「巨人ゴーグル」のカルテ(クソカード医学会用資料55)
まえがき
デュアルモンスター治療の第3弾、今回は「巨人ゴーグル」になります。
「灼熱王パイロン」と同じく、第5期パック『TACTICAL EVOLUTION』出身のデュアル一期生で、やはり登場当時から使うには相当厳しいモンスターの1体でした。
攻撃や戦闘ダメージを介する効果であれば炭酸化合バーストコンボ、ターン1のない起動効果なら無限蘇生、という形でどうにかデュアルモンスターの活用法を探ってきたこれまでですが、今回の患者は特にやばいです。
デュアルに限らず、この当時のカードデザインはかなり迷走していた感があるのですが、それにしても……な1体。
そんな悲しき巨人を、地ならしで環境を踏み潰せるくらい健康にしてあげたいと思います。
巨人ゴーグルについて
患者の性能は以下の通り。(出典:遊戯王デュエルモンスターズデータベース)
再度召喚すると元々の攻撃力が2100になる…………どこで役に立つ効果だよ。
マジでどこで役立つんだよ。
わざわざ説明するまでもなく、こいつに召喚権を使って攻撃力を上げるくらいなら、そこらへんの上級モンスターをアドバンス召喚したほうが攻撃力が高くなるのは間違いありません。レベル4で攻撃力が2100であることに明確な活用法でもない限り。
しかも何がヤバいって、このカードの登場時点でレベル4攻撃力2300の「ゴブリン突撃部隊」がいましたし、なんなら「サイバー・ドラゴン」の全盛期です。召喚権すら不要で同じ攻撃力が用意できるじゃん!
どうして生み出されたんだ……。
現代においては言わずもがな。大してデメリットもないレベル4高打点モンスターなんていくらでもいます。
一応、医龍こと「鎖龍蛇ースカルデット」や「進化合獣ヒュードラゴン」のように、召喚をトリガーにパンプアップを施すカードの効果を2回受けられるという、デュアルならではの強みはあります。
スカルデットのリンク先にゴーグルを出せば攻撃力は1500+300で1800、そこで再度召喚を行うと元々の攻撃力が2100となるので2100+300で2400、さらにスカルデットの効果がまた発動して2700。
ヒュードラゴンでも同じ原理で3100まで上がります。
まあ、打点上げたいならもっと手軽で強力な手段が数多くあるので、だからなんだって話ですが……。
デュアルの生命線である「デュアル・アブレーション」なら、初めから攻撃力2100のモンスターとしてリクルートできるのですが、アブレーションはデュアルモンスターなら何でも持ってこれるので、打点も上で展開にもつながる「ギガプラント」等をリクルートするほうが断然いい。
「デュアルスパーク」対応のレベル4デュアルとして見ても、「E・HERO アナザー・ネオス」のような他のサポートが手厚いカードが優先されやすいので噛み合いはいまいち。
狭いデュアル業界ですら競合相手に勝てないのは涙を誘います……。
問題点をまとめると、
①デュアルモンスターなので遅い
②その上効果が非常に微妙
③デュアルモンスターサポートも競合が多く活かしづらい
となります。
口惜しいことですが、アタッカーとしても派手なコンボのキーパーツとしても、ほぼ使えないと結論づける他ないでしょう。
しかしこのカードの唯一の個性として、デュアルモンスター唯一の岩石族というのがあります。
なので、岩石族デッキにデュアル要素を出張させる、または、デュアルデッキに岩石族要素を組み込む場合に、双方をつなぐ架け橋となれる可能性がある。
前者は……まあ出張させて強いデュアル要素なんて植物族デッキの「ギガプラント」、甘く見積もっても他数枚候補に上がるかどうかのレベルなのでこれは無理でしょう。今までの治療で見てきたように、デュアルはデュアルで固めないと基本無理なので。
なのでデュアルデッキに岩石族出張を組み込む形が有力となります。デュアルはエクストラデッキに余裕がありますし、「デュアル・アブレーション」の万能リクルートと「化合獣カーボン・クラブ」の万能墓地肥やし&サーチとで融合・シンクロ・エクシーズ・リンクのどんな素材も確保しやすい強みがあります。
逆にデュアルの弱点はたくさんあるけど一番は相手ターンの妨害の少なさにあるので、岩石族主軸で妨害や制圧系のモンスターを並べられれば「巨人ゴーグル」採用に意義を与えつつ、独自性のあるデュアルデッキが生み出せるはずです。
……となれば、特効薬はもうすでに決まったようなものですね。
炭化魔石ゴーグル
岩石族出張要員としては、【アダマシア】と【化石】を用います。
「魔救の探索者」は岩石族モンスターがいれば特殊召喚できるチューナーなので、「巨人ゴーグル」がいれば即座にレベル6シンクロに繋がります。
デュアルデッキはサーチ/リクルート/蘇生手段が豊富なため、シンクロだけでなくレベル4を並べて「御影志士」⇒探索者サーチも狙いやすく、探索者の効果でも次のゴーグルを用意できる可能性があるので、比較的容易にレベル10シンクロに繋げられます。
探索者はレベル2なので、ゴーグルが用意できずとも化合獣やスプライトのレベル2軸展開につながるのも嬉しいところ。「ルイ・キューピット」を経由して「ネメシス・コリドー」⇒「超雷龍ーサンダー・ドラゴン」を立てられるのも強い。
次に、【化石】ですが、「奇跡の穿孔」と「風化戦士」で「化石融合ーフォッシル・フュージョン」をサーチするいつもの基本の動きを採用する形になります。
化石融合がすでにある場合は穿孔で「リバイバルゴーレム」を墓地に送ってさらなる展開に繋げられますし、化石融合の素材もカーボン・クラブで簡単に用意できます。
アダマシアがシンクロでの妨害盤面の構築役……つまり守りを担う役目なら、攻めは化石。化石モンスターは戦闘に秀でた効果ですし、複数回攻撃効果を持つので「二量合成の打点アップを有効活用できます。
上では使い途がないと評しましたが、「二量合成」は再度召喚したデュアルモンスターが必要で、さらに対象の元々の攻撃力を参照するため、再度召喚後に元々の攻撃力が2100になる「巨人ゴーグル」の効果を有効活用できます。(ギガプラとかを対象にしてもいいけど、対象にするもう片方は攻撃力0になるので、場に残したいことが多いギガプラより素材になるモンスターを対象にしたほうがお得⇒ゴーグルが適任)
「巨人ゴーグル」を起点に展開し、「巨人ゴーグル」を素材にシンクロ・エクシーズを行い、墓地の「巨人ゴーグル」を融合素材にして、「巨人ゴーグル」を参照して打点を上げる……。
決して主役ではないものの全てにおいてゴーグルの影がちらつく岩石族軸シンクロデュアルデッキ、炭酸化合魔救化石ゴーグル……略して【炭化魔石ゴーグル】です。
相性のいいカード
岩石族要素は最低限でよい。アブレーションとカーボン・クラブのおかげ。
・「チューンド・マジシャン」
アブレーションから出せる非常用チューナー。そのまま使っても「御影志士」にしてもよい。
・「ギガプラント」
お約束。こいつ自身もシンクロに繋ぎやすいレベル6。
・「相剣大公ー承影」
「化合電界」との相性がめちゃくちゃよく、相手の場を更地にする勢い。化石との食い合わせもいい。
・「魔救の奇跡-ドラガイト」
・「瑚之龍」
デッキに水属性が少ないのでドラガイトは「瑚之龍」経由で出したい。
・「ブラック・ブルドラゴ」
他にも強いレベル8シンクロはいるんですけど、こういうデッキでしか使えないから一応採用。とはいえ弱いわけじゃなく、打点も高いし悪くはない。
・「化合電界」
相性がいいというか、デュアルデッキなら必須インフラ。しかしこのデッキだと特に噛み合いが良く、デュアルモンスターを除外しての破壊効果から承影や「ネメシス・コリドー」につながる。
デッキ構築
デュアルデッキ共通の立ち上がりの遅さをスプライトで補い、エンジンがかかればゴーグルからの重量級モンスター連続召喚で押しつぶす。
派手なコンボはないものの、回れば普通に強い盤面が作れる。
使用感は、無理なコンボを狙わないので「インフィニティ・ダーク」や「灼熱王パイロン」よりかなり強いですね。
ただ「デュアル・アブレーション」「化合獣カーボン・クラブ」に依存してるのは他のデュアルデッキと変わらないので、そこが止められると普通に止まります。重症度は3.5で。
実績。
あとがき
地ならしで環境を踏み潰せるようになるのは無理でしたが、やってみると案外ゴーグル主軸で組めました。他にはダークガイアとかの案もありましたが、そんな打点上がらないしボツに。
素材利用と「二量合成」の打点補助だけじゃいまいち完治とは言いづらいとこありますが、これ以上は新規のデュアルサポートがないとキツイかなあと思ってます。
……しかしそれにしても、アブレーションとカーボン・クラブは特定の種族・属性が必要な時にだいたいなんでも持ってこれるので便利ですね。他の活用法もありそうです。
次回は「CNo.92 偽骸虚龍 Heart-eartH Chaos Dragon」の予定ですが、いい感じの実績が撮れていないのでもうちょっとじっくり詰めていくかも。年内には無理かな?
おまけ
「巨人ゴーグル」と同タイプの患者たちについて。
竜影魚レイ・ブロント
ざっくり言えば再度召喚すると「ゴブリン突撃部隊」になります。
なんで再度召喚の手間踏んだ上でデメリットアタッカーになるんだよ……。せめてデメリットはなくせよ……。デメリット残すにしても打点は2800くらいあってもいいだろ……。
ほぼゴーグルと同じ症状で、デュアルモンスター唯一の魚族という点でも似ています。しかし魚族は岩石族ほど出張に向いたサポートがなく、シーラカンスやゴーティスともいまいち合わない。今後の研究に期待。
サンライズ・ガードナー
ゴーグルやレイ・ブロントですら頭が痛くなる効果なのに、上がるのが守備。
しかもこいつ、「E・HERO アナザー・ネオス」などの競合激しい光属性戦士族デュアルな上に、「デュアルスパーク」非対応のレベル3モンスター。
有効利用は絶望的。とはいえ守備が上がるのは逆に珍しいので、レベル3を活かしつつなんかすれば何かが起きるかもしれない……。
現状何も思いつかないですが。
チューンド・マジシャン
再度召喚するとチューナーになります。
……元からチューナーのモンスターでよくない? え、どういうこと? チューナーと非チューナーを使い分けられますってこと? 召喚権使うよ? やっぱ元からチューナーのモンスターでよくない?
……とまあ、単体で見るとやばいんですが、「デュアル・アブレーション」でリクルートできる唯一のチューナーなのでアブレーション登場以降は快方に向かってる……どころか、デュアル内ではかなり使えるほうになりました。
10年越しに報われたので、他のデュアルもまだ諦めるのは早い。
デュアルの種族分布
「巨人ゴーグル」の治療で興味が出たので、他のデュアルの種族がどんなふうにばらけているのか調べてみました。
魔法使い族 :3
ドラゴン族 :6
アンデット族:3
戦士族 :9
獣族 :1(「化合獣オキシン・オックス」のみ)
鳥獣族 :2
機械族 :1(「古代の機械騎士」のみだけど「重起士道ーゴルドナイト」が再度召喚すると機械族になる)
悪魔族 :4
天使族 :2
昆虫族 :2
恐竜族 :なし(「ナチュラル・ボーン・サウルス」が再度召喚すると恐竜族になる)
爬虫類族 :1(「エーリアン・ヒュプノ」のみ)
魚族 :1(「竜影魚レイ・ブロント」のみ)
海竜族 :1(「デュアル・ランサー」のみ)
水族 :4
炎族 :2
雷族 :1(「ジェムナイト・アンバー」のみ)
岩石族 :1(「巨人ゴーグル」のみ)
植物族 :1(「ギガプラント」のみ)
新規に増えていったサイキック族、幻竜族、サイバース族、幻想魔族、幻神獣族、そしてなぜか獣戦士族はデュアルモンスターはいない。
同じ1種類しかいない種族でも、単体で個性を有している植物族、獣族は特に治療不要。他テーマにも所属している機械族、爬虫類族、雷族は「巨人ゴーグル」と似た手法でまだ治療しやすそう。
一方で魚族、海竜族はかなりコツが要りそうな気がする。
来年も色んな視点からデュアルの研究を続けていこうと思います。
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