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湘南高校で目撃したリベラルアーツの深い学び
2022 年3 月、第6 波が収まりつつあった桜の季節、神奈川県立湘南高校で白熱イングリッシュキャンプを開催しました。きっかけはコロナ前まで3 年連続で開催していた立命館アジア太平洋大学(APU)の東京キャンパスでのイングリッシュキャンプ!その繋がりで湘南高校の先生と出会うことになりました。湘南高校はノーベル賞受賞者を含め、アカデミアの世界だけでなく美術・芸術の世界にも偉人を輩出している100 年以上の歴史を持つ伝統校です。元東京都知事の石原慎太郎、元プロテニス選手の杉山愛も湘南高校の卒業生です。今回のイングリッシュキャンプも卒業生の集いである湘友会による援助があり実現しました。学校には説明講演会のポスターをデカデカと掲載していただき、湘友会の方々にもご参加いただきました。
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今回は2015年に開発した「白熱イングリッシュキャンプ」の原点に立ち返り、大学生から学んだリベラルアーツをもとに白熱議論を通して、新しい白熱授業を共創するプロジェクト型のイングリッシュキャンプを設計しました。一方向的に教えを受ける授業とは異なり、生徒自身がテーマ・内容を考案して、”双方向の創造的議論を形成する空間”を作り上げます。また世界から見た日本の魅力に迫りながら、日本の若者が世界に挑戦することの意味と楽しさを見出し、世界に羽ばたくための”圧倒的な原体験”を提供します。白熱イングリッシュキャンプの流れは以下の通りです。
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今回は22名の生徒に対して7名のタクトピアスタッフを動員。学生・先生比率(Student Teacher Ratio)を約3:1で運営したため、密なコミュニケーションが実現しました。外国籍スタッフ(メンター)の顔ぶれは以下のとおりです。左からインド出身・東京大学院修士課程のAbhishek、マレーシア出身・京都大学院博士課程のSaliza、ミャンマー出身・長崎大学院のHsu、ブルガリア出身・筑波大学院生のKate、バングラデシュ出身・立命館アジア太平洋大学卒Taniaという、学術的にも優秀で専門性の高いメンターが日本全国から集まってくれました。
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オンラインとオフラインでの事前研修で足腰を鍛えた生徒たちは初日から目をキラキラ輝かせ積極的に参加してくれました。事前にメンターたちの出身国について調べ学習をしてきた生徒たちが海外大学生を囲い込み質問攻めしていきます。
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白熱セミナーにも必死に食らいつきます。5人のメンターの専門とする学問は「Marine Biology(海洋生物学)」「Language History(言語史)」「Heritage Studies(遺産研究)」「Environmental Science(環境科学)」そして「Global Health(グローバルヘルス)」。この写真で「Global Health(グローバルヘルス)」を教えているHsuはミャンマーでは医者として働き、現在は長崎大学院で研究しています。
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この白熱セミナーの映像ではSalizaがイルカの生態系に関する授業をしています。彼女は10歳の時にイルカに魅了され、オーストラリアの大学、スコットランドの大学院に進学し、現在は京都大学博士課程で海洋生物学を研究しています。先日はTEDxに登壇して人生ストーリーをシェアしてくれました。
専門分野の勉強を終えたら、「白熱授業をどう創り上げるか?」を考える段階に入ります。グループに分かれたら白熱ディスカッションで古代から現代の教育を振り返り、どのような学び方・教え方が理想であるのか、最終プレゼンテーションとなる10分間の授業の構成や内容について議論します。
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中間発表では、プリンストン大学とミネルバ大学の学生にオンラインで繋いでリベラルアーツの重要性を語っていただき、全チームのプレゼンテーションにフィードバックをもらいました。
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最終プレゼンテーションの前には慶應義塾大学准教授のSimon Chauに審査員をお願いしてリベラルアーツの重要性について語って頂きました。彼もまた医学博士でリベラルアーツに深い思い入れがあり、今回の白熱イングリッシュキャンプの審査員としてドンピシャでした!講演後にはご覧の通り長蛇の列が出来上がりました。
白熱イングリッシュキャンプin湘南高校の最終プレゼンテーションは慶應義塾大学准教授のSimon Chauに審査員をお願いしてリベラルアーツの重要性についても語って頂きました。 pic.twitter.com/NCuPvMb8bx
— 嶋津 幸樹/ Koki Shimazu (@Koki_Shimazu) March 31, 2022
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最初から最後まで真剣に真面目に取り組む湘南高校の生徒たちの姿勢には、感動や羨ましさを超えて尊敬の念を抱いてしまいました。最終プレゼンテーションの完成度も高く、英語力も文句なしです。最終日はプレゼン後に自己分析を行い、リベラルアーツを学ぶ前と後、世界の広がりを体感する前と後、そしてこれまでの人生をEmotion Wheelを用いて分析しライフチャートを完成させました。担当メンターから修了証をもらい白熱イングリッシュキャンプin湘南高校は幕を閉じました。最後の最後に先生から英語で愛情たっぷりのメッセージが送られたときには、お子さんをこの高校に送ったパパの気持ちになり泣きそうになりました。湘南高校、素晴らしい学校です…
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このような最高の学びを創り上げてくれた湘南高校の皆さん、湘友会の皆さん、ありがとうございました!6月の文化祭にお邪魔しますので宜しくお願いします!
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