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奥尻の海で身をもって学んだ海洋プラスチック問題

『奥尻島日記』では、北海道最西端の島である奥尻島(おくしりとう)で過ごした9泊10日のことを記録していきます。

奥尻島日記【~1日目】では奥尻島がどんな場所なのか、なぜ行くことになったのかなどを書いています。
奥尻島日記【2日目】ではネイチャーガイドのお話や神威脇温泉について書いています。
奥尻島日記【3日目】では奥尻島の魅力的な島民の方々との関わり、北海道南西沖地震について書いています。

よろしければご覧ください!


3日目までは奥尻島を「知る」ための期間でしたが、4・5日目は海洋プラスチック問題について考え、実際に回収や洗浄を行ないました!

海洋プラスチックのアップサイクルDay1!【4日目】

imacocoでゆうとさんから海ゴミの現状や活動内容に関する説明を受ける

ECOFFの大学生、imacocoファミリー、奥尻高校の生徒、海ゴミの回収活動に積極的に参加されているさちこさん、imacocoに宿泊されていた方々も全員総出で行ないました。

この問題は以前から叫ばれていますが、2050年にはゴミの量が魚より多くなると言われているそうです。
世界には『ゴミベルト』と呼ばれる海ゴミが自然に集まるスポットがあり、全て回収するのは困難です。

奥尻島も周囲を海で囲まれているために多くの海ゴミが流れ着いており、景観が壊れたりゴミの回収に莫大な費用がかかることで財政を圧迫するなど様々な悪影響を及ぼしています。

大量のゴミを回収することはもちろん、回収したゴミをどのように引き取ってもらうのか、引き取られたゴミがどうなるのかまで考える必要があり、海洋プラスチックの問題がかなり複雑であることが分かりました。

しかし、今回『buoy(ブイ)』という企業が奥尻島で回収した海ゴミの引き取り、その後のアップサイクルまで協力下さることになったそうです。アップサイクルとは本来廃棄予定だったものを新たな製品として生まれ変わらせることです。実際アップサイクルされたものを見せていただいたのですが、ひとつひとつの製品が均一な色ではなく、それぞれの風合いがありました。

まずは回収作業!

各自がどんどんゴミを回収していく

プラスチックを大きさで分けてかごに入れていき、流れ着いている漁の網なども別で回収していきます。
両手で持たなければいけないようなサイズのうきや容器から、砂に混じっていて拾いきれない小さな破片まであり大きさはバラバラでした。

imacocoから海を見るとそこまでゴミがあるように見えなかったのですが、いざ浜辺まで行くといくらでもゴミが目に映ります。これだけの大人数で回収しているのに全然回収し終わらない…。

お昼ご飯は沢山のおむすびとスープ、作業に協力して下さった方が持ち寄ったおかずたちが並びました。疲れた体にしみる…!

ハチドリのひとしずく

ご飯を食べた後の休憩時間に、一緒に作業して下さっていたさちこさんに『ハチドリのひとしずく』という本を教えていただきました。

『ハチドリのひとしずく』は、何かが起こったときに一人が行動を起こしても変えられないだろうと思うか、自分一人だけでも行動しようと思うかを考えさせられるお話です。
さちこさんは奥尻に来てから一人で定期的に海ゴミを拾う活動をされており、周囲の方にはなかなか協力してもらえなかったそうです。それでも海ゴミを放っておくことができず一人だけでゴミを拾っていたさちこさんは強い方だなぁと思いました。

裁断・洗浄作業

回収するだけでも果てしない作業に感じるのですが、そこからさらに加工しやすいようにある程度の大きさに裁断し、洗浄する作業が待っています…!

洗浄前のゴミたち。大きさや汚れの度合いはバラバラ…。

比較的小さく柔らかいものはプラスチック裁断用のハサミでカットするのですが、これもかなり力の必要な作業。
さらに、大きいものや固さのあるものはハサミでは裁断することができないので斧や特殊なカッターを使用して裁断します。

固いものを裁断するための専用カッター
こういった道具を購入する費用までかかると思うとコストがすごい…。
力仕事なので適材適所で作業を進めます!

バケツに水を溜め(3月下旬で水だと冷たすぎたのでぬるま湯)、歯ブラシを使って取れる汚れを落としていきます。洗っても洗っても終わらず、ぬるま湯が冷めてきたら手が凍える…!!!

一人でやっていたら即投げ出してしまいそうな作業ですが、話しながら各々が自分のできる作業を進めていきます。

その後、色ごとに別けて作業は完了!4日目は奥尻高校の生徒やimacocoに宿泊されている方もいる中での作業でしたが、拾った海ごみ全てを裁断、洗浄、色ごとの分別まで完了させることはできず、5日目に持ち越すことに…。

何のポーズだったかは覚えてないです😇

奥尻高校

夜ご飯を食べた後、アップサイクルにも協力してくれた奥尻高校のしんくんから奥尻高校について話を聞きました。

高校生とは思えない話しぶりと奥尻高校の魅力で真剣に聞き入る…

しんくんは奥尻出身ではありませんが、『島留学』という形で寮に住み、奥尻高校に通っている生徒の一人です。
高校を選ぶ時に自宅からの近さや友達がどの高校に行くかなどではなく「どういう場所に身を置きたいか」を考えて進学していることに感動しました。

『離島にある高校』というだけでもインパクトがありますが、スクーバダイビングや奥尻島の魅力について考える奥尻パブリシティ本部など奥尻高校ならではの特色ある授業が魅力で、ECOFFの大学生も「通いたかった~」と話していました。

ただ、もちろん離島にあることによるハンデもあります。
その一つが部活等で奥尻島から出る必要がある際の交通費がかさんでしまうことです。

今回しんくんはオクシリイノベーション事業部(Okushiri Innovation Division 通称OID)から代表してお話をしに来てくれていたのですが、OIDは「遠征費の負担」を解決するべく作られた部活です。
これまでにもクラウドファンディングやグッズ販売で遠征費用を生徒自身が集めているそうです。

とにかく生徒が自分で考えることが求められる奥尻高校。関心すると同時に、彼らがどんな道に進むのかまた再開して話したいなと思いました。

奥尻高校HP:https://www.town.okushiri.lg.jp/highschool/

OID:


アップサイクルDay2!【5日目】

昨日かなりの量のゴミが回収されたため、拾う作業よりも裁断・洗浄・分別作業をメインで進めようということになりました。

この日は昨日よりも人数がかなり減り、同じ作業が続くこともあってみんなで励まし合いながらの作業。

大きいゴミを裁断するのも大変ですが細かいゴミをちまちま洗うのもこれまた大変…

気を紛らわせるためにも、「普段何やってるの?」や「将来どうするの?」と話しが弾みます。
それでも海ゴミを回収して分別に至るまでの一連の作業がかなりの体力と気力を必要とするものであることを痛感しました。ECOFFに参加した大学生も、協力してくれた奥尻高校の生徒たちもかなりの疲労感で終了時にはヘトヘトの状態でした。

今回はbuoy(ブイ)という企業や一緒に作業ができる仲間が大勢いたためにかなりの量のゴミをアップサイクルできる状態にまで持って行くことができました。ですが、本来なら人口20人の神威脇地区。若い世代も少なく、問題意識をもっていてもどうにもできないというのが実情です。

また、そもそも海ゴミの量が多すぎることを目にしたことで「問題意識を持つきっかけが提供されること」も重要だと感じました。
海ゴミが発生する原因として、津波で海にゴミが引き込まれていくなど防ぎようの無い場合はありますが、漁の道具が飛ばされないように管理する・ポイ捨てをしないなど、明らかに防ぐことができる場合がほとんどです。
ただ、それを「流されちゃったけどまぁ仕方ないよね」と受け流してしまう人も少なからずいて、その人達は海洋プラスチックに対して問題意識を持つ機会が無かったり自分事として捉えられていないだけかも知れないなと考えました。

というのも、私自身今回の活動に参加して大変さを痛感するまで海洋プラスチックの問題をそこまで問題視していなかったからです。ゴミになるのは一瞬だけどゴミになったものを回収するのがこんなに大変なことなのかと身をもって学ばせていただくことが出来ました。

この活動以来、アップサイクルの製品が気になったりマリンスポーツをする際にゴミが落ちていないか気になったりと関心の向く方向が広がったように感じています。貴重な体験をありがとうございました!


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