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エッセイ【ママ、もういっかい、さいしょからよんで!!】
子どもは苦手だったし、子育てする自信なんてまったくなかった。
だから、子どもがいる生活、子どもがいる人生なんてチラッとも考えたことがなかった。そんな私のところに赤ちゃんがやってきた。やってきちゃったなら、受け入れて楽しむしかない。
子どもがいたら一緒にやってみたいことってなんだろう?
自分が幼いころ大好きでいつもひとりで読んでいた絵本。
あのころ、ほんとはお母さんお父さんと一緒に絵本を読みたかった。
絵本を読んで欲しかった。
そうだ、私は絵本を我が子と一緒に楽しもう。膨らみつつある自分のお腹を見ながら考えた。
赤ちゃんはいつから絵本を楽しめるのかな?
生後半年。お!なんかちょっといけそう?あ、まだムリか。
7か月、8か月……1歳のお誕生日近くなったころには、夜の寝かしつけの時間が母子の幸せな絵本タイムに。
長男、長女、次男と、いく晩一緒に絵本を開いて楽しんだろう。
最初は私と長男の二人で。そのうち長女も混じり、パパも混じり、次男も入って。
「ママの読み方とパパの読み方違うから、面白い!」
私が選んで買った古典的な絵本、子どもたちが自由に図書館で選んで借りた絵本、パパが本屋さんで見つけた面白い絵本。
家族みんなが空で言えるようになるほど、何度も何度も読んで、毎回毎回同じシーンで盛り上がってゲラゲラ笑った絵本。ボロボロになったのは、幸せな時間がそこにあった証。
今は本棚の一番下に。
あのころの子どもたちの笑い声と一緒にしまわれている。
幸せを探したくなったら、時々そっと開く。
「ママ、もういっかい、さいしょからよんで!!」の声が聞こえてくる。
★エッセイの元になった課題本
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