持ちないことぽんぽん言う人よりもよっぽどいい。」

2 相変わらず色のない目。ねぇ、君は今その瞳に何を映しているの?

1「戻ろうか、もう満足した」

2「そうだね」

2 あれはあの次の日の出来事だった。

2「はぁはぁはぁ…ここに居たんだね。やっぱり」

1「先生、来るの遅いよ。」

2「大騒ぎだったよ。消えたって」

1「ごめん。でもそうなるって分かってて来た」

2「それも知ってる。」

1「私、車椅子使わなくても歩けるんだよーって知ってたか。屋上まで来てくれたんだもんね。」

2「ここに来るには階段使うしかないから」

1「止めないの?私こんな所にいるのに冷静だね」

2「どう?上から見る景色は」

1「凄く綺麗。桜は下から見るより上から見た方がいい。」

2「私もそう思った」

1「先生、こっち来て」

2 言われるがまま屋上の端に座る君の元に向かう。

1「ここに来てからの人生が生きてきた中で1番幸せだった。逆の人の方がきっと多いんだろうけどね」

2 瞳がいつもよりも輝いてる気がする。

1「生まれ変わったら私、先生のこと迎えに行くね」

2 君がそっと立ち上がって振り返る。そして私の頬に口付けをした。

1「さようなら、先生」

2 上から見えたのは満開の桜と私の目には美しく映る君。最後まで私は何も言えなかったね。

2「迎えに来てくれなくても私が行くよ」

2 最後に見たのは白と水色と桜色。さようなら、私たちの春。

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あとがき✎*
色の描写ってエモいよね。女の子の描写しながら夏目漱石の夢十夜思い出した。何夜だったか忘れたけど。結構あの話好きだったな。先生役は男の子でもできるんだけど同性やから出る良さがあると思うからここ的には女の子同士がいいよねって話。台本書いてるけどここが好きなのは小説だからどうしてもイメージが文面で終わってしまう所があるんだよねー。音声編集さん尊敬です👏🏻👏🏻小説も書いてみたくなったなー比喩とか苦手だから自信ないけど。ちょっとワクワクしてきた!そんなことしてる場合じゃないけど!まぁということです。最後まで読んでくれてありがとう。キャスト投稿してくれる時は #妄想女子の独り言 宜しくね( ᐛ )و

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