エッセイ【一行のメモが、一生を変える】
部屋の片づけをしていると、引き出しの奥、本の間、手紙入れの中、ファイルボックス、あらゆるところから「メモ」が山ほど出てくる。ノートの切れ端、レポート用紙にコピー用紙、広告の裏、どうかすると箸袋、レシートの裏、時々ちゃんとしたメモ用紙……。その時その時に「あ!これ書いておかないと」と思った瞬間に、手近にあった紙に殴り書きしているからだ。
年に数回、家の中のあちこちから出てくるメモを一カ所にまとめる作業をしている。
そういえば、このそこいら中にメモるのはいつから始まったんだっけ?と、記憶を探りつつ手元にあるメモの束を見る。そうか!始まりは、子どもたちが小さい時だ。子どもが発する言葉や会話が可愛くて楽しくて、それを覚えておきたくて、子育てしながら(子どもおぶったり抱っこしたり、一緒に遊んだり、兄妹や友達と遊ぶ姿を見ながら)とりあえず「記録しなくちゃ」と書き留め始めたんだった。
娘が4歳の時のお友達との面白いやりとりを書いたメモ。そのメモをもとに作って毎日新聞に投稿した作品は選ばれ、毎日新聞社から出版された『ああ娘』という本に収録されている。160ページほどの本の中のたった2ページでも、自分の書いたものに自分の名前が添えられて本として出版された時の喜び。ただの1枚のメモから、宝がひとつ生まれた感じ。
「自分の書いたものが、丸々一冊本になったらどんなに幸せだろう」
そんなことを思い、出版への足掛かりにと10数年前スタートしたブログ。毎日書いても書いてもネタが尽きなかったのは、家中に散らばっていたメモたちのおかげ。そしてそのブログ記事が、『天使が我が家にいるらしい』というタイトルの本になって出版された。
〈一行のメモが、一生を変える〉
確かに、そうなのかもしれない。だから、子育てが終わった今でも、気づきと発見のメモを取ることはやめられない。これがまたきっと次の本を生むはずだから。
★エッセイの元になった課題本
★ブログから出版された本
めっちゃ売れた本ではないけれど、この本の感想は今でも届いてます。
読むとほんわか幸せな気持ちになれると沢山の方に言っていただく本です♪