眠れぬ夜のおじーさん アナフィラキシー入院【その2】
救急搬送されて応急処置も済みすっかり症状がひいた私。
そのまま帰れると思ってた。
「3日ほど入院で。」
しれーっとドクターが言うた。
なんでなんでなんでー?!
しかもHCU高度治療室とかいう病室やし。
ベッドから降りたらいかんという安静っぷりやし。
まぁ、決まったことはしゃあない。
夜も遅いし観念して寝るとしよう。
「ヴェーッ!フォッフォッフォッフォッ。」
なにごと?
どうやら、3つ隣にいるおじーさんのうめき声。
「ヴェガーグゥオーット!」
とか、バリエーション豊富なご様子。
うとうとしたら、おじーさんのうめきが始まる。
寝れんて。
「せつこーっ!!せつこーっ!!」
すっごいクリアに聞こえたけど、空耳?
私、夢見てた?
ほんで、おじーさん、なんかゴボゴボいうてるし。
痰がたまってるんちゃうやろか?
「◯◯さーん!口開けてー!」
ブゥーンという吸引の音。
「ゴホンって咳できるー?」
ゴボゴボゴボゴボ。
ブワァ〜ブワァ〜ブワァ〜
「バァーいうのやめてくれる?」
男性の看護師さんクールやわ。
おじーさん、ごっつい大音量で
「ブワァーーーーーーーーッ」
めっちゃ反抗的やん!!
「イーーーーーッ!」
あ、はーーーいね(笑)
前言撤回。
素直なおじーさんでした。
やや睡眠不足で朝の検温やら何やら。
「お名前聞かせてもらえますか?」
「今日は何日ですか?」
「ここはどこですか?」
「生年月日は?」
と、看護師さんから質問を受けた。
おじーさんも同様の質問を受けている。
おっ、名前とか普通に話してる!
会話できはるんや。
と、感心してたら
「生年月日は?」
の問いに
「うぅーーー、にゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃー!」
て、叫んだ。
思い出せんでイラっとしたんかな。
吹きそうになったわ。
ピロ〜ンピロ〜ンピロ〜ン
私の心電図の警告音が鳴ってしもたやん。
焦るわ。
日中のおじーさん。
「ぅおーい、ぅおーい
どぁれくぁー、どぁれくぁー」
おーい、誰かーか?
看護師さんは
「はーい、なーにー?」
と、何度も答えるばかりで
なかなか行かない。
忙しいのはわかるけど早く行ったげてと
おじーさんを自分の親に重ねてしまう。
どうやら水こぼしたから呼んでたみたい。
「何悪いことしてたん。ビショビショやん(笑)」
看護師さんに笑われて、大爆笑するおじーさん。
つられて笑けてしもたわ。
ピロ〜ンピロ〜ンピロ〜ンピロ〜ン。
心電図の警告音が鳴る。
笑ってるん看護師さんにバレるやん。
もう1人、私が密かにツボったおばーさんがいた。
たぶん2つ隣のベッド。
絶対に目を開けたくない、おばーさん。
「◯◯さーん。目ぇ開けてぇ!
起きてぇー!私の顔見てー!」
言われれば言われるほどに目を開けない。
看護師さんの話によると、寝ているわけでも目を開けられないわけでもないようだ。
時々、油断して目を開けてしまう、おばーさん。
「目ぇ開けてくれたねー。」
なんて言われようもんなら、
ハッ!しまった!
とばかりに慌ててかたく目を閉じる。
1日中続く看護師さんとおばーさんの小競り合い。
不思議におばーさんを応援している私がいた(笑)
「聞こえてるー?起きてるー?
目ぇ開けてー!こっち見てー!」
ギュッと目をつむるおばーさんを想像する。
おばーさん、ファイティン!!
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