ワケあり患者のカルテ(クソカード医学会用資料43)
まえがき
今回は軽症患者というか、個性を活かした治療はできるけど面白い記事には出来そうになかった患者たちのまとめになります。強くはない、いやむしろ弱い……けど個性はある不思議な連中ですね。
私は本家クソカード診療所や他所の医学会報告書のコメント欄から患者候補を探してメモっていまして、以下のカードもそんな面々です。
1本記事にして紹介できるほどではないけれど、巷ではクソカードと呼ばれ続けてるし「こういう使い方もあるよ」と紹介する程度ならいいかなとまとめました。欠点と治療法、そしてなぜ記事にせずボツになったのかそのワケを記載してます。なのでワケあり患者。
そんな患者は以下の通り。(出典:遊戯王デュエルモンスターズデータベース)
ワケあり患者たち
トゥーン・ドラゴン・エッガー
一発目から「嘘だろ……」と言われそうですが、あります使い道。
まず欠点を上げると、
・通常召喚できない
・「トゥーン・ワールド」発動中に特殊召喚に2体リリースが必要
・特殊召喚時に攻撃できない
・攻撃宣言時にライフを払う必要がある
・「トゥーン・ワールド」が破壊されると自壊
対して、メリットは
・トゥーン共通のダイレクトアタック
のみです。ひでえ。
一応、登場当時はトゥーン唯一の低レアだったので入手しやすく、低予算でトゥーンデッキを組む際に出番があったりなかったりしましたが、ストラクチャーデッキ・ペガサス編が発売した時点で完全にその役目も終了しました。第2期切っての負の遺産と言えるでしょう。
そんなカードに使い道が? ホントにあるの?
あります。というのが、【トゥーン】というテーマ自体がめちゃくちゃ層が薄いのでこんなカードでも独自性を見いだせてしまうからです。
具体的にはこいつ、トゥーン唯一の炎属性なので「火霊術ー『紅』」の弾になります。特殊召喚時にダイレクトアタック出来なかろうが、弾にして打ち出すのは可能。
ピンとこないかもしれませんが、【トゥーン】と【炎属性バーン】、そして【壊獣】にはシナジーがあります。
トゥーンは魔法使い族が多いため、火霊術をサーチ可能な「憑依覚醒ー大稲荷火」の自己リクルートが狙いやすく、また「シャドー・トゥーン」のバーンや「コミックハンド」で奪取と相性のいい「怒炎壊獣ドゴラン」「溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム」を採用可能です。
ドゴランを送り付け、大稲荷火や「シャドー・トゥーン」でバーンダメージを与え、「コミックハンド」で奪って殴った後に火霊術で射出……といったトゥーンらしからぬ速攻が狙えるわけです。
そういったバーン寄りの【炎属性トゥーン】を組む場合、ドゴランやラヴァゴ抜きでも火霊術で打ち出せる「トゥーン・ドラゴン・エッガー」がなんと選択肢に入ってしまいます。
「トゥーン・ブラック・マジシャン」「レッドアイズ・トゥーン・ドラゴン」とレベル7で固めれば「七星の宝刀」も使えますし、【トゥーン】自体もダイレクトアタックでダメージレースを制するデッキなのでバーン寄りの構築というのもあながち馬鹿に出来ず、実際なんかそれなりに使えました。
じゃあなんで記事にしなかったかと言うと、火霊術の弾や「七星の宝刀」の餌としての利用は、結局のところコストとしての需要でしかないからですね。使い道はある。けど完治したとは言い難い。なのでボツにしました。
ちなみに、他に炎属性のトゥーンがもし追加された場合はほぼ完全に死亡します。
トゥーン・デーモン
「トゥーン・ドラゴン・エッガー」がそんな感じなら、同じく最初期の黒歴史トゥーンの「トゥーン・デーモン」はどうでしょう。
欠点は「トゥーン・ドラゴン・エッガー」とほぼ同じ(こちらは特殊召喚にリリース1体で済みますが)で、その上、同じレベル6には攻撃時のライフコストが不要で召喚酔いしない「トゥーン・ブラック・マジシャン・ガール」という強力なライバルがいます。
「トゥーン・ドラゴン・エッガー」と違い、こちらは【デーモン】であることを活かしました。
先の「憑依覚醒ー大稲荷火」の地属性版である「憑依覚醒ーデーモン・リーパー」や「デーモン・イーター」などの他のデーモンを投入して「堕落」によるコントロール奪取をメインに据えたデッキが作れます。
「堕落」はトゥーン専用コントロール奪取装備魔法の「コミックハンド」と併せて「工作箱」等でサーチできますし、コントロールを奪ったモンスターは普通に殴るだけでなくリンク素材にしたり、レベル6の「トゥーン・デーモン」とあわせて「交血鬼-ヴァンパイア・シェリダン」をエクシーズ召喚したりと使い道があります。
基本的にエクストラデッキに頼らない【トゥーン】デッキに、戦術の幅をもたせられるのが大きなメリットでしょう。
このデッキもなんやかんや独自の強みを発揮していたのですが、結局のところ「トゥーンデッキでやる必要なくね?」という結論になり、ボツにしました。トゥーンはやることがシンプル過ぎて、逆に抜群に相性のいいエクストラデッキのモンスターが見当たらないんですよね。あえて挙げるならヌメロンドラゴンとかアクセスの脳筋勢が好相性。
同属性のトゥーンモンスターが来たら死ぬドラゴンエッガーデッキと違い、こちらの構築は今後の登場カード次第では化ける可能性はあります。
ビッグ・シールド・ガードナー
原作で遊戯の使った下級モンスター。登場当時は「抹殺の使徒」や「シールドクラッシュ」を防げた効果も、今は活きることはほぼほぼありません。
高い守備力を持つものの、除去の増えた現代ではほぼ形骸化してますし、殴られると何故か攻撃表示になるデメリットだけが目立つ結果となってしまいました。
ですが使い道ははっきりしています。【アステカ】デッキで使います。他にないでしょう。
こちらを御覧ください。
見ての通り、サイバー流を返り討ちにしました。
そう、「ビッグ・シールド・ガードナー」は攻撃表示になるデメリットがあるからこそ、「反転世界」や「ディメンション・ウォール」とのシナジーがあるのです。
問題はその【アステカ】デッキが現代じゃ通用しないという点。全体除去や制圧の横行する現代に、こんな受け身なデッキが事故地雷以上の活躍を発揮するのは難しい……。バカ正直に殴ってくれるデッキもそれこそサイバー流くらいでしょう。基本殴るしかないメタビートにも刺さったりするが。
「ビッグ・シールド・ガードナー」の活躍できるデッキはあるけど、そのデッキを救うことが出来ない。使い道ははっきりしてるけど、弱い。
なんということだ……。これが、現代の医療の限界なのか……。
というわけで、記事にはできるしデッキも組めるけど、実用性が微妙ということでボツに。
上手いこと【アステカ】を活かせる新規カードが来れば、このカードとデッキも真の意味で救われるかも……。
ちなみに「ミドル・シールド・ガードナー」はもっと重症です。
超電磁稼動ボルテック・ドラゴン
懐かしの電池メン関連カード。実に昔っぽい効果をしています。
欠点としては、やはり特定の電池メンをリリースしてアドバンス召喚しないと効果を発揮できない上に、その効果もその手間の割に合わないパッとしないものという点。
あえて狙うなら単三形をリリースして打点3400の上級モンスターとして使う感じでしょうか。それも今どきどうなんだ。
これをどう使うか……ですが、ステータスをよく見るとあることに気が付きました。攻撃力2400で守備力1000…………つまりこいつ、帝ステータスなんです。しかも効果もアドバンス召喚に関するもの。
同じ種族・属性・レベルの「雷帝ザボルグ」もいますし、雷族には轟雷機龍のときに紹介したようにメタビ系のモンスターが多いです。
「真帝王領域」などを組み込んだ【アドバンス召喚軸雷族メタビ】で、攻撃力3400のモンスターとして暴れることが可能。
一方的に古のデュエルをふっかけてボコれます。
ただ、やはりメタビートは私が好きじゃないのでボツにしました。
レアメタル・ドラゴン
レベル4モンスターにしては破格の攻撃力2400を持つにも関わらず、通常召喚できないという本末転倒な効果をしています。
ちなみに、裁定変更され厳密にはこの効果は「カードの効果でのみ特殊召喚できる」というものらしく、ペンデュラム召喚も不可だそうです。唯一の希望が消えた。
ドラゴン族なので特殊召喚自体はいくらでも手段がありますが、当然、こいつを出すくらいなら上級・最上級でもっと攻撃力の高い、もっといい効果のモンスターを出すことが可能。
えーマジでこれどうするの???
……と悩みに悩んだところ、「竜の束縛」と「超古代生物の墓場」を併用するという結論に行き着きました。
「竜の束縛」は指定した攻撃力2500以下のドラゴン族モンスターの攻撃力以下のモンスターを特殊召喚出来なくする効果。
「超古代生物の墓場」はレベル6以上の特殊召喚されたモンスターは攻撃も効果の発動もできなくなる効果。
これにより、レベル5以下のモンスターしか攻撃も効果の発動もできないけれど、攻撃力2400以上じゃないと特殊召喚できないという状況を作り出せます。「レアメタル・ドラゴン」はレベル5以下で最も攻撃力の高いドラゴン族モンスターの1体。ついでに効果もあってないようなものなので、「スキルドレイン」「インスペクト・ボーダー」なども併用可能。
とはいえ突破手段も多いので、そこからさらにメタ・制圧系カードを積み込まないといけませんが、とりあえずの個性を活かしたレアメタル式メタビ、【レアメタビート】は構築できます。
が、やっぱりメタビは好きじゃないのでボツにしました。医学会で使いづらいですしね。
虚無を呼ぶ呪文(ヴァニティーコール)
上記の面々とは若干違うタイプの患者なのですがついでに紹介。
チェーン4以降にしか発動できない上にライフを半分も支払う必要があるカウンター罠。1対1交換どころか1対4以上も見込めるのは強いですが、そんなチェーン組むことはそうそう無いですし、自分のカードをチェーンすれば自分のカードも無効にされてしまいます。
なんともピーキーで扱いづらく、登場当初はそこまでフリーチェーンのカードも多くはなかったので浮いた存在でした。
でした。
しかし、みなさんもご存知でしょう。昨今のテーマは共通効果で一斉に効果が発動し、チェーンを組みまくるものが多いということを。
例えばふわん。例えばラビュリンス。例えばティアラメンツ。
時代の流れによってそういったデッキにメタカードとして刺さる可能性がなんと生まれていました。
それを証明するため、我々調査隊は実地研究として群雄割拠フェスに足を踏み入れました……。
ご覧の通り、刺さります。使ったデッキのパワーが低めだったので勝率自体は良くないのですが、群雄割拠フェスのように明らかに刺さる仮想敵が多い環境では有力な選択肢になるでしょう。
登場当初はあまりに扱いづらかったカードが、急に日の目を見るのは遊戯王でよくあること。
ただまあ、相手次第のいわばサイドデッキ向けのカードなので、専用でデッキを組んだりとかは無理そうなのでボツにしました。というかほぼ完治してます。
あとがき
いつもの言い訳というか予防線ですが、上記はあくまで私の主観ですので反対意見等があってもご容赦ください。
また新規カードで突然覚醒する例もあるので、執筆当時の環境での話なのも要重点です。
私も上記の面々でもっと面白いデッキが組めないか日々研究していますので、皆さんも興味があればどうぞ。
次回はいつもの治療に戻ります。
「ゴーティスの死棘グオグリム」のデッキが形になったのでそれか、リクエストを頂いた轟雷機龍タイプの患者「No.93 希望皇ホープ・カイザー」になると思います。
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