『ブルーピリオド』に登場する夏休みの課題を実践してみた
皆々様、こんにちは。人間と申します。
僕の大好きな漫画『ブルーピリオド』の序盤において、八虎の入った美術部の「夏休みの課題」として出されるものがあります。以下です。
・デッサン7枚(1枚5時間以上、それぞれ異なる素材)
・水彩3枚(1枚5時間以上、それぞれ異なる素材)
・スクラップブック
・1日1枚写真
・作品一点
この課題に挑戦してみたという記事です。
高校生の夏休みを目安として期限は6/5〜7/15の40日間としました。
ちなみに僕の身分は絵がうまくなりたいフリーターです。高校生の夏休みよりは忙しいけど会社員よりは時間があるくらいです。
絵を描くのは好きではあったけど学生時代に専門的に学んだ事はありません。
1年ほど前から週1回絵の教室に通っています。
一応描いた絵はすべて先生に見せてアドバイスを貰いましたが、「途中では見せず、完成してから見せる」というルールを設けていました。
結果
この記事は取り組んでみての感想がメインなので、まずは結果を載せてしまいます。こちらです。
・デッサン→7枚 達成
・水彩→1枚 未達成
・スクラップブック 達成
・1日1枚写真→82枚 大幅に達成
・作品1点 達成
水彩以外は達成することができました!
作中では、去年は誰も達成できず森先輩が8割。今年は八虎、ユカちゃん、海野さんが達成してましたね。
さらに八虎はデッサンを30枚!バケモンだ。
スクラップブックと写真を除くと、7+3+1=11枚の絵を描くわけなので、だいたい3~4日に1枚のペースです。
継続的に取り組んでいれば時間は足りそうですが、他の事をしたい欲求を抑えて取り組むのが難しいですね。
今回僕は、初めに水彩1枚と作品1点を終わらせて安心していたらいつの間にか期限が迫ってきており、追われるようにデッサン7枚を完成させるのがやっとでした。
デッサン7枚
ここからはそれぞれの課題についての感想を書いていきます。
まずはデッサン7枚です。
上記のように水彩と作品は序盤に描いただけなので、今回の課題ではほぼデッサンがメインになりました。
1枚ずつ感想を書いていきます。
デッサン人形
初めに描いたのが木製のデッサン人形です。
この課題を始める少し前に東京都美術館で開催されていた『デ・キリコ展』を訪れており、そこで見たマヌカン(マネキン)の絵がかっこよかったのでそれに似たデッサン人形を描きました。
上から下に描いていくにつれてだんだんずれていったので、一度大きく描き直しました。
胸の面の向きや陰影はいい感じかなと思います。
絵の先生に言われて気づいたことですが、右側の腕は陰影が分かる一方、左側の腕は単に「端は黒く、中は薄く」とイメージだけで描いている印象です。
デ・キリコの絵のイメージがあったことでかっこよく描けたと思います。イメージを持つのは大事っぽいです。
靴
2年間くらい履いていたニューバランスの靴を処分する前のお別れも兼ねて描きました。
手前の靴は微妙な陰影も描けたかなと思いますが、奥のものは単調な印象です。
靴紐が難しいだろうと思っていた分、頑張って表現しようと試みています。その意識を全体に持てるとよさそうです。
カマイルカのぬいぐるみ
青森県の浅虫水族館で購入したカマイルカのぬいぐるみです。
靴を描いた時「暗い部分は黒く描くけど色の濃い部分も黒く描くから、色の違いか陰影かが分からない」という問題に気付いたので、それを理解しようと暗めの紺色のぬいぐるみを選びました。
紺色の中でも明るい部分と暗い部分を表現したかったですが、難しかったです。
背びれより後ろの部分はよく描けてる感じがしますが、他は平面的な印象です。
ディッシャー(アイスクリームすくうやつ)
金属を描きたいと思い、家の引き出しをあさっていたら発見しました。「ディッシャー」という名前なのを初めて知りました。
持ち手の部分の陰影はいい感じですが、それに対してカップの方は白と黒のコントラストが弱い印象です。
全体的にぼんやりしているので、鉛筆を寝かせて塗るのではなく、立てて細かく描いていけるとよさそうです。
描くにあたって観察してみて、金属は一見光が当たっている場所でも黒く見えると気づきました。
反射率が高く形が湾曲しているため、周りの影が映りこむらしいです(多分)。
普段見慣れているものでも、描こうと思って観察して初めて気づくことがあるなぁと感動しました。
ちなみにこの絵からスポットライトが導入されています。
バシャーモのモンコレ
なぜバシャーモなのか。好きなポケモンだからです。
Twitterのフォロワーさんにバシャーモのファンが多いのに影響されて僕も好きになりました。
メルカリでモンコレを購入したらイメージの数倍小さく、見て描く際に目が疲れました。
全体的に薄くなってしまいました。
構図はいい感じなので、もっと濃ければよりかっこよく描けたなぁと、バシャーモに申し訳ない気持ちです。カラーでリトライしたいです。
プロコン
ニンテンドースイッチのコントローラーです。
ボタン、スティック、持ち手の明るい部分と暗い部分の表現がいい感じに思えます。デッサンを重ねるうちに感覚がつかめてきた実感があります。
影の濃さの幅を広げられるとよさそうです。
また、左の持ち手の影が濃すぎて輪郭線っぽくなっています。
これやりがちなので要注意です。
絵の先生に見せたら「もっと濃い鉛筆をつかってもいい頃」との事でした。
現在は4H,2H,HB,2B,4Bを使っていますが、10Bに手を出すことにします。
どんなふうに描けるのか楽しみです。
このデッサンは一度大幅に修正しました。↓
持ち手の長さや十字ボタンの位置などに違和感があったからです(今見たらそこまで変わってない気もする)。
音楽流したり動画観ながら描いてたので、気づかぬうちにずれてしまったようです。集中力大事。
キャップ
ずっと真夜中でいいのに。のライブグッズのキャップです。
前面は布で、それ以外はメッシュ生地になっています。
メッシュをどう表現すればよいか分からなかったので、とりあえず「布は密に描いてメッシュは線の交差で描く」作戦を取りました。
ただ完成してみて、素材が違うのは伝わるけどメッシュとは分からないくらいになってしまいました。
書く前に難しさに気づいていればメッシュのキャップは選ばなかったんですが、全く気づかずでした。
文字がある布部分はいい感じですが、つばは先端が明るすぎるのと影が濃すぎる印象です。
手前が最も濃く、奥にいくにつれて薄く抜けていくのが良いそうなので、その辺意識したいです。
つばの先端が明るすぎるのは完成した直後に気づいたのですが、フィキサチーフ(鉛筆の粉の固定液)をかけてしまったので修正できずでした。
完成させると頭が切り替わって次々と修正点が見つかるのはあるあるです。
最終日に完成させたので、時間に追われて焦ったのも良くなかったですね。
デッサンまとめ
学んだ事を箇条書きすると以下です。
たくさん学びがありました。
・完成形のイメージを持つとよい
・「難しい部分だから頑張ろう」の意識を全体に
・鉛筆を立てて細かく描く
・コントラストをもたせる
・形をとるのはいいが、輪郭線っぽくならないように
・集中
・時間に余裕をもつ
・絵全体を見てバランスを考慮する
一応、木、布、金属、プラスチックと異なる素材を選ぶようにしていました。
デッサンのモチーフを探すために家じゅうを探すのは楽しかったです。
水彩3点
期限に間に合わず1つしか描けませんでした。
ネコ
祖母の家のネコの絵です。
アクリル絵の具を使い、4つ切り画用紙サイズです。
ネコご本人は可愛く描けました。
背景や床の影をどう描くかあまりプランを立てなかったので、微妙な印象です。
このネコちゃんは母の推しなので、ヒゲと背景を描き足したらこの絵をプレゼントしようと思ってます。
もっと描いていきたいです。
スクラップブック
全ページ載せると多くなってしまうので一部を載せます。
「記録のためのもの」って感じになりました。
作中で課題の解説をしている個所を読み返したら「絵 写真 文章 なんでもOK」とのことで、もっとのびのびやれたなぁと思いました。
「レスタミン」とは僕が服用しているかゆみ止めです。薬の説明書やパッケージはスタイリッシュに感じられて好きです。
写真1枚目右下のキャラクターは、バイト先の塾の生徒が描いてくれたものです。
捨てられない美術館のチケットなどを貼るのに良かったですし、これからも続けるつもりです。
作中ではスクラップブックが「自分の好き」を見つける事や「絵作り」に繋がってくるとありました。
デッサンは上手くなったけどそれをどう絵に生かすの?って時に役立ったらいいですね。
1日1枚写真
1日1枚なので40枚あればいいのですが、撮りたい時に撮ってたら82枚になってました。
これもすべて貼ると多いので写真が並んだもののスクショを載せておきます。
生活している場所の雰囲気が分かりますね。
1日1枚撮るためにクオリティのハードルは下げているのでブレてるものもあります。逆にそれが良い効果を生んでいる場合もありました。
風景を切り取ることで自分の好みが客観視できました。
絵に描きたい写真もちらほらありました。
同じ場所でも朝と夜や晴れと雨では雰囲気が変わる、みたいな事に魅力を感じました。
以前大阪の中之島美術館で開かれていた『モネ 連作の情景』展で知った手法「連作」が同じ場所やテーマを異なる状況で複数枚描くものでした。
そんな感じの事をやってみたいです。
こちらも楽しかったのでこれからも続けるつもりです。
作品1点
iPadのアプリProcreateで描きました。
Youtuberであり雀士でありデュエルマスターズマスターであるちゃんなべ氏の写真をキュビズム風に描いたものです。
色や形状を考えて作っていくのがシンプルに超楽しかったです。
後半に行くにつれて適当になったりせず、最後まで丁寧に塗れたのがよかったと思います。
僕の絵がうまくなりたい理由は、今のところ「こういう作品を作る際にクオリティが高い方が面白いから」です。
絵以外の感想
この課題に取り組んでみて、その他に感じた事を書きました。
計画性のなさ
結果として水彩2作品が足りていないのもそうですし、デッサン7枚も終わったのは最終日の早朝です。デッサンを進めるペースもかなり追い上げ。
記事の初めに「3~4日に1作品ペース」と書きましたが、課題開始時点ではペース配分も考えてませんでした。6月末になってようやく考える有様でした。
これから例えばコンペとか公募に出すとすれば〆切に間に合うように進めなければなので、計画性は身に着けたいですね。
とはいえ適当にでっちあげて課題提出してた大学生の頃に比べたら、デッサンが終わっただけでも成長を感じます。好きな事なので頑張れてます。
生活リズム
計画性のなさとも関連しますが、期限に間に合わせようと夜遅くまで描いて昼夜逆転気味になりました。
深夜にひとり集中して描くのも楽しいんですが、おそらく自分は朝型人間なのでやめた方がよさそうです。
体調を崩しがちになってしまいました。
起きる→少し運動する→絵を描く→バイト→寝る
これができていた時期は非常にコンディションがよかったのでこれを目指したいです。
ブルーピリオドについて
タイトルにも書かせていただいた作品なので、最後に課題を通じてこの物語について感じた事を書きます。
絵を描いて気付く事
ディッシャーのデッサンのところに書いたように、普段見慣れているものでも、絵に描こうと試みて観察してみて初めて分かる、という感覚を実感しました。
作中では、八虎が藝大を受ける事を認めてもらう際にお母さんの絵を見せるシーンや、早朝の渋谷の絵を褒められて「その時生まれて初めてちゃんと人と会話できた気がした」と感じるシーンなどで表現されていると感じます。
物語構成
作中で夏休みが終わった後、八虎は「デッサンは上手くなったけど『絵作り』ができない」と悩み、予備校での関わり、森先輩の絵、F100号の制作などを通じて立ち直っていきます。
比べるのはおこがましいですが、僕も「デッサン上手くなったけどこれからどうする?」と感じました。
漫画として面白いだけでなく絵の指南書にもなってるなんてよくできてるなぁと思いました。
作中で『冬休みの課題』も登場するので、冬になったら取り組んでみてもよさそうです。
めちゃめちゃ面白いので読んだことのない方是非読んでみてください。現在単行本15巻まで発売中です。
おわりに
この課題をする前と後で分かりやすく上達がみられたら「検証記事」として出来は良さそうですが、そうでもなかったので「感想」の形をとりました。
ただ確実に得るものはあったと思います。技術面でも、集中できる状況や体調といったコンディションの面でも。
今後の作品で上達を示せると一番いいですね。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
アドバイスや激励や質問など、なんでもコメントお待ちしております。
ではまた!