「灼熱王パイロン」のカルテ(クソカード医学会用資料53)
まえがき
デュアルモンスター治療の第2弾、今回は「灼熱王パイロン」です。
第5期パック『TACTICAL EVOLUTION』出身のデュアル一期生でレインボー・ドラゴンが同期という古参カードで、現環境ではっていうか登場当時から苦境に立たされている悲しいモンスターの1体です。
「インフィニティ・ダーク」の回で解説した通り、デュアルってだけでかなり厳しい。攻撃や戦闘ダメージを介する効果であれば炭酸化合バーストコンボでどうにかなるものの、それ以外のデュアルは無理では……。
そんな世間の声を黙らせるため、16年越しのデュアル環境到来の野望のため、今回はこの患者を救ってみようと思います。
灼熱王パイロンについて
患者の性能は以下の通り。(出典:遊戯王デュエルモンスターズデータベース)
毎ターン使える1000バーンです。
いえ正確には、再度召喚して効果使用可能にした上で相手ターンをしのぎ続けられるなら毎ターン使える1000バーンです。無理では?
それが仮に出来たとしても決着まで8ターンかかります。デュアルなんだから2000ダメージくらいあってもいいでしょうに……。
うーん……。名前負けしまくってる……。灼熱王(笑)。
しかもご覧の通り、デュアルモンスターというだけでも大概遅いのですが、このカードは上級モンスターです。その上ステータスは下級並みかそれ以下。
一応低ステータスはサーチ・リクルートがしやすい利点でもあるのですが、継続してダメージを与えられるのが強みなはずの効果なのに下級に撲殺されかねないこのステータスでは、その利点も虚しく感じます。
加えて「レベル制限B地区」などでロックしつつバーンダメージを与えるという選択肢も、デュアルの遅さもあって「プロミネンス・ドラゴン」等の他のバーン効果持ちでいいとなりやすい。
一縷の望みとして、パイロンのバーンはターン1はあるものの同名ターン1のない起動効果なのを活かし、「地獄の暴走召喚」などで複数体並べたり、一旦墓地に送って蘇生させて同一ターン中に連続で効果を使用可能という個性があります……再度召喚できればの話ですが。
そう、蘇生して効果を再度使用可能にするには召喚権が必要なため、蘇生ループ等を構築してライフを焼き切るのも難しい。デュアルなせいで。
問題点をまとめると、
①上級モンスターなので出しづらくデュアルモンスターなので遅い
②ダメージ量が少なく場持ちも悪い
③再度召喚が必要なため、蘇生を絡めての連続使用が難しい
となります。デュアルなだけで重症度がワンランク上がる。
まず①ですが、これは「インフィニティ・ダーク」の治療と同様で、普通にデュアルサポートを用います。基本的に重症なデュアルモンスターの数少ない強みは、サポートカードがヤケクソじみて強い点です。
出しづらさと再度召喚問題はこれらでケア可能です。
次に問題②③をどうするかですが、もうこれは初めから答えが出ていて無理にでも一気に焼き切る盤面を作るしかないです。
「超合魔獣ラプテノス」がいればデュアルモンスターは再度召喚せずに効果を使用可能です。こいつさえ出せればパイロンのバーン使用後にリンク素材などにして墓地送り⇒蘇生を繰り返せば1ターンにライフを削りきれます。
デュアル専門の蘇生効果持ちモンスターは「炎妖蝶ウィルプス」と「化合獣ハイドロン・ホーク」の2体がいますし、ウィルプスは「ギガプラント」で蘇生できます。
しかしこれだけではまだライフ8000を削り切るのは難しいでしょう。ラプテノスをどう出すかの問題もあります。
ここはもう一度あのテーマの力を借り、さらに最新の炎属性強化を利用しましょう。
炭酸化合パイロンバーン
再び【スプライト】の出番です。
「インフィニティ・ダーク」の時の繰り返しになりますが、デュアルサポートの中心となる【化合獣】の下級が星2なため、スプライトは非常に出しやすい。さらにデュアルの苦手な相手ターンの妨害を行い、「化合獣オキシン・オックス」と「スプライト・ガンマバースト」のコンボによる打点向上も見込めました。
加えて、ダークのときには実装されていなかった「時を裂く魔鐘」(召喚権を増やせるためデュアルと相性がいいものの、手札からモンスター効果の発動ができなくなるデメリットがあります)とも、手札から発動する効果がピクシーのみなスプライトには影響がないのも嬉しいところ。
今回は相手ターンの妨害はともかく、打点向上は使いません。代わりに、スプライトの展開力……特に下級炎属性の用意しやすさに注目したいです。
順を追って説明しましょう。
「化合獣カーボン・クラブ」で墓地と手札を整え、「デュアル・アブレーション」でパイロンをリクルート。1バーン。
ラプテノスの融合召喚方法は、「龍の鏡」というお手軽手段もありますがサーチが難しいので上振れと割り切り、基本は「プロキシー・F・マジシャン」を使います。
効果モンスター2体で出せるので、スプライトをちょちょいと並べればすぐにリンク召喚可能です。
ラプテノスの素材はデュアルモンスター×2。効果を使い終えた「化合獣カーボン・クラブ」やパイロンを素材にすればラプテノスが出せて、ついでに展開もできちゃいます。
ここからパイロンをウィルプスで蘇生して2バーン目。
そしてそのパイロンとプロキシーで「賜炎の咎姫」をリンク召喚。
咎姫ちゃんでさらにパイロンを蘇生して3バーン目。
続けて咎姫ちゃんと余ったギガプラントなどで「揚陸群艦アンブロエール」からの「世界龍ジーランティス」。
ジーランティスの除外を経由することでさらにパイロンの4バーン目。おまけにギガプラなんかもまた効果が使えます。
この流れだけで最低でもパイロンだけで4バーン=4000ダメージが確定、合間の蘇生や2枚目のパイロンの有無では8000ライフをパイロンだけで削り切るのも十分に実現可能……ですが、さすがにそれは上振れの状況なので、別途手段も用意しておきます。
適当なモンスターとパイロンで「灼熱の火霊使いヒータ」を出し、炎属性のスプライトか化合獣がいれば「憑依覚醒ー大稲荷火」をリクルートしバーン、素材にしてさらに火霊術のセットが可能です。
相手の牽制を行いつつプロキシーの素材と大稲荷火のコストを賄える……これがこのデッキにおけるスプライトの役割となります。ほんと何でもできるなこいつら。
過去に環境最強だったスプライト、現在OCGを席巻している最新炎属性、そしてやけくそデュアルサポート……これらパワカを灼熱王に焚べに焚べることでパイロンを燃え盛らせる真の灼熱王デッキ【炭酸化合パイロンバーン】です。
相性のいいカード
デッキの雛形はほぼ「インフィニティ・ダーク」のときと同じ。
・「龍の鏡」
墓地融合でラプテノスが出る。プロキシーが要らなくなるので、引ければパイロンのバーン回転率が上がる上振れ札。
・「死者蘇生」
・「スプライト・エルフ」
蘇生カード。エルフからハイドロンホークを経由すれば手札コストと引き換えにパイロンを蘇生可能。
・「スプライト・スターター」
・「ギガンティック・スプライト」
普通に使えるのはもちろんだけど、スターター⇒ブルー⇒適当なスプライト⇒ギガンティック⇒カーボンクラブをリクルート、と回せば召喚権が残るので、「時を裂く魔鐘」や「化合電界」で召喚権を増やさずとも1ターン目からカーボンクラブを再度召喚できる。デュアル知らない人は「だから何だよ……」と思いそう。
デッキ構築
パイロン1枚でも回るんですけど、手札に来ちゃうとアブレーションで出せなくなって手間が増えるので2枚。
「スプライト・エルフ」は当然3枚あるなら3枚突っ込みたいところですけど、私1枚しかないしすぐ禁止になりそうだから生成もしたくないという複雑な感じなので1枚です。分解ボーナスあるけど先立つものが……。
使用感は「インフィニティ・ダーク」より複雑になった分、回しづらさはあります。一方でパズルやるような楽しさはあるので、そういう意味では良いデッキだと思います。
リソースが尽きやすいし、モルガナイトのせいで手札誘発を入れられないのでランクマはほぼ無理。事故った相手に数戦勝てたくらい。重症度は3ですかねえ。
実績。サイバースvsデュアル。格付けは済んだな。
あとがき
パイロンを選んだのは「バーンだし他のデュアルよりはなんとかなるやろ」くらいのノリでしたが、実際なんとかなりました。というか咎姫ちゃんがなんとかしました。新たな名医カードが現れた感じですね。
それにデュアルに対するスプライトの相性の良さも、もう間違いないですね。弱点だらけのデュアルを多方面からカバーしてくれるので、他のデュアルもなんとかなるんじゃないかと思わせてくれます。
余談ですけど、投稿間隔が空いたのは「時を裂く魔鐘」がなかなか3枚集まらなかったせいです。渋い。
幸魂はもっと渋くて、モルガナイトが揃うまでに結局1枚も出ず、全部生成しました。カドケウスなんて7枚くらい出た気がするが……。
次回は「ヴァンパイア・ドラゴン」の予定です。
その次は未定。デュエルパスとランクマッチの切り替わり、デュエリストカップの報酬でジェムたくさんあるので、新規テーマを開拓するのもいいですね。