ヒーローになった父親の戦い。爆竜戦隊アバレンジャーを語る第3話〜第4話編
第3話「子連れヒーローアバレ系」
「いい子だから分かるよね?」
なんて台詞は嫌でも耳にする。実際に両親に言われた経験がある人も多いだろうし、自分が子供にそう説いた人もいるだろう。
きっとその魔法の言葉は子供を信じる気持ちで溢れているのだろうけれど、言われた本人には届くころにはその魔法はきっと別のものに変わっている。
父親になった青年、ヒーローを見送る娘
白亜凌駕にとって姪の舞ちゃんは自慢のいい子。
その溢れんばかりの愛情を受けている舞ちゃんはいい子であろうと努力する。
現時点でも幼い彼女は既に両親との別れを経験していることもあり他の園児たちに比べても優しく大人びている印象がある。
だがどんなにいい子であろうと大人のように嫌なことを我慢できるほど、舞ちゃんはいい子であっても大人じゃないのだ。
保育園での父親参観という大切な行事をよく分からん怪人に邪魔をされる舞ちゃんの心はきっと運動会や授業参観に両親が来てくれなかった子供たちにしか分からない。
いや、両親を失っている彼女の痛みはそれ以上なのかもしれない。
勿論決して凌駕本人も舞ちゃんをおざなりにしているわけではない。
寧ろ今回の戦いでは過去2回の戦闘に比べても性急に対処しようと心掛けている。
彼のモノローグでは何度も「早く終わらせなきゃ」という気持ちで溢れている。
実際に戦いが終わればすぐに保育園に戻りまいちゃんと遊ぶ姿が映し出されている点からも彼の真摯な姿勢は伝わってくる。
他のメンバーに比べてもおおらかな彼だが舞ちゃんが関わる事柄に関しては非常に人間味を帯びている。これは今後の物語でも変わらない。
白亜凌駕はアバレンジャーである以前に一人の父親なのだ。
第1話や2話の段階では正義感が強く優しい人ぐらいしか印象のなかった男だが
ヒーローとしての、舞ちゃんにとっての第2の父親としての責任感を背負って戦っている一人の青年であることが今回の話で深掘りされている。
トリノイド始動!
特撮ヒーローものには欠かせないゲスト怪人枠、それが今回から日の目に出るトリノイドだ。
動物、植物、その他(無機物や概念)の要素を取り入れたデザイナー泣かせの怪人、
トリノイド第4号バクダンデライオンは初期トリノイドならではの大胆な破壊活動を目的としてシンプルなコンセプトの下アバレンジャーたちと対峙することとなる。
純粋な破壊力でアバレンジャーを苦しめるミサイル攻撃に加えて植物のようなロープで敵を拘束するなどバランスの取れた戦法に打って出るのはアバレイエローこと樹らんるだ。
戦隊ヒーローにはメンバーごとに役割があることが多く、彼女は所謂メカニック担当であり、
アバレンジャーの戦いを敵の分析や秘密兵器の発明によってサポートしていく。
今回はその発明の初陣だ。
電波によって操られるミサイルを同じ電波で操作し返す彼女の作戦に膝をつくトリノイドに必殺技を浴びせ勝利に喜ぶアバレンジャー。
だが第2ラウンドの雨が降り注ぐ。
戦隊シリーズ恒例、俗にいう巨大戦の開始だ。
前回に増してアクションの多いアバレンオーの戦いも注目の一つだろう。
だが、アバレッドに遊んでいる暇はなかった。
舞ちゃんが保育園からいなくなったという連絡を受けた彼は、第1〜2話には見せなかった咆哮を上げる。
今後の敵怪人との戦闘を視聴者に期待させつつ凌駕決死の電撃ドリルスピンにより今度こそトリノイドの命はバラバラとなった。
そして再会する親子。
「爆竜戦隊アバレンジャー」をカラオケで歌うとイントロの部分で流れるこの回を代表するシーンは必見だ(サムネイルのイラストを参照)
夕日を背景に凌駕の相棒であるティラノと遊ぶ舞ちゃんの姿は少し哀愁が漂う。
これはアレだ、公園や幼稚園でお母さんのお迎えを待っていたあの光景だ。
舞ちゃんを見つけるや否や地面に膝をつけ謝罪をする凌駕。
ここでアバレンジャーとしての戦いを言い訳しないところが彼の良さなのだ。
アバレッドとしての白亜凌駕と父親としての白亜凌駕。
これらの天秤が傾くことは決して無いのだ。
勿論それがネックとなる戦いもあるのだがそれくらいのハンデはあってもいいだろう。
アバレンジャーは所謂ボランティア寄りのヒーローなんだから。
ED後の凌駕の行動もお人好しな彼らしい行いだろう。
それはそれとしてみんなと離れた席で食事をする幸人さんの距離感が今後どう縮まるのかは必見だ!
第4話「完成!秘密アバレ基地」
冒頭、約20年後にらんるの写真に思いを綴る男がいた。
残酷なことにエヴォリアンの侵略は少なくとも20年経っても完遂していないことが判明する。
という前置きはさておき、
みなさんは子供の頃行けなかった場所や怖くて通れなかった道に遭遇したことはないだろうか。
大人になった私たちでは測れない尺度で生きている子供たちにとってそれは日常茶飯事だった。
勇気を持って空を飛べ
同級生に虐められてそれに歯向かうことも追いかけることも出来ない少年の苦しみは大人になった私たちも抱くことのある問題だ。
ジャンプすれば届く距離でも子供の視点から見れば大きな断崖であり、失敗すれば痛い思いをする。
それならば失敗せずに弱虫呼ばわりされた方が傷は少ないだろう。
自他共にダメダメくんと呼ばれる少年の心を樹らんるは見逃さなかった。
お説教臭くても少年と真っ正面から向き合う彼女の性格がこれでもかと映し出された第4話で彼女のヒーロー性が明らかになっていく。
後半でトリノイドの奇襲を受けて仲間と連絡が不可能になったらんるはダメダメくんに思いを託す。
「失敗したっていいじゃない、何度だってやり直せばいいのよ」
彼女が言いたかった一言は少年の大きな一歩となった。
水浸しでボロボロになりながらもアバレンジャーの基地である恐竜屋に辿り着いた少年の表情は到底ダメダメくんなんて呼べる顔ではなかった。
失敗はした、
それでも彼は飛んだのだ
狙撃手を逃すな!疾走するアバレ
凶悪な狙撃と飛行能力で人々にウイルスを撒き散らすトリノイド第5号ハッカラスナイパーの執念深さは非常に悪質だ。
手段を選ばず、逃走や奇襲という選択肢を持つ怪人ほど厄介な存在はいないだろう。
同じ飛行能力を持つアバレイエローを敵視するのも彼女の能力を魅せる演出としても素晴らしい怪人造形だと思う。
機動力で優っているトリノイドに対してアバレンジャーは新たな味方が加わる。
ライドラプターと呼ばれる小型恐竜(といっても馬くらいはある)に乗って空を走る鴉目掛けて大地を駆けていく。
ビルの壁すらも諸共しないライドラプターとアバレンジャーたちの迫力満点のCGを使った猛攻によりトリノイドは無事撃ち落とされる。
お約束のロボ戦においても新技のプテラカッターに切り裂かれ、必殺ドリルの餌食となる。
機動力とステルス性が武器の怪人に巨大戦は部が悪かったのだろう。
勝利と夕日に思いを馳せるアバレイエローに執念の凶弾が迸る。
最期の攻撃に倒れたらんるを抱きしめ涙を流す凌駕、その思いは後悔が嘆きか言葉にならない表情で背を向ける幸人。
そんな彼らをさらに困惑の渦に巻き込むものもまた彼女だった。
趣味で着けていたアメリカ製の防弾チョッキにより一命を取り留めたらんるは驚愕する二人を前に笑顔のサムズアップ!
ここで視聴者も気づいたことだろう。
機械オタクを通り越して彼女もまた変人なのだった。
以上がアバレッドとアバレイエローのキャラクター性に深掘りしていった第3〜4話の感想でした。
感想となっているのかはさておき、こんな自己満足な記事を読んでくださりありがとうございます。
では次回第5〜6話、「三条幸人の流儀、樹らんるの怒り」でお会いしましょう!
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