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2024/11/20 ハンブレッダーズvsUNISON SQUARE GARDEN@Zepp Sapporo(②ライブ感想)

19時、世界一背筋が伸びる音がする。UNISON SQUARE GARDENのSE『絵の具』だ。これを聞くと、一瞬で世界が変わる、幸せな世界。でもこの日ばかりは、緊張を高まらせる方向に作用した。

いつも通りの順番にメンバーが入ってきて、こわばる手で拍手をする。歓声もあげておく。もやがかかったようだけど、斎藤さんはいつものように、自分の立ち位置に行く前に両手を広げたのかもしれない。

三人が立ち位置について、どんな音が、例えば尖った音がするのかと覚悟をすると、とても優しい音が上の方から遠くの方から降ってきて、悟った皆の嬉しい悲鳴が聞こえる。もちろん私もその一人だ。そして泣きそうになる、というか泣く。こんなの、どう考えても最大限の愛情と優しさだ。この曲はずっとそういう気持ちをみんなに分け与えてきた。それを1曲目に置かれたらもう、今日が絶対にいい日になるという確信を持ててしまう。

『to the CIDER ROAD』涼しい顔で歌うボーカル、全身でバンドをやるベース、そして何よりも分かりやすいのが笑顔のドラム。ああ~、この顔を見て私たちと同じ気持ちでここに立っているんだ、と胸がいっぱいになる。ただの対バンではなかった。

続く曲は『傍若のカリスマ』。私もまだ聞くのは二回目。かっこいいけれど、まだちょっと知らない人のような気持ちになる。でも、1曲目のおかげで心がほぐれているので、純粋に曲を楽しむ。

そして3曲目は代表曲『シュガーソングとビターステップ』。ほとんどハンブレファンに囲まれたこの場所ではようやく歓声に包まれる。私は、逆に(?)こんなに序盤に絶対にやるであろう2曲をやったことで、「あ、これは後半めちゃくちゃ遊んでくるな…!!」という期待をしてしまい、ニヤニヤする。そして、フロアが温まってきたことでようやく対バンが始まったんだ、という気持ちになる。

(※MCはレポや他の方のツイートなど参考にしています。結構ニュアンスで補完している部分もあります。)いよいよ最初の挨拶。私が世界で一番尊敬して信頼するギターボーカル、斎藤宏介。どんな言葉で彼らとの関係性を語るのだろう。

「ハンブレッダーズとは四者四様の付き合いがあって…」とまだ対バンは少なくてこれからな関係性ですよという温度感と思いきや、ちゃんともうしっかりとこれまでがあることを語ってくれることに驚き…(そのあたりあんまり語り尽くすタイプではないので。)「4人とも音楽にまっすぐでめちゃくちゃ可愛い後輩」と紹介。ここでちゃんとバンド一塊じゃなくて、4人と見てくれることにジーンとくる。でも「先輩後輩関係なくボコボコにしてやろうと思います!」と大好きなあの涼しいトーンからの…

ってえげつねぇ~~~、チョイスの『カラクリカルカレ』。当然オタクからは歓声。ボコボコにする、が最近のシングルのマイナーキーとかであれば、正直ちょっと「ああ・・・」となってしまうのだけど、こんな曲を持ってくるのが本気の証拠である。しかも、ハンブレッダーズには二人本気のファンがいるわけで、このいやらしさがちゃんと伝わるのだ。笑

そして、その次に来るのが『アンチ・トレンディ・クラブ』。最近の曲ではあるものの、ガチガチのアルバム曲でいやらしい!!(褒めている。)

翻弄させるようなこんなチョイスが来た後に、さあいつまで私たちをからかい続けるのだ(嬉)という気持ちでいたら…

嘘でしょう!!!!!!!号泣

これも『to the CIDER ROAD』に似た香りのする、優しさとか、愛情のあるずるくて心が震える選曲。「何かが変わりそうな夜だ」って今日のこの瞬間のことだなと思いながら、この瞬間を一瞬も逃しちゃいけないとステージに目が釘付けになる。でも、それと同時に目をつぶって耳だけでこの曲に包まれたい、この曲の世界に落ちてしまいたいそんな気持ちにもさせられる。

(個人的には、あんまりポジティブじゃない思い出の日の夜のカーステレオでこれを流してしまったことで、この曲にずっと引っ掛かりみたいなのがあって、いい曲なのがわかっているだけにもどかしい気持ちも持ち合わせていたのだけど。時間をかけてそのしこりが溶けて、この日の幸福感に包まれた曲にようやく上書きが出来た気がしている。)

曲が終わる頃、ステージでは貴雄にヘッドホンがつけられたので、あ、同期のある曲が来るぞと候補が自動的に絞られながら、でもなんとなくこの日にふさわしいのはきっとこれだという勘が働いてイントロを待つと…

弾けるようなドラムから『君の瞳に恋してない』、ビンゴ!!!両手を広げたくなるような心がめちゃくちゃ開いたあたたかくて飛び跳ねたい気持ちにぴったりで、潤んだ目から涙が引っ込んで大きな口を開けて笑って見ていた。「人生ってなんて素晴らしい!」こういう時だけ、ひねくれ者の看板を下ろして叫びたくなってしまう!

(そして今書いていて気付いたのだけど、「虹色に光る幸せ そんなものがなくても 小さじ一杯のカラクリが生み出せるもの」セットリストに繋がっている…)

そうして、2度目のMC。意外と1回目のMCで関係性を語ってくれたのでここはさらっと行くのかなと思いきや。

「ハンブレッダーズとは実は付き合いが長くて」と語ったのは多分2回目の方だっただろうか。(6,7年と具体的な期間を言っていたような気もするけど、ライブの前に聞いた過去のラジオからの捏造記憶だったらごめんなさい…。)ファンでいてくれたことや武道館のことを語るのだろうかと思ったら。「あまり話したことないんですけど、ハンブレッダーズは同じレコード会社、トイズファクトリーに所属していて。しかもその同じレーベルの中でも、完全に同じチーム、スタッフが一緒で。完全に同じチームにいるのは4組ぐらいしかいないんだけど。」と想像よりも近い関係にいることを教えてくれる斎藤さん。

「そして、照明さんも同じ人で、実は今日は照明さんのワンマンライブ(笑)」とさらに共通点を教えてくれる。それはさすがに知らなかった…。「そんな風に同じチームで動いているから、ハンブレッダーズはほとんど…家族みたいなもので(笑)」

!!!!?!?!!!!!?!?!

家族みたいなもの???兄弟じゃなくて????えぇ…っ?さすがに大サービスすぎるワードでは…??こんなことを言われたメンバーの気持ちになって、心が大騒ぎしてしまう。

「この間は武道館も成功させて、彼らの活躍がすごく嬉しくて誇らしい、けど関係なくブォッコボコにします!」と念押しの斎藤宏介。またもや涼しい笑顔。そういうところが好きなんです。。。

そして続く曲は、『Invisible Sensation』。

これがまた憎らしい…喜びに諸手を上げて、大きく息を吸い込んで「やったーーーー!」と叫びたくなるような、今の気持ちにドンピシャな曲!拳を何度も突き上げつつ豪快さが増していく貴雄のドラムを見ながら、対照的なサイドのふたりを見てもっと嬉しさのゲージが限界突破していく。この夢の時間はもう残り少ないことはわかるけど、それでもどこまで行けるのか、人間の感情はどこまで昂れるのか、後悔がないように楽しみ尽くしたい、と思えてくる。

『カオスが極まる』で、自分よりも周りのボルテージが一段と上がったのを背中でも感じて、ユニゾンはこういうイメージでも世間に認められているのかと改めて驚く。

あと1曲?2曲?と一部冷静な頭がカウントをする中で、聞こえたドラムの音に「ああ、もうこれで満足だ、何も思い残すことはない」と終わりを悟りながらでもこれ以上の喜びはない、という気持ちになる。

だって、これは最上級の、どんな代わりも存在しない、愛の選曲だ。私たちと同じようにユニゾンをリスナーとして長く聞いてきた2人への、明らかな手紙。恋人同士だったら、プロポーズの瞬間と言える。

(確かこの曲だった…はず?違ったらごめんなさい><)大汗をかいて立ち上がりながら「ギター斎藤宏介!」と叫んでギターソロを煽る鈴木貴雄。このバンドに限って、そういうアクションがあるのが珍しくて、そういう珍しい光景もきっと愛のギミックの一つだ、と受け取ってしまう。

そして、コートを投げ捨てて前方に投げるのも、斎藤さんのエフェクターボードにかかりそうで、いつもより気持ちが前に出すぎていて豪快過ぎて笑ってしまった。

綺麗な虹色の照明と混じる汗と涙と、視界がぐちゃぐちゃになっていても絶対に見逃したくないのが「そうだ~」からの歌が全てを支配する瞬間。「涙キラキラ西の空に光る モノクロでは説明できない完全無欠のロックンロールを」この歌詞がいつも素晴らしい瞬間のピークにあったな、とこの瞬間だけはユニゾンの20年間(私にとっては13年間)に思いを馳せる。

そこからはもう、駆け抜けるような、なだれ込むような音に感情ごと流されて、ステージの3人がただ自分たちの喜びの為だけに向き合って演奏している光景に、握る拳が痛くなる。

いつもより気持ち長いようなアウトロが、名残惜しさの証明みたいだ。本当に、もうクライマックス。貴雄が、二人に向けて(来て来て!もっと来て来て!)と肩が外れそうなぐらいに大きく手招きするのが愛おしくて仕方なかった。

誰よりもステージではしゃぎまわっていたのに、最後はフラフラと立ち去っていく田淵。そして、前に出てきて「次はハンブレッダーズです!」と華麗にバトンを渡していく斎藤宏介。(ここだけ”着ボイス”にして販売していただきたい。。。)

そして、立ち上がって敬意の証にグーパンをかましていく鈴木貴雄。どちらかというと、正拳突きだ。

こうしてライブは終わって、その時点でもう身体の力が抜けて、立っていられなくなるほどの脱力だった。

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▼ここからは五月雨な総評

ユニゾンが終わって泣いて放心しながら浸ろうと思っていると…あまりにぎゅうぎゅうのセンターブロックから離脱していく人が数名。ぐちゃぐちゃの顔で「人通りまーす、通してあげてください…!」と声をあげられたのは、我ながらすごく偉かったなと思った。だってこんなに良いライブを見て、それに恥じないファンでいたいと思ったから。

私のいた場所は本当にドセンターで、ちょうど私の前の縦ラインに誰もいない状況で、ドラムがよーく見えた。思いっきり笑顔が浮かんでしまって堪えきれないくしゃくしゃの顔を上げたら、鈴木貴雄さんのおなじくくしゃくしゃの笑顔と目が合って、あ、この喜びはちゃんとステージにも伝わっているんだな、と通じ合ったような気持になった。そした、貴雄が首を傾けてシンバルに頭を当てるようにしながら叩く、そんなむちゃくちゃな動作さえも、この状況においては喜びや楽しさを表現しているんだと素直に理解できた。

ぼこぼこにすると笑った斎藤宏介、ふと3年前のMCを検索すると「コロナがあけたら東京の美味しいレストランに連れて行って、きっちり割り勘して社会の厳しさを教えてあげます(笑)」とさわやかな笑顔で言っていて、相変わらず容赦のなさを芸風にしていて、好きだなあと思ったりした。というか、関係性をこんなに長く語ってくれて、たくさん喋ってくれて、それがもう完全に愛というか贔屓なんですよ。。。

今回の選曲の多くが、ユニゾンファンにも刺さる選曲で何度も「ギャー」「ひゃー」という感嘆の声が上がっていて、ユニゾン側のファンの気持ちが一つになっていたのもなんだか良かった。

『絵の具』で始まって『フルカラープログラム』で終わる。絵の具で会場をフルカラーにして帰った、そう思えて本当に嬉しかった。あのバックドロップが虹色に染まるのが本当にきれいだった。そして、もっと上を見上げると真っ白で太い『ハンブレッダーズ』の文字、こんなに最高な光景はない。。。どんな絶景にも越えられない、感情がコーティングされた景色だなあと思う。

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そんなこんなで、ポロポロとこぼれる感情だけ一人でツイートして、しっかりしたMCなんてこの昂りきった脳では何にも書けなくて、でもその追いつかない気持ちすらも、この日の楽しさの証明で。

そして、20時過ぎ。照明が落ちて聞きなれたギターフレーズが聞こえてきて、また戦いに向けて覚悟を決める。ただ見ているだけだけど、一世一代のバトルを見届けに来た、そんな気持ちになったのは、先行の容赦ないユニゾンのせいだ。だって、去年の念願のベボベとの対バンでは、こんな種類の気持ちにはならなかった。

1曲目は何だろう、そんなことを考えていたような、考えていないような。でも前回の3年前の対バンでの1曲目が『銀河高速』だったことを掘り返すようなツイートをしていたので、まさかのイントロで両手で頬を押さえ込んで悲鳴を上げてしまった。きっと、たぶん、そこに合わせたわけではないだろうけど、でもやっぱり続けたからこの日があった、必然のような1曲目。

『銀河高速』…吉野さんがいなくなってそれでもバンドを続けていくのか、本気でやっていく覚悟を決めるのか。そういう時期の歌で、それをリアルタイムで見ていたから特別なこの曲。でもあの瞬間の私たちを救うだけでなくて、続けていけば続けていくだけ、あの時の決断や聞き続けようと思った気持ちが何にも間違っていなかったと肯定してくれる年輪のような曲なのかもしれない。ちょっと涙は出るけどあの日々を笑い飛ばして、今このライブが実現した、この世界線に入れて良かったな…と思う。何度も聞いた曲だけど、メンバーの顔つきも心なしか、ずっと逞しい。握った拳により一層力が入った。

そしてちょっとしんみりさせた直後にやってくる突風。

『ヤバすぎるスピード』のイントロで「ワン、ツー!」と唱えればあっという間にここはハンブレッダーズのホームになる。「昔に戻りたいだなんて一度も思ったことない 初めてギターをかき鳴らした あの瞬間よりも今が最高」こんな歌詞はきっと今、うきくんのためにあるとドキドキしながら見上げる左上の表情は、いつもよりも噛み締めたような、でもワクワクを止められない、そういう顔に見えた。多分この曲のBメロで、コーラスのラインを無視して限界を超えるようにがなり立てるでらしも、嬉しくてしょうがない、の爆発のようだった!レッドブルのようなこの曲で、ハンブレッダーズが完全起動!

そしてここで確か最初のMC。どんなに気合満点の入りを見せてくれるのかと思いきや、なんだかふにゃふにゃしたムツムロさんの「ハンブレッダーズで~す」といったトーンに、逆に安心感を覚えた。楽器を下ろしたら普通の人、そんなハンブレッダーズが私たちは好きなのだ。(いつもだと3曲区切りで曲に入るので、2曲でMCに入るのは珍しいなと思った。)

「ユニゾン先輩…マジサイコーでした!」と、純粋なファン二人、ではないバンドマンとしてユニゾンを見るムツムロさんの感想にニヤニヤしつつ、でも負けていられないと「かわいいだけの先輩は叩き潰し甲斐がないので…」(ここのMCちょっと言葉が謎いな?と思いつつ)「今日はバラードなし!!」と言い切って、また急に駆け出してやるのがこの曲。

『はじめから自由だった』。前の曲と同じように印象的なアルバム名と一致するポップチューン!どっちも3分程度のショート尺の潔さが、逆にめちゃくちゃ心を奪い去ってくれる曲で立て続けに皆の心をハンブレにスイッチさせる感じがした。早めに勝負を仕掛けてきてるなと、こちらの心も昂る。対バンはたまに「お目当てのバンドは?」と聞かれることもあるけれど、今日に関しては間違いなくどっちも自分のホームなのだ。どっちのターンも全力で応援して、勝ち負けのついて欲しくない試合みたいだ。

多分序盤だったことは覚えているのでこのあたりの曲で、ギター二人が前目に出ているのがかっこよくて、でもでらしがドラム台フロントの下手寄りに座って二人の背中を見ながら楽しそうに弾いていて、でも途中で首を反らしてドラムの木島さんを見ようとしていて、なんて楽しそうなんだと嬉しくなった。今思うとこういう自由なステージ遊びの面でも、きっとどこかのベーシストの影響を受けているに違いない。

(他公演の記憶と混同しているかもしれないけど)「一緒に帰る友達がいなくてよかった!」と『DAY DREAM BEAT』。

これが出た2018年はひたすらこの曲を聴きまくって「全ロックバンド好きのアンセムになれるはず!」と太鼓判を押し続け、ライブに通う回数が増えるたびに「この曲がライブでやられなくなる日のこと」を先走って考えて泣きそうになったりした。でもそこから何曲も新しい私たちのアンセムを作り上げて、それでもインディーズのこの曲が全ての原点的なあの瞬間を閉じ込めているからまだライブでキラーチューンでい続けてくれている。この曲があらわしている「曲と自分の一対一の関係性」、それをステージでもハンブレッダーズは体現しているし(たとえ皆でのシンガロングがあってもそれは揺るがない)、それを考えるとそういうバンドとファンの関係性をずっと守り続けていた見本がUNISON SQUARE GARDENとも言える。ギタリストであるからバンドに入るときにはピースのハマり方が重要だと思うけれど、うきくんがハンブレッダーズに引き寄せられたのは、なんとなくそういうところも理由の一つなのかもしれない。

大サビ前のシンガロング、ぼんやりした記憶なので間違っているかもしれないけど、このタイミングでもうムツムロさんが「愛してます!」といったような記憶があり、胸に刺さるような気持になった。

とにかく、頭の4曲で全く出し惜しみをしない、それでも全然まだ手数があるハンブレッダーズ。本当に3年間の間に骨太になったんだなと感じる序盤。

MCを待ちながら会場から(主に「木島ー!!!」といった)メンバー呼びが飛び交っていて、ムツムロさんがいつもの皮肉めいた口調で「ユニゾンのお客さんはもっと気品があった気がする」と笑いを誘う。「あの、UNISON SQUARE GARDENとツーマンですよ!しかも、札幌。皆さん素晴らしい日を選んだんじゃないですか」と寒い札幌が本当に激熱だということを念押しする。ここで木島さんに語りかけるが「平日ですよ!」「うんうん、それで?」「いや、平日なのにこんなに、ありがたいなあと言いたくて」「それだけかよ!」とフワッとしてしまうのも、逆にマインドの安定した木島さんの現れ。

「ユニゾンは最高の先輩です!実は何回か声をかけていて今日やっと実現しました。」と教えてくれるけれど、私個人としてはどう考えてもまだ前のタイミングでは残念ながら偉大な先輩だと二、三段下から見上げるようになってしまったと思う。どう考えても城ホをやって、武道館をやって、名実ともにハンブレッダーズだからこその強みに誇りを持てるようになっている、バンドもチームも怖いものなし!のこの状態で戦えてよかった、その状態で見れてよかった、と思っている。

「リスペクトしているバンドを呼んで同じ土俵に上がって、これからやっていくっていう決意を示していく場なので、今日は先輩をボコボコにします!」と絶対に殴り合いの喧嘩をしたことがない彼らが示す闘志。「皆さんも楽しんでください、常識の範疇で!」と言われてフロアは明らかに嬉しい叫び。私も大好きなミドルナンバー『常識の範疇』。

この曲が始まった瞬間、来れなくなった友人といつも「この曲今日やって欲しい!」と騒いでいたことを思い出して、ちょっと悲しくなる。一緒に二人が大好きなバンドを見ながら揺れたかったなあ。

 それにしても、やっぱり私はミドルテンポの曲のでらしのベースと、全身を使って曲に乗る様がまるごと大好きだなあ、自分が揺れまくるタイプだから、そこが合ってくる人のベースが一番心地いいんだよなあ、なんて思っていたら…大好きなセッションが。「この曲が出来たから常識の範疇がなかなか近いポジションでセトリにインしづらくなった感じがするなあ、でもいつか連続で見たいんだよなな」なんて思っていた曲にシームレスになだれ込む。

やったーーーーーーー!!2024年、一番愛した曲『DANCING IN THE ROOM』!!!嬉しすぎてぎちぎちの柵前でもはや踊ることなんて無謀なのに、肩でなるべく曲に乗ろうとしてしまう。速い曲が好き、とムツムロさんは言うけれど、こういうダンスナンバーでセンスが光っていること、気付いてほしい。こういうタイプの曲いくらでもあって欲しい。念願の対バンだったことなんて、この頃にはすっかり忘れた純粋にハンブレのライブの楽しさに溶け込んでいた。

ここでふと心配(?)になるのが、最近気づいたでらしの癖。演奏で気持ちよくヒートアップしてしまうと、ステージの外、上手袖の方を向いてしまうことが結構あると気付いた。『DANCING~』のキメの部分でのベースがどうしても見たい私はソワソワとステージを見るが、この日は見事みんなで中央部を向いてダーン!とエネルギーをぶつけ合っていた。よっしゃこれだー!て拳を握って笑顔になる。

そして、印象的だったMCがこの時。「今はSNSでいろんな人が何かをやってるのが見えてしまうから、自分より絵を描くのがうまい人、楽器を弾くのがうまい人が、が見えると、しり込みしてやめてしまったりすると思う。でも自分でやるからこその楽しさがある、まずはアクションしてみよう」と今の時代だからの悩みに切り込んで新曲へつなげていく。「まずは僕も普段やらないことをやってみようと思って…田淵さんみたいに楽器を弾きながらキックをしてみようと思います!」と宣言しつつ、「これ、全部の会場でやるのかな~(笑)」と恥ずかし気な苦笑いが混じる。

初めてライブで聞く『アクション!』に集中しようと思うけれど、運動神経のない同族にはその辛さが伝わってくるようなちょっとあどけないジャンプでの左足キックが笑えて来るようで、彼らがやっぱり普通の人だけど楽器だけが、バンドだけが彼らをかっこよく見せるのだということに、ある種曲のメッセージに沿った勇気を貰う。

曲のサビのユニゾンの気持ちよさに浸っていると、間奏で珍しいことに中央にでらしが出てきてブリブリのベースを見せつける。キタキタキターとボルテージが上がっていると、両サイドのお立ち台にツインギター!初めて見た編成での竿3本のショータイムに、戦隊ヒーローの見せ場見たいな気持ちになる。またこのバンドは新しい武器を見つけているなあ!

そしてこの夏から秋にかけてのキラーチューン『⚡』。違う曲だけど『アクション!』に繋がるようなメッセージ性だ。結局私たちはワクワクするのを辞められなくて、そんな人種だからこういうライブに来てしまうんだろうな。ここでもやっぱり大サビ前にかけて四人のエネルギーが集中するシーンがあって、それこそこっちがビリビリする瞬間だった。

そしてこの秋のリリース『フィードバックを鳴らして』は、珍しくダークなトーンの曲で、キャリアが長くなるにつれてポップさだけでなくテクニカルでダウナーな雰囲気の曲がシングルに上がってくるのは、ユニゾンにもちょっと重なる部分がある。とはいえ、彼らのルーツを考えると全くおかしくはなくて、きっとそれだけ演奏力で見せられる力がついてきたからな気もする。武道館や学祭で聞いていたけれど、やはりライブハウスでなるのが一番しびれる曲だなあと思う。

そして続く曲はなんとなくわかっていたような気もする『才能』。

初めて2年前のグーパンまつりZで披露されたこの曲を、A-Bメロの掴みどころの難しいこの雰囲気にちょっとユニゾンを思い出すな…という感想を残していたことを覚えている。ギャンギャンのギターが映える曲だから、うきくん加入後初のツアーで見せ場になっていた気がする。あれから2年、もうこの四人で、25%ずつでハンブレッダーズだという気持ちでしかない。

そして、MCで「ジャンプ難しかった…」「できてなかったなあ」「田淵さんって運動神経いいんだなあ」なんてこぼしながら、「日本武道館でライブをして、ハンブレッダーズというバンドがちゃんと日本でバンドをやれている自信があります。」と堂々とした姿にドキッとする。今までであればもう少しスケールが小さめというか、ライブハウスだったり、届くところに、という雰囲気だったのが”日本で”といったことががずしんと来て心に刺さっている。「グーパンまつりZは、日本のロックンロールの歴史を作っていく決意の場」という言葉も”ロックンロール”というワードのチョイスが心に響く。あえて今ロックンロールという言葉を使わない方が、方向性を狭めないという意味でいいこともあると思う。でもここで選んだロックンロールという言葉は『フルカラープログラム』が謳われる「完全無欠のロックンロールを」という言葉とリンクするようで…その言葉を選んでくれて、ありがとうという気持ちになる。そしてそれを「ユニゾン先輩と作っていくんで、よろしくお願いします!」は、本当にツーマンでしか味わえない、今日でしか聞けない言葉だ。

そしてラストスパートであることを察するくらいに、場をまとめ上げる曲にになった『グー』。

ほんの1年前ぐらいに大阪城野音でゲリラリリースされて、その時は「きっと俺らの新しい代表曲になる」と言われてもそこまでピンと来ていなかったけれど、今ならわかる。拳を突き上げることがすごく多いライブハウスでは何よりも親愛の証。そういうのに気づいて、みんなの気持ちを代弁してくれるかのようなムツムロさんの歌詞のいいところが詰まった曲だ。普段は自分の為に挙げていたこのグーを、この時ばかりはユニゾン先輩に見せつけたい!という気持ちで突き上げた。もう泣きそうなのかなんなのかわからない、でもせりあがってくる熱いものを全部ステージにぶつけたくてシンガロングの一部になった。いつもよりたくさん歌わせるような感じだった気がする。みんなで一つになっているようで、でも勝手に皆が向き合った結果の合唱は嫌いではない。

そしてしんみりと泣きそうな気持で終わらせるのかと思いきや、「俺たちは皆の手を離れて大きくなって、嫌いになりそうになってしまうかもしれない…でも嫌いになれるもんならなってみてくださいッ!」と声を荒げて殴りかかってくる『フェイバリットソング』。

ちょっと突き放してでも一番愛情深い言葉、感極まらせておいて最後にぶち壊していくずるいやり方、こういうところがユニゾンに重なるから私はハンブレッダーズを愛してしまったんだな!と思う。大嵐のように走り抜けるこの曲に何度「でもやっぱり私のものだ!」と救われてきただろう。このカップリング曲を使っての大暴れを一番嬉しく思ってしまう気持ち、ユニゾンが『ガリレオのショーケース』をやるときに似ている。そして、いつも通りだと思いきや、「木島?まだそんなもん??もっと行けるでしょ!」と煽ってまさかのテンポアップ。もうめちゃくちゃになれ!台無しになれ!武道館の『チェリーボーイ・シンドローム』を思い出す。きっとこの瞬間会場の全員が笑顔になったんだと思う。

そしてもうぼんやりとしか覚えていないけど「いろんなかっこいいギターがる」~みたいな感じだったかな、何かギターっていいよねってMCでもう何も文句もつけようもないラスト曲『ギター』。

ああ、もう燃え尽きた…でも、彼らの晴れ晴れとした、やりきった顔がみたいな、そんな気持ちで待っていたアンコール。でてきたムツムロさんの声がヘロヘロで枯れていた。「つかれたあ~」と声を上げるのもこのライブでは仕方ない。(この時期に声がガサガサになってラジオを欠席したことに触れていた時に、こんなに声ガサガサになっているを聞いたの6年ぶりだと木島さんとでらしが言っていた。その6年前を知ってるだけにちょっと心配してしまったのだが、あの時は精神的なものがたたってだったのを知っていたので、今こんなにバンドがポジティブな状態だからちゃんと休めば大丈夫だろうとも思えた。病は気から、だ。)

そして「15周年を迎えて、16年目に入って、これから末永くよろしくお願いしますという気持ちをこめて」と演奏するのは『プロポーズ』。

恋愛の歌のようで、でも結局バンドとファンの関係も心理的には似たようなもの。ずっと一緒にいるとすぐ誓うけど、それは簡単に揺らぐ。それでも私たちは今彼らに絶大な信頼を寄せていられる、こんなにかっこよいバンドはなかなかいない。そういえば、ユニゾンも「これまで聞いてくれたファンが離れないようにしたい」と宣言しているバンドだ。言葉だけじゃなくて、音楽に、ライブにそれがきちんと見えているから、この二つのバンドを信頼したくなる。アンコールはたった1曲だけど、本当にすがすがしい気持ちでライブは終焉を迎えた。

フロントにグーパンをするメンバーもいて、さすがになかなか整番がよくないとその恩恵には預かれないけれど、昔はメンバーも笑い飛ばしていたこの対バンツアーのタイトルが、実はこのバンドの核になっている気もする。Zになっても、やっぱり、ハンブレッダーズのことを知れるこのツアーがとっても面白い。

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▼ここからは五月雨な総評(思い出したら追記するかも)

ワンマンツアーなどと比較すると、たった14曲ではあるけれど、今のハンブレッダーズは無敵だ、と思えるライブをしていた。ユニゾンとの対バンであることを忘れてしまうくらいに、単にハンブレッダーズのツアーの自分の初日の満足感に包まれていた。誰とやってもぶれないぐらいに『ハンブレッダーズのライブ』が確立されていた。

どこかで「うきくんはユニゾンと先に武道館に立っているけど、俺の隣でギターを弾いてるのがいちばんかっこいいでしょ?」とムツムロさんの殺し文句があって、本当にこのバンドの関係性が愛おしいな…と改めて思った。夢は応援しつつも、やっぱり自分たちが一番、という自信を持っているバンドが好きだ。

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ライブ後は、フォロワーと打ち上げ。北海道フードの多い居酒屋から、夜パフェ。一人でいるのはとてもとても好きだけど、それと同じぐらい話すのも好きなので、同じ熱量で盛り上がれる人がいるのが嬉しかった。

終わった後、箱の前まで行って撮った写真


たくさんユニゾンのライブは見てきたし、対バンもそれなりに見てきたつもりだ。それでも何か今日は三人とも『対等に戦えて本当に嬉しい』といった面持ちで、それは7月25日という布石があったから、ということもあるだろうけど、自分たちの変化球なロックバンド像が『ロックバンドは楽しい』とちゃんと伝えられていて、それがステージに繋がっていたことへの喜びではないか、そんな気がした。いつだってプロフェッショナルである彼らの個人的な喜び、嬉しさ、が垣間見れたことが、一番の収穫だったかもしれない。

対バン自体は初めてではなくて、スリーマンをやったけれど、でもその時はハンブレもズーカラデルも「対バンさせてもらってる」みたいな雰囲気だった。でもこの日は、もうマジで両者本気で戦うためにここに来ているんだ、と手に汗を握る日だった。ハンブレッダーズとユニゾンの関係性が、ここでようやく完全に交わりきって「これから」がたくさんあることを証明してくれた気がする。

終わった後は、ぼろぼろになっていて、ユニゾンがハンブレをボコボコにするというよりは、普通に私たちが二方向からボコボコにされたような、満身創痍のライブだった。死ぬときの走馬灯はこれがいい。でも「一番素晴らしい夜はきっとまだ来てないんだ」という言葉をずっと心のお守りにしているので、次はfun time HOLIDAYでお会いしましょう!

この夜に立ち会えて、私は本当に幸せ者だ。1か月も経ってしまったけど、やっと向き合えた『2024年11月20日』でした。

長い記事を読んでくれてありがとうございます。最後に♡押してくれると嬉しいです✊
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↓は東京のライブ後まとめたハンブレッダーズのルーツミュージック。


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▼旅の思い出写真

天文台と、ヘッドホンの中は宇宙
飛行機から見た空がCOLORS

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最後に、最高の動画を。

そして、全公演レポートという素晴らしい企画から札幌公演の記事を。(記憶をめちゃくちゃ補完させてもらいました!ぴあありがとう!)

おまけ、最近作ったぶれまる(仮)。



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