#75 こども新聞
台風が去ったのに、蒸し暑い日が続いていた。
「ただいま」と言って帰ってきたりこは、顔を赤くして汗だくだった。りこは、制服のまま冷房の効いたソファーに倒れこんだ。「せめて、制服や汗のかいたシャツは着替えなさい」と私が言うと「まって~~」と言って、寝たままYouTubeをみていた。この頃私の言うことには素直には聞かなくなっている。私もイライラしながらスマホを見ていた。
しばらくして「おじいちゃんと宿題をするならやりなさい。別に、ママが帰ってからでもええで~~」と私が言った。りこは、「いまからするわ。おじいちゃん横で見ていて~~」といった。
宿題は、計算ドリルの小数の問題だった。3km20mを㎞で書く問題だった。りこは、すぐに3.02kmと書いた.76mも0,076㎞と書いた。「よくできたな」とほめると「うん」と言った。
手際よく宿題をおえ、着替えをしてグミを食べながらママが帰るまでYouTubeを機嫌よく見ていた。
ママが家に帰るのと交代で、私も自分の家に帰ろうと玄関のところに行った。「おじいちゃん待って~~」とりこが言って木曜日発行の子供新聞を持ってきた。新聞を私に見せながら、「世界のバラのことが書いてあるねん。ベルサイユのばらって、ほんまに紅いやろ。このヨハネ・パウロ2世はおばあちゃんに似合ってるわ。りこからのバラの新聞のプレゼントやと言うといて~~」