ポカチェ攻略 合理的選択の罠
はじめに
ポーカーをするにあたってナッシュ均衡解的な戦略を知り、それにより近い戦略を目指すことは上位の成績を目指すためには必要なことだと思う。
ポーカーチェイスでのAllin or Foldの均衡戦略を見るツールとしてはNash ICM Calculatorなどが知られている。
Nash ICM Calculator - HoldemResources.net
また、一般的な内容として、バブルファクターの影響が強ければ、Allinのレンジは広くなり、callのレンジは狭くなることが知られている。
ナッシュ均衡解的な戦略は、2人で行う報酬がゼロサムとなるゲームにおいて最適解となる。一方で、争う2人の報酬がゼロサムとならないときに相手が合理的選択をしない場合、必ずしも最適になるとは限らない。
今回はそのことについて簡易ゲームを題材に考えてみたい。
↓参考 前の記事
https://note.com/koko_3939/n/n9263eb23f3ce
ゲームのルール
〇Aさん、Bさん、Cさん、Dさん、Eさん、Fさんの6人で行う
〇全員が10000ポイントをもってスタートする。
〇ゲームのポイントが増えることを目指すゲームとする。
(ポイント=報酬)
〇AさんからFさんまで順番にテキサスホールデムにおける1回のベッティングラウンドと同等のアクションを行うものとする。
(check bet call raise fold alllin)
〇ベッティングラウンドが終わったら、foldしていないメンバーでジャンケンを行う。
〇ジャンケンで勝った人がpotをとるが、potが10000ポイントを超えた場合はpotの25%をfoldしたメンバーに均等に配るものとする。
〇ゲームは1回のみ行う。
ゲームのアクション
〇Aさん bet 500
〇BからEさん fold
〇Fさん Allin(10000)
〇Aさん call
AさんとFさんのジャンケンの結果 Aさんの勝利
ゲーム終了後の収支
Aさん 10000 → 15000
Bさん 10000 → 11250
Cさん 10000 → 11250
Dさん 10000 → 11250
Eさん 10000 → 11250
Fさん 10000 → 0
合理的選択の罠
FさんはAllinしたとき、こう思っていた。
「Aさんの立場になった場合、
fold →期待値-500
call →9500出して、
勝ったとき+5000
負けたとき-10000
→期待値-2500
foldすることがAさんにとって合理的なはずだ!!」
Aさんはcallしたときこう思っていた。
「Allinしたらポットの25%とられちゃうじゃないかよ。
でも、FoldしたらFさんが得するばかりだし、しゃーない、callだ」
FさんはAさんに怒る。
「おいおい、Aさんは期待値計算もできないのかよ!!へたっぴめ!!」
BさんからEさんはにっこり^^
どうするべきか
変な簡易ゲームを例にしたが、これが争う2人の報酬がゼロサムとならない場合で、相手が合理的選択をしない場合、必ずしもナッシュ均衡的戦略が最適になるとは限らない実例である。
ランクポイント期待値という観点で見た場合、ポーカーチェイスのランク戦ではこれに似たようなことがたびたび発生している。
Fさんの考えは合理的で決して間違っていない。であるにも関わらず、Aさんの不合理なcallによって、Fさんは期待値マイナスに引きずりこまれてしまったのである。
Nash ICM Calculatorで計算したプッシュレンジは、まさにFさんの戦略である。
トーナメントにおいてバブルファクターが強く効いている場合、Pushのレンジが広くなるのは、ナッシュ均衡解的な戦略としては間違っていない。ただし、卓のプレイヤーの練度は見極める必要があり卓に座っているのがAさんだらけなら、それに合わせてプレイする必要がある。
その代表のひとつとしてFさんの立場のとき、Aさんbetにcallする戦術を提唱したい。
※ナッシュ均衡とは、自分と相手などの複数の戦略同士が組み合わさって初めてナッシュ均衡なので、ここでは「ナッシュ均衡解的」とぼかして表現してみた。ナッシュ警察のみなさん許してください。
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