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文字にこだわる統合失調症、フィルターの故障。

「記録を残してるの。」

そう言いながら、いろんな写真を撮りまくる。
風景の写真や自分の思い出になりそうなものを撮ってるなら私も何も思わない。

ただ、娘が撮ってる写真は風景でも自分でもなく
案内や広告や説明文など、文字が書かれているもの。

ソウルに1泊したホテルでも
フロントの周囲に置いてあるいろんなパンフレットや
何かイベントの案内など、そういう「文字」が入ったものを撮っている。

タクシーに乗った時も
背もたれの部分にあった新しいスマホアプリの紹介の写真を撮る。

そして、例のごとくそれをインスタストーリーに載せる。
それって、シェアする内容か?
私にはまったく理解できない。

そして、きれいな風景やおいしい料理の前では
撮らない。

理解できないことだらけだけど、
切れられると困るので私もいちいち言うのは控えた。

そんなふうに文字にこだわって写真を撮りまくっていた娘が

家に着いてからしばらくしてからは
文字をひどく嫌った。

私がこれはいい言葉だと思って
ポストイットなどに書いて壁に貼っておいたものも
私に確認もせずはがしてしまうし

自分の部屋にある本の表紙にマスキングテープを貼りだした。
本の題名、著者の名前、
そういう文字が書かれている部分に。

何をしているのかと聞くと、
情報が多すぎて、自分の中に入ってくるから遮断しているという。

情報が自分の中に入ってくる。。。

以前、NLPという心理学の話を聞いた時のことを思い出した。
私たちはものすごくたくさんの情報に囲まれていても
フィルタリングされて、実際に認知しているのはほんのわずかだと。

つまり誰かとカフェでしゃべっているとき、
視野に他のお客がいても表情は見えないし、
壁がどんな色だったかどんな音楽が流れているか、
注目しない限り重要ではない情報は入ってこない。

それが正常のフィルターが作動している状態。

娘は、そのフィルターが壊れたのだ。

統合失調症だと分かった後に、その症状を詳しく調べ、
そこにも同じことが書かれていた。

統合失調症は、脳のフィルターが壊れた状態だという。


昔、精神疾患は、気が狂ったとか、悪霊に憑かれたというふうに表現されて、長い間体の病気とは全く別物のように扱われてきた。

そして私もそう思っていた。

でも、よくよく考えたら頭だって体の一部。
体と同じ血が流れ、体と同じように栄養分や酸素が運ばれる。

特別なものではない。

アメリカでは精神疾患は「脳の風邪」だと言うらしい。
それを聞いた時、本当に救われた。

うちの娘も
良く寝て、栄養補給(ちょっと特別な栄養を補給しなきゃだけど)で、
6か月で良くなった。

病気って、その病気そのものが辛いんじゃなく、
治らないんじゃないかっていうその絶望感が辛いんだよね。

統合失調症、
それ、脳の風邪だから、
あなたも、きっとだいじょうぶだよ。





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