#36 古井戸

「おじいちゃんも探検についてきて~」しょうとたちの探検に私も誘われた。公園にはしょうとの友達も待っていた。

先日には、いつもの探検する付近で「オスの鹿を見た」と聞いたので、しょうとたちだけの探検は中断となった。今日も、探検はしたいけれど、少し自分たちだけでは不安と思ったので、私を誘ったのだ。

みんなで公園の横から藪の中に入っていった。みんな、木の枝を武器にしていた。今日の武器は、いつもより丈夫そうに見えた。けもの道のいたるところに鹿の糞があった。風が吹くと、藪からざわざわとした音が聞こえた。頭上からは、絶えずうぐいすの鳴き声が聞こえてきた。今日はいつもと違う藪の中のルートを一列に歩いて進んだ。

しばらく行くと、古い井戸を見つけた。直径70センチ、深さは3メートルほどの井戸だった。落ち葉などで埋まっていたが、もう少し掘ると水が湧き出してくるように思った。「あぶない」とかかれた朽ちた標識も近くに埋もれていた。

その井戸のある所から、さらに坂をのぼると見晴らしのよい小高い丘の上に出た。近くの公園の桜の木々は満開だった。遠くに見える2つの電車は交わった後、ゆっくりと左右に離れて走り去った。

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