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坪40万円で建つオフグリッドの注文住宅を開発しました

この度、デジタル家づくりプラットフォーム『NESTING(ネスティング)』は、24坪(約80平米)960万円(坪単価40万円)で建てられる、オフグリッドのセルフビルドキットを開発しました。

つきましては記念すべき1組目のお施主さんを募集したいと思います。下記に赤裸々に記した開発背景を読んで、もし「面白い!」とか「やってみたい!」と思われたら是非ともご応募ください。

ご自身でもいいですし、お友達にお知らせ頂いても構いません。歴史に名を刻むであろう伝説的な1組になると思うので、こちらも面白い方と一緒に建てたいと思っています。


ローコストモデルの開発に着手したわけ

昨年4月にローンチしたNESTINGの最大の武器は、アプリで施主自らが住宅を設計できることです。これにより専門家を挟むことなく、徹底的に理想の家を作りこめるようになりました。間取りや質感や見た目も、予算に応じて自分で決めることができるのです。

だから煩わしいコミュニケーションも、「そうじゃないんだよなぁ」というモヤっとした気持ちにもオサラバできます。それでいて見積もリアルタイムで算出されるので、色々案を考えたとしても都度金額を詳細に把握することができます。これにより、注文住宅という自分だけの家をつくる際の「時間もお金もかかって大変」という既成概念を打ち破る事に成功しました。

簡単に作り込める体験を全面に押し出すため、手始めに「拘りの強い顧客層」に向けてテンプレートをリリースすることにしました。調査の結果、30坪の家に4500万を払ってでも理想の家に住みたい層が相応しいと判明しました。そのため昨年4月に出した「S/M/Lの大空間モデル」は坪単価150万のテンプレートとしてリリースすることにしたのですが、狙い通りの顧客層に響き、現在数棟の建築に着手しています。

NESTING Lモデル
Lモデルの工事中の写真

このように「設計の民主化」という道筋を示すことができたため、次は「施工の民主化」を実現する番です。

リリース直後、「アプリで設計の民主化」というビジョンに共感してくださった方が多かったものの、金額を伝えると「なんだ安くないのかよ」と言って去っていく方が殆どで、なんだか申し訳なさでいっぱいでした。ですが住宅の開発にはお金がかかるため、我々のような弱小企業は高価格帯をリリースして収益化しつつ、段階的に廉価版を開発していくしか方法がありませんでした。だから期待に応えたい一心で、いつか低価格帯モデルに着手すると決めていたのでした。

住宅価格を崩壊させるにはどうすればいいか

ではどうやったら工事費を安くできるのでしょうか。結論から言ってしまうと、自分で建てればいいのです。誰かに頼むから高いのです。誰かに頼んでつくってもらうから、仕組みが解らないので維持費もかかるのです。とはいえ自分で建てるのはハードルが高い。でもそれがキットとして届いて、プロのサポートが得られたらどうでしょうか。

例として僕たちが販売しているShopbotという3次元の木材加工機の話をしましょう。木工用3Dプリンタとして、これまで全国に160台以上を販売してきましたが、その人気の秘訣はなんと言っても安いことです。他のメーカーが販売する同等品よりも、半額程度の金額で購入できます。安さの理由はキットで届くことで、僕たちと一緒に組立と配線を行います。自分で機械の仕組みを理解しながら組み立てるので、何か不具合があっても自分で直すことができます。他のメーカーの商品は、いちいちお金払って業者に来てもらう必要があり、初期費用も維持費用もかかります。

木工用3軸CNCミリングマシン「ShopBot」

この話を住宅に置き換えてみると、素人でも簡単に精度良く組めるキットを買って、僕たちのサポートを受けながら工事を行うことができれば、工事費を通常の半分以下で済ますことができ、お金をかけずに自分で家を長持ちさせることができるのではないでしょうか。

誰がどうかんがえても選ぶ家とは

いま家を建てたい人の3大ニーズを僕なりに言語化すると「①安い②長持ち③快適」になるのではないかと思っています。自分で建てることは、確かに大変ではあるものの、「①安くて②長持ち」な家は上記に述べた通り達成できると信じています。では「③快適性」はどうでしょうか。現在、注文住宅で受注数業界No.1と言われている企業は「家は性能」というくらい性能にこだわり人気を博しています。では、業界最高水準の住宅性能と同等で、コストが半分になるとしたらどうでしょう。

具体的には大手ハウスメーカーの坪単価は約80万と言われていますが、その半分の坪40万だったらどうでしょう。仮に大変だったとしても、やりたいと思いませんか。その上でさらに4つめとして、「④デザイン性とカスタマイズ性」が加わったらどうでしょう。改めてNESTINGの強みはデザイン性とカスタマイズ性です。数々の受賞歴のある建築家集団が作った「かっこいい」テンプレートを(自分で言うなという感じではあるが)、アプリで好きに編集してカスタマイズできるのです。企業に用意された融通の効かない間取りに縛られる必要はありません。

先日僕たちがリリースした「EMARF AI」のように、AIによるアシスト機能がつけば、「設計の民主化」もより加速するでしょう。

もし業界NO.1の住宅商品の半額以下のコストで圧倒的に作り込めるとしたら、誰もがこちらを選ぶのではないでしょうか。とすると課題は、自分で建てることの大変さでしょう。ここに僕らの設計の腕がかかっていますが、ここからは実際の住宅の説明に入っていきたいと思います。

もし家族4人が住む24坪の家を作った場合

今回のテンプレートでは「夫婦2人1組で建てられる家」という理想を求めて開発に着手しました。具体的なターゲットとして、都心部から地方移住した夫婦ないしはファミリーで、安い土地を仕入れ、時間をかけて居住環境や周辺環境を整備していこうという、開拓者精神を持った人を想定しています。

24坪に家族4人で暮らした場合のサンプル図面

NESTINGではアプリを用いて自由に設計することで、6坪240万の小さな小屋をつくったりと、大きさを自由に変えることができます。ここでは上記の図面のように、例として家族4人が住む24坪の家を作った場合の、イメージを共有していきます。

NESTINGセルフビルドモデルの外観

重機を使わずに建てられるよう低層の平屋になっており、南面に大きな庇と大きな窓を設けることで、夏は日差しを遮り冬は暖かい熱を室内に取り入れます。

NESTINGセルフビルドモデルのない内観

外部も内部も地域の製材所で採れる木材をふんだんに使っており、自然素材の魅力を存分に味わうことができます。


NESTINGセルフビルドモデルの断面図

気になる住宅性能については、断熱性能を示す値であるUA値(外皮平均熱貫流率)が0.25と、業界最高水準で計画されており、エネルギーの使用量を最小限にしながら、快適かつエコに暮らすことができます。蓄電池とソーラーパネルを積むことでオフグリッド(電気的に自立した状態)を実現することができ、トイレや水回りユニットについても、循環型の先端設備を搭載することでインフラから自立させることができます。

960万の家づくりキットの内訳について

さて気になる価格ですが、冒頭に坪40万960万の家と書きました。ここで注意して頂きたいのが、これは工事費ではなく「キット価格」であることです。下記に内訳を記しますが、キットの中には住宅を構成する部品が概ね含まれており、この部品を無事に組み立てられれば、実際に住み始めることができます。

24坪960万円のキットの内訳
・家づくりに必要な木材
・断熱材や気密シートなど
・玄関や窓周りの建具
・基礎をつくるための材料
・屋根をつくるための材料
・仕上に関する材料

備考】
※1:家具・家電・照明費用や、付帯工事(浄化槽設置費用、地盤改良費用、外構費用など)は含んでいません。
※2:別途サービス費用(各種サポート業務や、各種申請費用)として15%−20%程度がかかりますが、今回の1組目は無料とさせていただきます。
※3:上記キット価格は初回1組の限定価格とさせて頂きます。

24坪960万円のキットの内訳

本当に誰でもやれるのか

先ほど述べた通り、今回の新しいテンプレートは「夫婦2人1組で建てられる家」として開発に着手しました。そのため構造部材は女性や子供で持てるように、どれだけ重いパーツでも10キロ以下に設定しました。また、デジタル加工機ShopBotで部品を製作することで、手先が不器用な方でも精度良く組み立てることができます。実際、私たちの提供するEMARFでは、素人が自分で考えた家具を自分で制作し、精度良く組み立てることに成功しています。

おそらく皆さんが気になっているのは、どこまで自分たちでできて、どこまで僕たちがサポートしてくれるのかという事でしょう。答えは、やれる限り全部やりましょうということです。今回の1棟目に関しては、僕らは徹底的に並走して、全工程精一杯サポートします。だから、やる気さえあれば誰でもできます。そして今回は、3ヶ月以下の期間で完成させられたらと思っています。

実際のプロセスについて

  1. 設計について

    • アプリを用いながら、理想の住環境を作り込んでいきます。最初はイメージ図のような手書きのプランでも構いません。僕たち建築家と話しながら形にしていきます。

  2. 部品加工について

    • 形が決まったら、近くの製材所に材料の製材を調達し、近隣のShopBotのある工房に持ち込みます。約2週間かけて全ての構造部品を自分たちで削っていきます。機械の操作方法なども全て教えます。これで下拵えは完了です。ここから工事に入っていきます。

  3. 基礎工事について

    • 今回のキットでは、一般的な住宅の基礎のようにコンクリートの打設を行いません。代わりに、DIY可能な杭工法を用いて、電動工具を用いて自分たちで杭を打ち込んでいきます。注)健全な平地の地盤に限る

  4. 躯体工事について

    • 打ち込んだ杭の上に、自分たちで加工した材を組んでいきます。30㎜厚の薄い板でできた構造なので、軽々持ち運ぶことができます。初めは床から、そしてその上に柱を立て、屋根を組んでいきます。

  5. 仕上げ工事について

    • 木の構造体が出来あがったら、間に断熱材を挟んでいったり、壁や建具を取り付けたり、塗装を行ったりします。

  6. 屋根工事について

    • 最後に屋根ですが、素人でも屋根工事がしやすいように屋根を低く・勾配も緩くしています。防水シートを貼った上に、木材を敷き詰め、その上にポリカーボネートというホームセンターでも買える透明な材料を留めていきます。

  7. 電気設備工事について

    • このようにして建築工事が完了した後に、蓄電池や薪ストーブやエアコンを入れていきます。蓄電池に全ての電気配線を行うことで、家電を置く感覚で電気設備工事が完了します。ただし、資格が必要な接続作業などは僕たちの方でやります。

  8. 給排水工事について

    • 最後に風呂トイレキッチンなどの水回りですが、循環型の水回りユニットを設置すれば完了です。上下水のインフラに接続することなく、設置するだけで水が出てきます。雨水も再利用すると良いでしょう。

セルフビルドモデルの構造体

このような形で全ての工程を自分たちで行うというイノベーションを起こせたらと思っていますが、本当に想定通りにいくかどうかを、まずこの1棟目で検証したいと思っています。

遊びの延長としての家づくり

今後、建設業界全体的に人員不足や大工減少に悩まされ、資材も高騰し続け、どんどん住宅コストは高くなっていくことでしょう。そんな世界をわき目に、自分のペースで・肩肘張らず・無理しない家づくりを、NESTINGは目指したいと思っています。重要なのは仕事っぽくやらないこと、ガチガチに計画しないこと、緩やかに愉しくやることだと思います。要は遊びの感覚で、植栽をいじったり土をいじったりしている感覚で、家をつくったらいい。そんな真に自由な家づくりが導く、豊かな暮らし。そんなビジョンに共感した人はぜひ問い合わせください。

応募に際して

こちらの応募フォームから是非エントリーしてみてください。僕たちとしては、1棟目は最速で建てたいと考えているため、既に土地を持たれており(都市計画区域外の土地なら尚良し)・費用を現金で払うことができ・実際に建設に時間を割くことができ・仲間をたくさん集めることができる人を優遇したいと思っています。とはいえ、そんな条件が揃う人は稀だと思いますので、興味がある人はどなたでも是非ご応募ください。後日、こちらからご連絡させて頂きます。

クリエイティブクレジット
ディレクター:秋吉浩気(VUILD)
開発メンバー:浦上卓司、野田慎治、西村俊貴(VUILD)
構造設計:金田泰裕(yasuhirokaneda STRUCTURE)
環境設計:高瀬幸造(東京理科大学)
パース製作:スタジオ・アネッタイ

クリエイティブクレジット

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