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「終わった人」と「ひっつみ」と

月一で、日曜日に盛岡に行く。母と姉に会いに。
昨日がその日だった。快晴の空と岩手山が見れた。

そう言えば、先月は初冠雪の10月20日に盛岡にいた。
些細な個人的な思いだが、先月初冠雪を見たから、もっと雪が山の下まで増えているかなと期待していたので、ちょっとおっしい、と思った。子供の頃から、岩手山の半分くらいまで縦に雪の筋がついているのが超かっこいいと思っているので。

先月10月20日
八幡平 岩手山パノラマラインからみた岩手山


過去に撮った
自分が大好きと思う
雪が残る岩手山



最近、オーディブルで聞いた内館牧子の「終わった人」、その63歳の主人公の故郷が盛岡と言う設定で、話が余計に親近感ありまくりで、とても面白かった。


その定年後の葛藤のなかで、主人公ソウスケの故郷への想いが、変化していく。その「終わった人」の心持ちと、盛岡愛に溢れた本のネタ、岩手山、開運橋、ひっつみ、啄木、多くのキーワードで、話が尽きなかった。

内館牧子、なんでこんなに盛岡に詳しいのかな、と言ったら

姉は、なんでかねー、でも、あれよ、「盛岡文士劇」っていうのに出てるよ。毎年、盛岡劇場で、やるんだよ。それに内館牧子も出るの。盛岡のアナウンサーたちと、と答えた。サイトを見たら、公演日程が近いっ!でもチケットはソールドアウト。へー、来年は観れるとよいなと思った。

ググったら内館牧子さんは、父親や祖母が盛岡出身ということらしい。

母と面会し、姉とイタリアンのセザンヌでランチして別れた後、折角の晴れだから、ひとりで、岩手山の写真を撮るお気に入りスポットまで車を走らせた。そのためには、滝沢インターで高速を降りる。私にとっては最近できた新しめの高速出口だ。母校北陵中学校の前を通ったら、校門から昇降口まで落ち葉が舞っているのが見えた。
なんだかんだと時間のない日帰り帰省、そうセンチメンタルになってばかりもいられない。

お気に入りフォトスポットで数枚写真を撮って、満足して、スポット滞在数分でとんぼ返り。

その帰り道は、どうしても運動公園前の銀杏並木を見たかったからそっちを帰った。銀杏は終わり頃ではあったが綺麗だった。ああ、あそこで走っていた年からもう約50年も経つのか。半世紀。ひー。

そのため、帰りは盛岡インターから高速に乗ったが、やはりそこまでの道はいつも通り混んでいて、やはり滝沢から高速にのればよかったと少しだけ後悔した。

ひとりで仙台↔︎盛岡高速道路運転の往復、最終的にはユーミンのCDをかけてDestinyを永遠に熱唱というよりは、大声で呟きまくって運転する。日帰りは、帰宅後やはり、グッタリする。

そして、溜まっていた、自分の英語教室の仕事をどうにか帳尻合わせるまで頑張って、保護者向けのBand投稿の下書き2本完成させてから寝て、朝、7時に投稿し、その後二度寝してゆっくり起き出した。夫は既に、出かけていた。本日の自分のご飯、もちろん、ひっつみだ。

この本を読んで以来食べたくて仕方がなかった、我がソウルフード「ひっつみ」が、スーパーでうどんコーナーで売られている見つけて、(商品名は「すいとん」だった)土曜日に材料も買ってあったのだ。
※ひっつみとは、鰹だし醤油ベースで、豚肉、多めのキノコ類、大根ごぼうなどの野菜、ネギ、の汁に、小麦粉をこねた生地を薄くちぎったもの(それをひっつみと呼ぶ)が入っている、うどんのような、鍋のような料理。または、その生地のことを「ひっつみ」と呼ぶ。ひっつみは、手でちぎって汁に落とすことから、この料理が「とってなげ」と呼ばれていることもある。あるいは「すいとん」と呼ばれていることも多い。

手軽に作れて嬉しい。自分で作っても汁はまあ、美味しい。写真を撮れば良かったが既に鍋は空。

母は、ひっつみ作りの名人だった。わたしは、小麦粉をこねて、丸めた生地を濡れ布巾で包んで冷蔵庫で寝かせるという手間をせっせとかけてくれた母に育てられたというのに、自分でその粉をこねる作業を一度もやったことがない。残念な娘だと思う。あれは母が作ったものを食べる物だと信じ切っていた。
大人になっても帰省するたびに、ひっつみをこねて下準備して待っていてくれた母。熱々の出来立てを出してもらってわーいと言って食べるだけの娘、何歳になってもそうだった。

62歳となった自分。何が食べたい?と聞かれたら、母が作ったひっつみと答える。あの透き通ってテロテロした美味しいひっつみ、スーパーのうどんコーナーで売っていたやつもありがたいけど、違うと分かった。

「終わった人」の主人公ソウスケの、ひっつみ愛が、自分としては共感度マックスで、この本が好きな大きな要因だ。

なんとなく、小麦粉こねるところからやってみようかなと思う。たまたま、来週、30をとうに過ぎた娘たちが帰省する予定だ。

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