Aハイのbetレンジ構築の考え方~BTN vs BBのSRPのJ42rのフロップCB戦略を例に
先日、我孫子にあるポーカールームAgoraさんに遊びに行った時にたまたまヘッドホンポーカーの企画をやっていました。
思考の言語化がテーマとのことでとても楽しく遊べました。せっかく言語化したので、出来れば残しておこうかなと思って書いた身内向けの内容が思いのほか好評だったので、公開してみます。
※正しい内容ではなく、いちレク勢の思考です。
kokoがヘッドホンポーカーで気になったスポットとして、BTN vs BBのSRPのJ42rのボードでのフロップCBのスポットがありました。
実戦ではBTNがA9oにてフロップCBを打っていました。
それはそれで悪くないとは思うのですが、GTOの観点からは「ボード的にレンジCB」という考えだとちょっとだけズレていると思ったので、そこに切り込んでみようと思います。
BTN vs BBのSRPのフロップにおいて、ハイカード(J~A)1枚と2~5が2枚落ちたときには、GTO戦略はCB頻度50~60%くらいで1/3ポットベットを多くすることになります。
例:J42r、K53r、Q52r
※ペアボードとモノトーンボードは除く
BB側が適切な頻度でチェックレイズを返してこない場合、BTN側は高頻度でCBを打つことが良いですが、これに対して、BB側はチェックレイズをGTOの頻度より多くすることでカウンターを狙うことができます。これらのカウンターをされた時は、BTN側はGTOに寄せて、レンジ全体の中でチェックするところとベットするところを構築します。
BTN側がベットするべきところとチェックすべきところがどのように分類されるかをAxを中心に考えていきます。
基本的にBTNがベットをしてBBがコールやレイズをした場合、チェックアラウンドで回った場合に比べて、BBは強いハンドを持っている可能性が上がります。
そこで、ベットレンジは相手のレンジが強化されたとしても勝ち筋を失わないハンドが有力な候補になります。それらをAxの勝ち筋に分けて考えていきます。
Aハイで勝っている可能性
Aをヒットさせて勝つ可能性
キッカーをヒットさせて勝つ可能性
ストレートに発展させて勝つ可能性
フラッシュに発展させて勝つ可能性
Aハイで勝っている可能性
Aハイで現状勝っている可能性もあり、BTNがベットして、BBにコール以上をされてBBのレンジが強化されるとAハイとしての価値は激減します。Aハイは典型的な、ベットにコール以上されるところには負けていて、勝っているところは降ろしてしまうマージナルなハンドの筆頭です。ただし、Aハイは現状勝っていても、ターンやリバーで逆転されてしまう可能性も高く、相手のそれらの勝ち筋を奪う必要がでてきます。そのため、Aハイはマージナルではありますが、フロップではすべてチェックするわけでなく、一定頻度でベットを打つことになります。
Aをヒットさせて勝つ可能性
Axには、Aハイとしての価値の他にAのワンペアのドローとしての価値もあります。AxはAをヒットさせたときにワンペアの中では最強クラスのハンドに昇格します。BTNからベットをしてBBからコール以上をされたときにAハイとしての価値は激減しますが、Aのワンペアのドローとしての価値はキープできる特性を持ちます。特にポジションがある場合はAがヒットしたときに、ポットを膨らませる機会が多く、追加の利益を得られます。このことが、Axをベットレンジに入れることができる理由のひとつになります。キッカーの強いAKやAQはAがヒットして、相手もAを持っていた場合に大きくチップを取れるということから、Axの中でも価値が高く、ベット頻度を増やせることになります。
キッカーをヒットさせて勝つ可能性
キッカーをヒットさせて相手を逆転できるキッカーにはワンペアのドローとしての価値もあります。AKとAQはキッカーであるKやQをヒットさせてもトップヒットのJのワンペアに対して逆転することができるため、Aだけでなくキッカーもドローとしての高い価値を持ちます。これにより、AKやAQはAxの中でも特にベットの頻度を高くすることがより合理的になります。AT以下はキッカーをヒットさせてもJヒットに対して逆転できないため、AKやAQに比べるとキッカーのワンペアのドローとしての価値は落ちることになります。
ストレートに発展させて勝つ可能性
J42rはストレートに発展する可能性は低いボードですが、ブロードウェイ(T~A)に2枚有効なカードを引いたときにストレートになる可能性のあるハンドが存在し、ホイール(A~5)ではガットショットのハンドがあるボードです。AK、AQ、ATはブロードウェイ側に2枚有効なカードを引いたときにナッツのストレートになり、A5、A3はホイール側でガットショットとなるハンドです。また、A6は3と5を引いてストレートが完成したときにA持ちから大きく取れる可能性のあるハンドになるため、ストレートの発展性という意味で優秀なハンドになります。
(自分でAをブロックしてしまっているので6持ちの中では、A6よりK6sやQ6sの方が優秀なハンドになります)
フラッシュに発展させて勝つ可能性
レインボーボードなのでスーテッドハンドのみフラッシュの可能性を持ち、その中でもナッツの可能性を持つAxsはベットするためのに優秀なハンドになります。ただし、Axはお互いにフラッシュになった場合に後からでも全部取れる可能性があることと、AハイとしてのSDVがあることから、Aハイよりも、KハイやQハイのフラッシュの方がベット頻度は高くなります。
Axの中でどこをベットするか
これらの理由からAxはかみ合ったときに大きく追加で利益が得られる可能性のあるAK、AQ、AT、A6、A5、A3などを優先的にベットレンジに入れることになります。そのため、A9、A8、A7はAxの中ではチェックレンジに組み込むことが良いと思いました。KxやQxも同様の理由でベットとチェックを作るのであれば、K9、K8あたりのチェックを多くすることが良いと思います。
ただこれだと、ターンとリバーで8や9が重なったときに相手から、「レンジに8と9なさそうだからいじめよう」と弱点をつかれる可能性があります。(人間でこれをやってきたら驚きのレベルなので気にしなくても良いとは思いますが…)それを防ぐために、Jヒットの中でJ9やJ8のベット頻度をKJやKQより気持ち多くすることで、どんなカードが出てもいいようにバランスを取ります。
BTNvsBBのSRPの場合のハイカード(J~A)とローカード(2~5)2枚のフロップではBBのチェックレイズ頻度が足りないプレイヤーが多いという理由を背景に、BTNから100%の頻度で1/3pot程度の安いCBを採用しているプレイヤーは多いです(それを推奨しているポーカーチャンネルもある)。それはそれで有効なことが多いのですが、今回GTOを基準として考えるという話だったので、違いを指摘して、それらを構築するための理屈を考えてみました。
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