パワフルにして、非常に涼やかな顔を持った石である。
たとえるならば、熟練の戦士とでも言おうか。
戦えば、誰にも負けぬ力と技を擁しながら、いたずらにその力をひけらかすことなく、ただ余裕の笑みを浮かべ、最後に残った敵を一太刀で討ち取り、
そしてまた、何事も無かったように、元の静かな顔に戻る。
真に強き者とは、そういったものである。
どのような局面であれ、その心、微動だにせず。
所作一つとっても一切の無駄がなく、敵の心臓を的確に射抜く。
それは百戦錬磨の強者にのみ、できうることであろう。
誰の近くにも、見えざる敵は存在する。
空気や水と同じように、悪しきものはそこここに蠢いているのだ。
人が自らの力で防御できる敵もいれば、どうにもならぬ敵もいる。
人は常に、自身を侵そうとする敵と戦い続けねばならないのである。
ただの護身ならば、他にも十分にその役割を果たすものがあるだろう。
しかしこの石は、あなたにとって真に断ち切るべき大きな敵のみを排除する。
その敵の存在には、あなた自身すらまだ気付いていないかもしれない。
だがその悪が、次第にあなたを苦しめる存在となる事は明白である。
優秀な戦士には、力だけでなく、聡明さが不可欠だ。
もしかすると、あなたが敵とみなしていないものの中に、真の敵が存在する可能性も否めない。
ゆえに、あなたを守る戦士には、それを見極める聡明さが不可欠であろう。
この石には、その資格が十二分にある。
だが決して闘争的ではない。
その真の力を発動するまでは、いたって涼やかな美しい石なのである。